あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「小さな星」
 小早川千影(阿部寛)が、フロア担当として「アンティーク」に加わったことで、神田エイジ(滝沢秀明)は、なぜかウキウキしている。自分より後輩が入り、小野裕介(藤木直人)と厨房で作業できる時間が出来たと大喜びで、客のオーダーで「星のケーキ」を作っていた。もともと、橘圭一郎(椎名桔平)さえ「オヤジ」呼ばわりのエイジは、千影との年齢差に臆することもなく、早くも先輩風を吹かす。
 エイジには、もうひとつ嬉しいことが。休憩がとれるようになったのだ。小野のケーキ作りを手伝っていたエイジは千影と交代して、さっそくどこかに姿を消す。残された小野と千影の視線が微妙に絡まるのを、橘がフロアから覗いていて・・・。
 エイジは「神田ボクシングジム」に来ていた。ヘッドギアもせず、軽やかなフットワークでスパーリングするエイジ。そこに帰ってきた神田源一(牟田悌三)は、エイジの目を心配してスパーリングを止める。これがエイジの休憩だった。
 「アンティーク」では、来店した飯塚桃子(小雪)を橘と千影が迎えた。この2人の出迎えに、少しがっかりの桃子。店には相変わらず、吉永正太(えなりかずき)がいた。席について、橘にオーダーした桃子の目はケーキを運ぶために厨房から出てきた小野に釘付け。しかし、小野はそっけなく厨房に下がる。そこに、内野茜(西野妙子)が牧野潤子(中越典子)を連れてやった来た。エイジの姿を探す茜に、橘はその関係を尋ねる。すると茜は、エイジの元彼女で今も一緒に暮らしていると答えた。店内の人々は、茜の話にビックリ。
 茜によると・・・潤子も同様だが、エイジは彼女たちを男関係のトラブルから救い「こんな男やめて、俺の女になれば」と、告げたらしい。そして「そのまま(彼女に)なっちゃったの」と言うのだ。「男は強くないとね」と茜たち。正太は興味津々だが、エイジが中学3年生の時のことだと聞いて橘、千影とともにタメ息。厨房で聞いていた小野は、自分が中3の時を思い出して暗い表情になっていた。
 休憩から戻ったエイジは、橘たちの自分への視線に「?」。エイジは茜と潤子に「何をしゃべった?」と尋ねるが「別に嘘は言ってないよ」。エイジを追うように、大林由紀子(白木美貴子)が来た。「星のケーキ」をオーダーした客だ。早速、エイジは小野が作った「星のケーキ」を持ってくるのだが・・・。由紀子は、今一つ晴れない表情で去って行く。
 翌日、由紀子がアンティークを再訪。「星のケーキ」を作り直して欲しいと言う。エイジは不満一杯。橘がわけを聞くと由紀子は、入院中の娘の頼みなのだがイメージが違うと言われた、と答えた。しかも、具体的な要望は無いのだと言う。小野は、エイジと「星のケーキ」を作り直した。由紀子が帰ると島崎珠美(眞鍋かをり)が来店し、ケーキをオーダーする。その珠美に正太は「男は強い方が好き?」と尋ねた。弱いよりはいいと珠美が答えると、正太はエイジを厨房の裏に呼び出した。茜たちの話を聞いた正太は、強くなる方法をエイジに聞こうとする、まさにその時エイジは橘に呼ばれて行ってしまう。
 エイジがフロアに戻ると宗像克雄(辻萬長)がいた。橘は、宗像の接客をエイジに任せて休憩に入ってしまう。オーナールームの橘を小野が心配する。宗像が来ると様子が変わる橘に小野は疑問を突き付けるが、橘は話をはぐらかせてしまう。一方、宗像を見た千影は、記憶の中に何か引っかかるものを感じていた。
 さて、由紀子は「星のケーキ」を娘の加世子(大島優子)に見せたが、今度も納得してもらえなかった。それを受けて「アンティーク」では、小野が再度ケーキを作り直す。橘は、出来上がったケーキを加世子の病室に届けるよう、エイジに命じた。

<第5回> 「過去からの贈り物」
 「アンティーク」では、橘圭一郎(椎名桔平)が従業員たちの昼食を作った。お手製料理に自信満々の橘だが、神田エイジ(滝沢秀明)は食後のケーキの方が関心事。小野裕介(藤木直人)にお伺いを立てるが「ダメ」と言われて、しょんぼり。小早川千影(阿部寛)の評価は・・・どっちつかず。唯一、小野だけが「美味しいです」と言ってくれたので、橘は顔をほころばせる。その時、エイジが、甘いものが好きでもないのに何でケーキ屋を始めたのか? と、橘に聞く。橘は、ケーキ屋には女が集まると答えるが、千影は微妙な反応。
 その頃、スポーツタイムスでは飯塚桃子(小雪)が野間篤史(小林すすむ)と「アンティーク」のケーキを食べていた。取材中のエイジに惚れた? と、からかう野間に桃子はムキになって否定。さらに、野間が突っ込むと「私が好きになったのは、神田エイジじゃありません!」と桃子。それでは、誰を?
 「アンティーク」に新しい客、遠山みどり(須藤理彩)が来店。店内を見回すみどりを見た橘は「口コミのお客様だな」と、エイジに耳打ち。「どなたかから評判を聞いて?」と、橘に対して返ってきた答えは「いいえ」・・・。またもやオーナーの権威失墜か? 結婚して実家を出たみどりは、妻を亡くして一人で家にいる父親が「アンティーク」のレシートを何枚も持っているのを見つけたのだと言う。そこに、宗像克雄(辻萬長)が来た。その宗像に「お父さん」と、みどり・・・。宗像は、むっつり怒り顔でみどりが止めるのも聞かず店を出てしまった。
 さりげなくフロアから姿を消していた橘が戻ってきたちょうどその時、みどりが父のことを語りだした。仕事に追われてプライベートの時間はほとんど無かったが、亡くなった妻と一度だけ銀座のケーキ屋でデートしたこと。妻を亡くしてから、ケーキ好きになったこと。そして、宗像が刑事だったと言うみどりに、千影がピクリ。みどりは、誘拐事件の犯人を捕り逃して以来、宗像が無口になったと話す。誘拐された男の子は無事だったが、事件で心を痛めた人たちに責任を感じていると言う。密かに目を閉じる橘・・・。以来、橘の様子がどうもおかしい。とても気になるエイジだが、小野と千影は静観の体勢。エイジ・・・不満。
 そんなある日、エイジが店の前で休憩していると桃子が来た。エイジは、職場の人間同士はクラスメートみたいに何でもしゃべりあえないの? と、桃子に問いかける。「大人だから、なれないんじゃない」と答える桃子だが、取材したいのは自分の方。「聞きたいことが・・・」と切り出すが「先生(小野)でしょ?」とエイジ。さらに「先生は、女が嫌いらしい」と言い出すエイジに、桃子はつい「なんで? 」と聞き返す。エイジ・・・答えられない。そこに島崎珠美(眞鍋かをり)がやって来て、エイジの休憩は終わり。桃子には別の取材の呼び出しが入ってしまう。桃子・・・取材失敗。
 珠美は珍しくケーキをテイクアウト。一緒に食べる人がいると言う。続いて美しい女性、小野玲子(細川直美)が店内へ。「裕介君いる? 」と訊ねる玲子に千影が、出掛けていると答えると「また来ます」と帰った。吉永正太(えなりかずき)も来るが珠美とすれ違うと、後を追うようにUターン。店に戻った小野は、エイジから美しい女性が訪ねてきたと聞かされるが無言で厨房へ。と、宗像がケーキを買って帰った。橘が後を追う。
 橘が帰ってくると、白井富貴子(八千草薫)が橘紘子(生田悦子)と白井栄子(木村翠)を伴って店にいた。閉店後、親族を前に橘が猫をかぶっていたとエイジが不満を言うと「かぶってるよ」と橘。しかし、何故かを話そうとしない橘にエイジは「一緒に働く仲間なのに、面白くねえ! 」とぶつけると・・・橘は、ある秘密を語る決意をした。
 橘の秘密を聞いた一同は、彼の頼みであるケーキ制作にとりかかる。そんな時、エイジに内野茜(西野妙子)から電話が入る。「話したいことがある」と言う茜だが、エイジはケーキ作りで徹夜になりそうで・・・。

<第6回> 「見知らぬ記憶」
 「アンティーク」の厨房では、神田エイジ(滝沢秀明)が小野裕介(藤木直人)と焼き菓子作り。毎朝、みんなより早く店に来てエイジが練習を重ねていたことを知る小野は、その出来栄えをチェックしながらエイジをほめる。フロアから、2人の作業を見ていた橘圭一郎(椎名桔平)も「悪くないねぇ」とまんざらでもない。その橘が店の前に出ると「社長さんでしょうか?」と神田源一(牟田悌三)が呼びかけた。源一は、エイジが世話になっている礼を言いに来たのだ。
 橘は源一を寿司屋に誘う。ひたすら頭を下げて礼を言う源一に、橘は「エイジは頑張っている」と伝える。すると源一は、エイジをボクシングジムに引き取った時の話を始めた。才能を見抜いた源一は、当時どうしようもない不良だったエイジを何とかうまくおだてて鍛えたのだそうだ。そこからめきめきと才能を発揮したエイジだったのだが、だからこそ、ボクシングを失った今、源一と出会った頃に戻ってしまうのを、源一は何よりも心配していたのだ。その頃「アンティーク」に一本の電話が。エイジが受けると、相手は小野を出して欲しいと言う。エイジから代わった小野は、無言のまま電話を切ってしまった。
 翌日、内野茜(西野妙子)の部屋で目覚めたエイジは、彼女が「話がある」と電話をしてきたことを思い出す。エイジが尋ねるが、茜は話さなかった。エイジは「アンティーク」へと出勤。同じ頃、携帯にもたらされた情報に、橘が驚愕していることも知らずに・・。
 店に着いて厨房に入ったエイジは、作業台の上に手紙を見つける。“今日一日、休みます。よろしくお願いします”。それは、突然の休みを告げる小野からのものだった。驚くエイジ。小野がいなければ、ケーキが出来ず「アンティーク」を開店出来ない。
 橘と小早川千影(阿部寛)もやって来て、今日一日店をどうするかの相談が始まった。そこに、電話が・・。「もしや?」と期待する一同だが、それは吉永正太(えなりかずき)から。正太はご丁寧にも、店が忙しいから「アンティーク」に行けないと断ってきた。どうでも良いような連絡の変な余韻の中、橘は「君がやるんだ」とエイジに命じる。橘は、エイジの焼き菓子のみのサービスで何とか一日を乗り切ろうと思い立ったのだ。不安顔のエイジに「お前なら出来る」とおだてる橘。源一の言葉を思い出したのだ。案の定、エイジはやる気満々で厨房に消える。すると千影は橘に「先週行ったお店のおねえちゃんたちが来る日ですね」とボソッ・・。千影は、橘が執拗に開店しようとする理由を知っていた。
 エイジの焼き菓子が出来上がり「アンティーク」は開店。だが、こんな日に限って最初の客はケーキにうるさい宗像克雄(辻萬長)。橘は、エイジの焼き菓子を勧めるが「また来る」と出て行ってしまった。落ち込むエイジを励ます千影。2番目の客は島崎珠美(眞鍋かをり)。焼き菓子を食べた珠美はエイジにVサイン。そんなエイジを、橘がからかうが、千影はまたしても励ましていた。
 スポーツタイムスでは飯塚桃子(小雪)が、橘の誘拐事件の記事を読んでボーッとしている。思い立って「アンティーク」に行こうとするが・・片づけてない仕事を指摘され、編集部に引き止められてしまう。
 客が途絶えて一段落の「アンティーク」では、自然と小野の話題に。すると千影が「ヘッドハンティングではないか?」と言い出した。千影は、先日、小野に女性が尋ねて来たことなどを挙げる。エイジも昨日女性から小野に電話があったことを思い出す。不安に駆られる橘が、スカウトの人間だったにちがいないと言い出したのは・・桃子。橘は、桃子が客のふりをして様子を探っていたと決め付ける。そこに、当の桃子がやってきた。接客に出た橘は、桃子の正体を暴こうと迫る。しかし、桃子は橘がなぜ変な態度に出たのか分からない。
 その頃、小野は郊外のとある家の前に立っていた。


戻る

バックナンバー
[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-11回]