あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「キッチン・タイタニック」
 「小僧が・・・なんかおかしい・・・」。ある日、迫田(椎名桔平)は何を言っても上の空の名波(二宮和也)の様子に気が付いた。野口(勝村政信)も綾小路(石黒賢)、小向(高橋克実)もつかれたようにただひたすらとスープをかきまわす名波を見て、なるほどと思う。
 実は名波、この時すでに恋の熱にうなされていたのだ。しかも、相手というのが今回VIPとしてやってくる家族の一員で、名波が高校時代に憧れていた先輩だという。告白する勇気もないまま現在に至ってしまったが、この船での思いもよらぬ再会、名波はこれも運命!とばかり今回の宴に全力を傾けると張り切っている。
 詩央(鈴木京香)も、そうと知って、今回のメニュー北京ダックを名波に作らせたいと言う。だが、これを聞いた迫田、「平平樓に恋は御法度!」とくやしまぎれもあって言うと、名波には北京ダックを包む皮、カオヤーピンを作れと命じるのだった。
 もちろん名波は、何を作れと言われても憧れの人・薫(松本莉緒)のためにと気持ちを込め作りはじめるのだった。
 一方、迫田の頑固な様子と、最近詩央と迫田が二人いる所を目撃した大山(東幹久)は、ある一計を案じていた。それは奈々子(瀬戸朝香)が惚れてるらしいということを迫田の耳に入れ、その気にさせるというもの。久しく恋愛氷河期だった迫田は、すっかりその気になり、いつのまにか、厨房の恋を解禁させてしまうのだった。
 さて、そんな中、いよいよ憧れの人のいるVIPファミリーを迎える日がやってきた。詩央は、名波に料理のサーバー役をさせたくて大山に頼み岩田(伊東四朗)を食材庫に閉じ込めた。迫田たちは揃って名波をVIPルームへと送り出した。だが、部屋に入った名波はそこにやはり高校の先輩だった山崎真治(内田朝陽)の姿を見つけ呆然となった。実はこの食事会は、薫と真治の婚約を祝うものであったのだ。これを聞いた名波は激しく動揺、詩央はサーバー役を代わるというのだが・・・。

<第8回> 「僕らの炒飯戦争〜最終章」
 『平平樓』が料理の専門雑誌から取材を受けることになった。一斉にざわつく厨房。だが詩央(鈴木京香)は、「たかが取材ぐらいでうろたえてもらっては困ります」と皆に喝を入れ、以前にも取材を受けた紙面などを冷静に見せたりする。そこには本物の料理長・鬼沢(並樹史朗)や、バッチリカメラ目線の岩田(伊東四朗)、かろうじて写り込んでいる迫田(椎名桔平)の姿などがあった。そんなものを見せられては皆張り切らないはずはない。「店の名物料理の写真は撮るよね」の奈々子(瀬戸朝香)のことばをきっかけに、「麺だ、麺!」と大山(東幹久)。「ギョーザですよ」と小向(高橋克実)。「北京ダック!」と名波(二宮和也)。そして綾小路も「ソイポンハイ?」と口々に候補の一品を挙げ盛り上がっていく。だが、結局「中華は炒飯に始まり炒飯に終わる。炒飯を食べれば店の実力は分かるんだ」という料理長代理・迫田の一言が飛びだし、その後は明日の取材のための炒飯作りが行われることになったのだ。
 夜を徹して、全員一丸となっての作業。このまとまった様子を詩央は感慨深気に眺めていた。だが、実はこの時詩央にはひとつ気掛りなことが・・・。それは皆の中に入ろうとしない野口(勝村政信)の不審な行動。食材庫には横流しのためかラベルのはがされた缶詰も見つけた。そして、その詩央の不安は的中していた。野口は相変わらず中国人相手に燕の巣や高級魚などを横流ししていたのだ。だが、そんなこととは夢にも思わない迫田たちは懸命に炒飯作りに没頭していた。「やっぱり黄金炒飯だろう」との結論で、幻の味を作り出すために。しかし、それは決して簡単なことではなかった。作ってはやり直す・・・そんな作業が何度も繰り返されている。
 だがそんな時、その様子を見つめていた野口がふとこんなことをつぶやいたのだ「何で黄金炒飯なの?それは『平平樓』の名物でしょ。何か間違えてるんじゃないの・・・?」。  この一言によってその後迫田たちがオリジナルの炒飯作りを始めたことは言うまでもない。だがそんな運命的な一言を発した野口はやはり取引きの現場へ向かう。そして後を追った詩央は現場で意外な光景を目撃する。
 取材の時間は寸前に迫っている、また実はその後炒飯を食するためにの客が、岩田によって招かれていたのだった。

<第9回> 「史上最大の危機」
 「いらっしゃいませ」。詩央(鈴木京香)は、すっかり自信に満ちた表情で新たな客を迎えた。が、その客の顔を見てびっくり!それは詩央の会社の菊池社長(前田昌明)と同行者の三枝(板尾創路)だった。
 実はこの三枝という男、詩央とは同期で企画部でしのぎを削った仲。しかし詩央が左遷されてからは、こうして社長と直々に次の企画を話し合うまでになっている。
 「キャリアウーマンだった君が料理を作れるなんて・・・じゃ料理楽しみにしてるから」。チクチクと詩央を皮肉る三枝。そしてこの言動に完璧キレた詩央は、岩田(伊東四朗)に頼んでサーバー役を買ってでると、厨房で待つ迫田(椎名桔平)や名波(二宮和也)など、今ではすっかり自信をつけたシェフたちに、「オーダーはお任せです」と伝えた。
 ならばと気合いを入れ、まずは小龍包作りに取りかかった迫田たちは最高の自信作を作り上げた。「料理で社長をうならせ、三枝の企画に目がいかないようにしてやる!」秘めたる思いでVIPルームへ料理を運ぶ詩央。

 だが・・・この小龍包にはじまって、出す料理出す料理、社長たちは話に夢中でどの皿にも手をつけようとしない。そしてその手つかずの料理は、「お腹すいたのー食べたいー」と言う奈々子(瀬戸朝香)の前へと運ばれていった。だが迫田たちはへこたれない、名誉挽回のチャンスはある!と協力して料理に没頭し続けていた。
 そんな中、詩央だけは、自分自身の名誉挽回のチャンスでもあると気づき、料理と共に企画書を社長の前に差し出したのだ。「煮詰まった時には気分を変えて、他の意見に耳を傾けては」と言って。本来の役目を忘れた詩央を苦々しく見つめる岩田。

 しかし、そんなことを繰り返してるところへ、とうとう客からのオーダーストップがかかった。結局何も食べてもらえなかった。沈む厨房・・・。
 だがその時、下げられた料理を食べることに熱中していた奈々子が「でーきたっ」と明るい声で言うと、VIPルームへと向かっていった。「何?」いったい何が始まるのかと怪訝そうに見守る詩央たちだった。


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