第101回 2004年6月20日 「ブッション・リヨネーズ」
その昔、貧富の差が激しかった時代から労働者達に愛されてきたレストランがある。
その名はブッション。レストランというよりも、むしろ大衆食堂、居酒屋といった方が 似合うリヨン風のビストロである。出される料理は内臓系のものばかり。 しかし、安くて旨い庶民的な雰囲気が人気となり、今でも狭い店内は毎日お客で賑わっている。 |
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フランスのリヨンという街は、日本では「聞いた事があるけど、詳しくは知らない」という人が多いのではないかと思います。個人的には、「6年前、サッカーのフランスワールドカップで日本がジャマイカと対戦した街」という印象がありましたが、やはり詳しい事は、今回取材に行くことが決まるまでは知りませんでした。ところが、いざ資料を読んでみると、そこはフランス第2の都市。しかも、街の中には高級レストランが建ち並び、100キロ圏内にミシュランの3つ星レストランが7店もある「美食の街」と言われる場所。高級レストランばかりでなく、一般庶民レベルでも美味しいものの探求に労を惜しまず、食堂にもお惣菜屋にも、美味しいものが溢れているというのであれば、この番組で取材しない訳には行きません。そこで今回取材先として選んだのが、リヨン市民の憩いの場所であり、日本風に言えば「居酒屋」的でもあり「定食屋」的でもある店、ブッションでした。 「Bouchon(ブッション)」とは、そもそもフランス語で「コルクの栓」「交通渋滞」「釣りのウキ」、そして「藁の束」という意味があるのだそうです。そこで、何故、この庶民的なレストランが「ブッション」と呼ばれるようになったのか…それには諸説あるようなのですが、そのひとつに、昔、食事を食べられる宿坊で、あらかじめ受け入れる階級を知らせるサインというものが店の軒下に飾られていたという話がありました。そのサインとして使われていたのが、金持ちの客を受け入れる宿坊には金物か木製のもの。貧しい客を受け入れる宿坊は藁の束。つまり、「貧しい人達が集まる店」という意味を込めて「ブッション」と呼ばれるようになったのです。実際、当時は、リヨン名物でもある絹織物の職人が、重労働の中、ブッションで食事をするのを楽しみにしていたという話もあり、その時代から、お金のない人でも気軽に入れる憩いの場となっていたのかもしれません。 もちろん、今では、「貧しい人達が集まる店」という雰囲気はありません。狭い店内はいつも予約のお客で一杯。若者も年配も関係なく顔見知りと共に集まって、食べて、飲んで、騒いで、一日の終わりを気分よく過ごす、相変わらずの憩いの場となっています。当時の面影が残っているとすれば、店のメイン料理である内臓料理と、親しみやすい店の雰囲気くらいでしょうか。昔は、貧富の差が激しく、お金持ちは肉を食べ、労働階級は残った内臓を食べることが多かったとのこと。しかし、そこは「食」にうるさいリヨンの街。内臓といえども、いかに美味しく料理を作るか…そんな工夫が施され、今やブッションで出される内臓料理もリヨン人の大好物となっているのです。聞く所によると、ブッションという、店は小さいけれども気軽に入れて安くてうまいレストランの形態が人気があるため、伝統も料理もたいしたことのない、名前だけ「ブッション」という文字を入れたインチキ「ブッション」も現れているのだそうです。まあ、それもこれも、ブッションが、それだけリヨン人の生活に浸透しているからこそなのでしょう。リヨンに行ったら高級レストランでしっかり料理を味わうのも良いと思いますが、料理に加え、街やリヨン人の雰囲気を味わいたくなったら、ブッションに出かけてみるのも面白いと思いますよ。 |
「タブリエ・ド・サプール」 |
<作り方> | ||
[1] | 牛の第2胃袋(ハチノス)を白ワイン、酢、マスタード、塩、コショウを混ぜた中に入れ、24時間浸しておく | |
[2] | 器に生卵、サラダオイル、塩、コショウを入れかき混ぜる | |
[3] | [1] の牛の胃袋を [2] に浸け、パン粉をまぶす | |
[4] | 熱したフライパンの中でバターを溶かし、[3] の胃袋をソテーする |
BUCHON(レストラン) 住所:12. rue Pizay 69001 Lyon TEL:04 7828 1094 |
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「SOMETHING SO BEAUTIFUL」 Emma 作詞/作曲:E.BUNTON, S.LEWINSON, P.LEWINSON レコード会社/CD NO:19 RECORDS/986615-8 |
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