第6回 2004年2月10日(火)放送 あらすじ

#6 娘との旅

 徹朗(草なぎ剛)は来月いっぱいで退職したいと井上部長(小日向文世)に伝えた。「家の近くの信用金庫でお世話になるつもりです」。残業はないが、給料は半分になる。「おまえがその程度のヤツだと見抜けなかった自分にムカつく」。今度の社内人事で井上は常務への昇進がウワサされている。子飼いの部下の突然の退職は影響をおよぼすかもしれない。しかし井上の口から慰留の言葉はでなかった。
 凛(美山加恋)の不登校は続いていた。ある夜、担任の石田(浅野和之)が突然たずねてきた。「先生が来てくださったぞ」。しかし凛は逃げるように、勉強を教えてくれていたゆら(小雪)と自分の部屋にひきこもった。石田はなくなった凛のクツと下敷きを差しだした。凛を困らせたくて同級生の女の子が隠していたという。「申し訳ありませんでした」。そして石田は授業でつかったプリントの束を徹朗に手渡した。「教師になりたての頃は、こんなにためなかったのに」。それまで事務口調だった石田が、その瞬間だけは本音をのぞかせたように徹朗には感じられた。これで明日から登校してくれるはず。そんな徹朗の期待はあっさり裏切られた。「行きたくないです」。凛ははっきりと言った。石田に対する不信感は消えてなかった。
 「本気かよ」。宮林(東幹久)はマンションにまで押しかけてくると、徹朗に退職の真意を問いつめた。「なんでそんなにさっぱりしてるんだよ」。宮林には徹朗の平静ぶりが信じられなかった。かたや徹朗には他人のことなど関心ないと思ってきた宮林が、まるで自分のことのように興奮しているのが不思議に見えた。
 義朗(大杉漣)が足を骨折して入院した。「かえってよかったかも」。美奈子(長山藍子)が思わずそうもらしたのには理由があった。義朗は趣味がなく、近所づきあいもない。定年退職したのに、自由な時間をもてあましていたからだ。入院していれば暇つぶしにはなる。
 「遅くまでは無理ですから」。宮林から声をかけられて、徹朗は気のりしないまま合コンに参加した。退職を間近にひかえた徹朗に関心をしめす女の子はいなかったが、徹朗にはむしろ好都合だった。「俺、急ぐんで」。凛の待つ自宅へ急いだ。
 その夜、子供部屋から泣き声がもれてきた。「お母さん」。寝ぼけた凛は泣きながら徹朗にしがみついた。「大丈夫だから」。いまの徹朗はしっかりと抱きしめることしかできない。数日後、徹朗はゆらに銀行を辞めることを伝えた。「驚いた?」「はい。でも間違ってないと思います」。徹朗はその一言が聞きたかったのだ。「よかった」。徹朗はホッとしたように微笑んだ。
 日曜日、徹朗は凛と遠出した。凛の気分転換になればとゆらが勧めてくれたのだ。一面の雪景色のなか、2人は大きな雪だるまを作った。「学校、どうするんだ? お父さん、銀行辞めることにしたんだ。今までとは違う生きかたをしたいんだ」。凛は何も言わない。徹朗はきっぱりと言った。「凛ともっと一緒にいたいんだ」。2人は歓声をあげて雪合戦をした。「ヤッター!」「やったなあ」。徹朗は願った。凛は母親のいない寂しさをずっと抱えていく。だからこそ父親には愛されていると感じてほしいと。
 「学校、行くのか?」。やっと凛がその気になってくれた。しかし校門の前に石田がいるのに気づいた途端、凛は動けなくなってしまった—。

キャスト

小柳徹朗(30)… 草なぎ 剛
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北島ゆら(29)… 小雪
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宮林功二(32)… 東 幹久
坪井マミ(25)… 山口紗弥加
岸本 肇(24)… 要 潤
石田和也(42)… 浅野和之
勝亦亮太(29)… 大森南朋
谷川亜希(29)… 田村たがめ
小柳 凛(7)… 美山加恋
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小柳義朗(59)… 大杉 漣
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井上啓一(48)… 小日向文世
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大山美奈子(58)… 長山藍子

スタッフ

■脚本
  橋部敦子
■プロデューサー
  重松圭一(関西テレビ)
  岩田祐二(共同テレビジョン)
■アソシエイトプロデューサー
  石原 隆(フジテレビ)
■演出
  三宅喜重(関西テレビ)
■音楽
  本間勇輔
■制作
  関西テレビ
  共同テレビ

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