第7回 2003年11月17日(月)放送 あらすじ

#7 アンパンは誰が食べた?

 司法研修所の教室では、楓由子(ミムラ)と森乃望(松雪泰子)以外の仲間たちが、実際に行われた裁判を例にとって、その判決と量刑を判断していた。松永鈴希(奥菜恵)が問題を出し、羽佐間旬(オダギリジョー)、桐原勇平(堤真一)、田家六太郎(我修院達也)、黒沢圭子(横山めぐみ)、崎田和康(北村総一朗)が答えている。すぐに被告人の無罪を唱える羽佐間と、犯罪は犯罪として被告人にあえて情を挟まない桐原は、どの質問でもぶつかり気味。
 その頃、楓は事務局に急いでいた。教務課課長の山本宗司(金田明夫)が、まさに提出箱を片づけようしているところに楓が到着。課題提出の締切時間に間に合った、間に合わないで山本と押し問答をしている楓に、野佐木恍也教官(石橋凌)が声をかける。野佐木教官は、楓が次回の刑事裁判実務修習で世話になる裁判官が担当している事件の資料を渡した。同時に、楓の仲間たちの所在を尋ねる。野佐木教官を教室に連れて行く途中、楓は森乃と出会う。森乃は、牛丼の買出しに行っていたのだ。3人で連れ立って教室に到着すると、野佐木教官は、楓が担当することになる事件の判決と量刑を、8人で合議してひとつにまとめた上で自分に提出するようにと伝える。それをめぐって交わされる、みんなの会話を耳にしながら、楓の表情は暗かった。
 楓たちが任された事件は、ある一組の夫婦に起こった事件。貧困に陥り、また身体の不自由も抱える夫・男A(三井善忠)が、病気で後遺症を抱える妻・B子(広岡由里子)を殺害してしまったのだ。夫婦は職を得るために上京したのだが、あてを無くして止むを得ず空き地や公園などで生活するうち、金銭が底を尽きてしまった。事件発生までの一週間に、2人がまともな食事をしたのは牛丼弁当だけ。その後は、残飯をあさり、公園の水を飲んだりして飢えをしのいでいた。だが、もともと身体が丈夫でなかったB子はすぐに衰弱し、生きる希望を失ってしまう。ついにB子は、男Aに「殺してください」と懇願。男Aは、探して拾ったロープでB子の首を絞めて殺害した。その後、現場近くに放心状態でいるところを発見された男Aは、警官に職務質問され犯行を自供。逮捕され、殺人罪で起訴されたのだ。
 事件のあらましを知った羽佐間は、男Aの犯行は自殺幇助か同意殺人であって、通常の殺人ではないと発言。逆に、桐原は明らかな殺人罪だと主張。松永は、ふたりの論争に、自殺幇助は成立しないと割って入った。実際の裁判では、検察側は殺人罪で起訴し、男Aの弁護側は同意殺人を主張している。生活苦の事情を知った羽佐間は男Aに同情的だが、桐原はあくまでも情状の余地を認めない。楓たちは、その後も細かい点について検証を進めていくのだが、羽佐間と桐原の対立は深まっていく。森乃は、桐原が男Aの気持ちを理解しようとする姿勢さえ見せないことに疑問をぶつける。羽佐間や田家も追い詰められた人間の心情を推し量ろうとしない桐原を責める。すると桐原は、男Aがどうしようもない人間だと思っていることを認めた。殺人に至る前に、いくらでもとるべき手段はあったと言う。桐原の意見は正論なのだが…。
 楓と羽佐間は、寮に戻ってもそれぞれ事件の経緯に頭を悩ます。食堂で楓が考えていると、羽佐間が飲みに行こうと誘ってきた。楓は、羽佐間が桐原の考え方にショックを受けていることを見抜く。羽佐間は元エリート官僚である桐原でも、自分たちと分かり合えると思っていただけに、頑なに“強者の論理”とも見える主張を展開する姿に裏切られた感じを覚えていたのだ。しかし、楓はあきらめていなかった。もっと話し合わなければいけないと、強く主張する楓に打たれ、羽佐間はもう一度2人で事件の検証を始める。すると楓は、B子が亡くなる前に食べたものは牛丼だけだったのか? と、疑う。楓が、はっ、とひらめき、メモをめくり始める…。
 桐原は、一人で飲んでいた。だが、どうしても男Aの気持ちがわからない。店を出た桐原は、売店で大量の新聞を買って、ダンボールをもらった。近所の公園に向かう…。
 翌朝、森乃が研修所に向かっていると、ダンボールと新聞をゴミ収集所に捨てている桐原を目撃。しかし、その日の放課後の集まりでも、桐原は情状酌量や執行猶予の可能性を否定する。松永もこれに同調し、やはり仲間たちの意見は決裂。楓と羽佐間は、昨晩気づいた最後の食事がアンパンだったかもしれないことを持ち出す。楓と羽佐間は、このことから2人が社会の犠牲になってしまったことを問題にしようとするのだが、桐原はやはり受けつけない。松永も、殺人犯の気持ちばかり考えても仕方がないと言う。こうして、仲間たちは答えを見つけられぬまま、決定的とも言えそうな対立に至ってしまった…。

キャスト

楓 由子    … ミムラ
羽佐間 旬   … オダギリジョー
桐原勇平    … 堤 真一
松永鈴希    … 奥菜 恵
田家六太郎   … 我修院達也

山本宗司    … 金田明夫

野佐木恍也   … 石橋 凌

黒沢圭子    … 横山めぐみ
崎田和康    … 北村総一朗
森乃 望    … 松雪泰子
 ほか

スタッフ

■脚本
  水橋文美江
■演出
  川村泰祐
■プロデュース
  山口雅俊
■制作
  フジテレビ

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