あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「捨てられた思い出」
 『アンティーク』最大の危機、天才パティシエ・小野裕介(藤木直人)不在の慌ただしい一日が終わった。心地よい疲れを残してアパートに帰った神田エイジ(滝沢秀明)は「好きな人が出来たから、出ていって」と、内野茜(西野妙子)に言われてしまう。一方『アンティーク』へ忘れ物を取りに戻った飯塚桃子(小雪)は、行方不明騒動の張本人、小野と出くわす。ちょっぴり嬉しくて、饒舌に話し掛ける桃子だが、小野の反応は・・・。
 さて翌日、出勤前の橘圭一郎(椎名桔平)が自分の部屋で起こした男は・・・宿無しエイジ。茜に追い出されたエイジは、悪びれもせず橘の家に泊まり、白井富貴子(八千草薫)たちに朝食まで食べさせてもらって「金持ちなのにいい人たち」と上機嫌。そんなエイジを見た橘は、当家に居着くつもりではないか? と、困惑気味。
 その頃、小早川千影(阿部寛)は出勤前の一時をファーストフード店で過ごしていた。千影の手には一通の手紙“・・・私と主人そしてひでこは、ハンガリーへ行くことに・・・”。
 さてそんな中、『アンティーク』営業開始。橘の自分に対する態度が、妙に優しいことが気にかかる小野に、エイジは、小野が引き抜きされるんじゃないかと橘が思っていることを話す。否定も肯定もしない小野。だが、小野にとっては誰も休暇の理由を尋ねてこないことの方が不思議だった。「言いたくなったら、言うでしょ?」と言うエイジに、小野は感謝する。その時、小野は賞味期限切れの小麦粉を使わないようにとエイジに指示。素直に応じるエイジだが・・・。
 そんな『アンティーク』に、バイオリンを抱えた少女がやって来た。出迎えたエイジ、橘に「パパいる?」と少女。「オヤジの子か?」と尋ねるエイジに「まさか」と小野を見る橘。3人に微妙な疑惑と混乱が走ったとき、奥から千影が出てきた。「パパ」「デコちゃん」と抱き合う二人。と、言うことは・・・。
 千影に甘える少女の名は、ひでこ(邑野未亜)。幼なじみの橘でさえ、知らなかった千影とひでこの関係。千影を厨房に呼び込んだ橘は、わけを訊ねる。すると、千影は結婚して子供が出来て離婚したことを打ち明ける。事情を知った橘は千影に、仕事を早く上がってひでこと過ごすように、と言う。
 久しぶりに2人きりで出かけた千影とひでこ。今の生活には満足しているがハンガリーには行きたくないと言うひでこを、優しく励ます千影。すると秀子は、以前2人で作ったケーキを食べたいと言い出す。千影は、ハンガリーに行く前に食べに来いと約束。
 『アンティーク』に戻った千影は、エイジや橘にひでこがハンガリーに行くことを話す。「ひでこと会えなくなっていいのか?」と聞くエイジに千影は、「ハンガリーの音楽院に入るのが秀子の夢だった」と語る。ちょっと寂しい雰囲気がただようメンバーを活気づけるように橘が話題を変更。テーマは、宿無しエイジが、どこに泊まるか? うっかり「小野のところへ」と言ってしまった橘は、すぐ失態に気づき『アンティーク』2階の物置をエイジの新居にと提案。エイジは「これで寝坊しても平気」と大喜び。
 次の日、いつものように営業を終えた『アンティーク』で、千影は橘に明日の朝まで、
厨房を貸して欲しいと頼む。秀子のためにケーキを作りたいと言う千影に、エイジは大賛成。手伝うと申し出るエイジだが、千影は一人でやりたいと断った。そして、不器用な千影のケーキ作りが始まった。

<第8回> 「告白」
 お昼休憩の『アンティーク』。“超大物カップル離婚の危機”なんて、ワイドショーを見ながら橘圭一郎(椎名桔平)が作る料理を待つ神田エイジ(滝沢秀明)、小野裕介(藤木直人)、小早川千影(阿部寛)たち従業員。やっと出来た料理に食らいつくエイジは、何を思ったか橘に「この店、儲かってんの?」と疑問を投げた。橘の答えはNO。予想外の人件費がかかりすぎているのだ。「始めたばかりだから赤字は覚悟していた」と言う橘だが、お客は多いに越したことはない。しかし、橘はテレビや雑誌などで紹介されるような宣伝は『アンティーク』には似合わないとキッパリ告げ「ちょっと出掛ける」という言葉を残して店を後にした。
 その頃、スポーツタイムス編集部では飯塚桃子(小雪)に、テレビでフリーのレポーターをしている友人の諸岡美恵子(鈴木砂羽)から電話が入った。美恵子は、待ち合わせたレストランで桃子にレポーターの悩みを話す。自分の身分を伏せて、潜入取材した時の後味の悪さなどだ。そう言えば桃子にも思い当たる節が・・・。桃子は『アンティーク』の従業員たちに、エイジの取材をしていることを隠しているのだ。そんな桃子に、美恵子は「最近はまっているのもは?」と聞いてくる。桃子は『アンティーク』のケーキと店、従業員のことを話して、美恵子と別れた。
 レストランを出た桃子は、とある雑居ビルから出てきた橘と出会う。2人は挨拶をかわすが、桃子は疑惑に囚われる。なぜなら、橘が出てきたビルにはいかがわしい風俗店の看板が。それに気づいた橘は言い訳しようとするが、言葉がみつからない。橘は、別の用事でこのビルにいたのだが・・・。
 数日後『アンティーク』では、エイジが吉永正太(えなりかずき)にジャンパーをプレゼント。どうやら、正太はエイジから女性の口説き方を教わっているらしい。目を見て「オレの女になれよ」と言えば、口説けると言うエイジに、正太は妙に納得している。
 『アンティーク』が開店すると、美恵子がやってきた。桃子から店を聞いたという美恵子は、自分のテレビ番組で紹介したいと橘に頼む。先日の橘の話を思い出したエイジは、彼に変わって断るが美恵子は食い下がる。そして、スタッフ全員が女性だという話がでた途端、橘はあっさり取材を受け入れてしまった。そこにやって来た桃子は美恵子にビックリ。桃子は自分が新聞記者だと言うことを美恵子が話したのではないかと思ったのだ。「言ってない」と聞いて安心する桃子を横目に、美恵子は厨房へ突入。小野を硬直させてしまう。
 そして収録日。「アンティーク」はテレビスタッフと常連客でいっぱい。橘は、インタビューに答えて欲しいと小野に頼むが「嫌です」と断られる。橘が美恵子に謝って、とにかく収録開始。しかし、エイジと橘以外、千影や客たちは緊張でガチガチ。美恵子のインタビューもまともに進行しない。心配してやって来た桃子も、申し訳なさげ。取材陣が帰った後、頭を下げる桃子だが、逆に橘から礼を言われる。エイジも、これで店の売り上げが伸びたら従業員と常連客で温泉に行くと橘が言っていたと桃子を安心させる。
 だが、編集部に戻った桃子には問題が待っていた。掲載予定の記事がとんだ穴埋めに、エイジのことを書くように言われてしまったのだ。しぶしぶ書き始めた桃子だが・・・。

<第9回> 「禁じられた歓び」
『アンティーク』の面々に新聞記者だと言うことを明かした飯塚桃子(小雪)は、神田エイジ(滝沢秀明)の取材を仕切りなおし。スポーツドキュメンタリーを書くというのだ。だが、正式にインタビューを受けるエイジの答えは、あまり思わしくない。居合わせた橘圭一郎(椎名桔平)や小野裕介(藤木直人)、小早川千影(阿部寛)もあきれ顔。しかし、その本に自分たちや店のことも書かれると聞くと、俄然盛り上がってくる。そこに、諸岡美恵子(鈴木砂羽)が飛び込んできた。美恵子は『アンティーク』を紹介する放送が無くなったお詫びに奢るから飲みに行こう、と、一同を引っ張り出した。
 美恵子とともに居酒屋で飲みだしたエイジたち。場を盛り上げる美恵子は席上、微妙に絡む小野と桃子の視線を見逃さない。席を少し離れていた橘が戻ってくると、何やら一同大爆笑。理由が知りたいのだが、別の話になって聞き逃してしまう。宴も終盤、美恵子は橘と千影を次の店へと誘う。エイジも走りに行くと、先に帰ってしまった。
 残されたのは小野と桃子。桃子は、勇気を出して小野に女嫌いの理由を尋ねる。すると小野は、以前辛い失恋をして以来、自分に好意を持ってくれる女性が苦手になったと告白する。さらに帰り道、小野は自分に兄がいることも桃子に語った。そして、その兄の人生を自分がメチャクチャにしてしまったとも・・・。
 その頃、橘は千影、美恵子とカラオケの真っ最中。歌い終わった橘が席に戻ると、千影と美恵子が笑っている。理由を尋ねる橘だが・・・ここでも、教えてもらえない。一方、エイジがランニングして『アンティーク』に帰ると、内野茜(西野妙子)が来ていた。お泊りセット持参で来た茜を、エイジは店内に入れる。
 翌朝、橘が「アンティーク」に出勤すると、エイジ、小野、千影、茜が楽しそうに笑っていた。みんなの笑いの原因が気になる橘だが、またしても教えてもらえない。寂しく、店の前に出た橘に、やって来た吉永正太(えなりかずき)が話し掛ける。エイジに話があるという正太に「何の?」と、問う橘。やはり、教えてもらえなかった。
 笑いの輪に加われない橘。桃子が宗像克雄(辻萬長)のマネをした時もタイミングを逸した。そして・・・『アンティーク』に新しい客がやってきた。以前、小野を訪ねて来た女性が男の乗った車椅子を押して入ってくる。男を見た小野が「兄さん」とつぶやいた。男の名は小野啓介(升毅)。久しぶりに兄弟が再会したようだが、話ははずまない。しかも小野は、啓介と一緒に来た女性、小野玲子(細川直美)を見ようともしないのだった。さらに小野は、二人に注文されたケーキを作るのだが、持っていくのはエイジに任せて厨房にこもってしまう。この間、橘はオーナー室で仮眠を取っていた。
 啓介と玲子が帰ると、小野はフロアに出てきて、啓介が車椅子生活になったのは自分のせいだとエイジたちに語る。シリアスな雰囲気が漂う店内。そこに、目覚めた橘がやってくるが、またしても肝心な場所に居合わせなかった彼にとっては、このシリアスに状況の原因はわからずじまい。
 買い物に出かけたエイジは、正太に呼び止められた。実家の和菓子をふるまいながら、正太は「俺の女になれ」と言う最後の勇気が出ないとエイジに語る。エイジは体を鍛えると勇気が出てくると正太にトレーニングを勧め、翌朝から始めることにするのだった。
 次の日、正太にトレーニングを続けるよう言い残して「アンティーク」にエイジが戻ると、小野は「出かけてくる」と行ってしまう。啓介から呼び出されたのだ。橘は、昨晩飲み過ぎて出勤して来ないが、エイジと千影、桃子が店にいる。そこに、玲子がやってきた。
玲子は、一同に啓介の妻であることを告げる。桃子は「小野さんを傷つけた人って」と尋ねると「私です」と玲子は・・・。
 その頃、小野と啓介はグランドでキャッチボールをしていた。淡々と続くボールの受け渡しの中で、兄弟は空白になってしまった関係を再び構築しようとしていた。


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