あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「仕掛けられた罠」
 裁判を起こすためには村の代表、つまり原告の第一番になってくれる人物が必要だと知り、仁太郎(役所広司)と信乃(鈴木京香)は、悌一郎(寺尾聰)を説得しようとする。
 だが、責任の重大さや裁判には勝ち目のないことを理由に、悌一郎は二人の頼みを簡単には引き受けようとはしない。
 「先生しか頼れる人はいないんです・・・」。それでも信乃が、恩師でもある悌一郎に頭を下げ続けていると・・・いままで冷静でいた仁太郎が、突然悌一郎に対してこう言って怒りを爆発させたのだ。
「村がどうなってもいいのか! 村の自然が破壊されても平気なのか?人間の心があるのか!! 畜生、なんとか言ってみろ」
 仰天して仁太郎を制する信乃・・・だが、これを聞いた悌一郎は、なんと態度を軟化させ、「裁判に勝てるという確証があれば」という条件付きで、代表者である村長になることを了解するのだった。
 この一件を聞いた毛野(山寺宏一)は、早速、フナムシの工場が建ってから、健康を損ねた、川の魚が死んでるなどの被害が出ていないか調べるべきだと信乃に教え、これを聞いた忠志(香取慎吾)は、最近母の節子(白川和子)がせき込むようになったことを進言するのだが、結局それは大きな勘違いであることが判明し、周囲をがっかりさせるのだった。
 気短かい仁太郎は、忠志からそのことを聞いて怒り! 焦り、そして同様にいつまでも裁判が始まらない状況に苛立っていた村の若い者の「俺たちだって何か協力したい」という言葉に乗せられ、ある画策までやってしまうのだった。
 その頃忠志は、蟇田(温水洋一)のことを思い出していた。村の出身でありながら、唯一フナムシの従業員となっているこの男を、うまく説得すれば、以前行われたフナムシの立ち入り検査の際の不正を証言してもらえるのでは!と考えたのだ。
 内部告発によって、フナムシの足元を救う! そして、蟇田が協力を約束してくれたと知れば、悌一郎も納得させられるはず。だが、ここでまた「俺の出番」とばかり立ち上がる仁太郎。
 忠志は不安一杯で、仁太郎と蟇田の元に向かうのだった。

<第8回> 「最後の賭け」
 蟇田(温水洋一)が証人になってくれることを約束してくれたことで、裁判に向け意気上がる仁太郎(役所広司)。まだどこか不安気な忠志(香取慎吾)と悌一郎(寺尾聰)にも、「あの男、今回は本気だ。フナムシの仕事を辞めてまでこっちに逃げ込んできたんだから」と自信たっぷりに言い聞かせる。だが、それを聞いた忠志は、かえってフナムシにこちらの動きを感づかれてしまうのでは、と心配になった。
 翌日、仁太郎、忠志そして悌一郎は、裁判所の呼び出しに応じた。そして担当の宇喜多(佐古正人)から、まずは環境裁判の難しさと和解のタイミングは間違えないようにというアドバイスをもらい、訴状の原告欄には、原告全員の名前を書くように注意を受けた。そして原告は必ず裁判に出廷しなければならないということも聞かされた。
 悌一郎は、仁太郎がそんなことにも気がつかなかったのかと怪訝に思ったが、今は原告に名を連ねてくれる村人たちを集めることが先と行動を開始、なんとか15人の原告団を結成することに成功した。
 数日後、裁判所には、仁太郎、忠志、悌一郎、フナムシ開発側の網干(津川雅彦)、安西(國村隼)そして網干が依頼した若き弁護士・斎藤礼(八嶋智人)などが顔を揃えていた。裁判前にこんな形で原告、被告が顔を合わせのは異例のことだったが、裁判の難しさを考慮した裁判長・玉塚(伊藤正之)が、両者に和解を進めようとしたのだ。
 しかし、フナムシは勿論、悌一郎も絶対に和解はありえないと宣言。いよいよ舞台は法廷に移されることになった。
 そんな矢先のことだった。信乃(鈴木京香)の家にかくまわれていた蟇田が行方をくらませてしまったのだ。毛野(山寺宏一)は、いつまでも荷物をほどこうとしなかった蟇田を不思議に思っていたというのだが・・・。
 「証人もなしに裁判は勝てねぇ!」。怒った仁太郎は、まず玉塚のもとに向かうと、裁判を延期にするよう懇願し、だがそれが無理と突き放されると、今度はフナムシ開発を訪れ、網干と安西を前に、何と訴訟を取り下げるからと以前もらうつもりだった和解金1500万円を要求したのだ。
 「ようやくその気になってくれたか」と安西は安堵した。
 そして網干も「その気に打たれました、手を打ちましょう」と言った。だが、そう言って網干がポケットから取り出したものとは・・・仁太郎をそして安西をも愕然とさせるものだった。

<第9回> 「恋におちたら」
 いよいよ「フナムシ開発」のゴミ処理場の営業許可取り消し請求の裁判が始まった。仁太郎(役所広司)は、毛野(山寺宏一)の書いたシナリオ通り、フナムシの不法性を明らかにしようとする申立を自信たっりぷリに論じ上げると、作戦どおり、まずはボロを出しそうな社長の安西(國村隼)に追及の矛先を向けた。だが、それを見て取った網干(津川雅彦)も、すかさず國村に救いの手を差し延べ、追及をかわしてみせる・・・こうして1、2回、開かれた裁判は、富増村やや有利?でとりあえず終了した。
 傍聴席から成り行きを見守っていた信乃(鈴木京香)も仁太郎の勇姿に「まるで、テレビドラマを見ているみたいなの!」と興奮気味。これには、忠志(香取慎吾)も思わず深くうなづくのだった。
 その後、村役場で次回法廷に備えての話し合いがもたれた席で、毛野は、蟇田の持ち込んでくれた“フナムシ“を登場させることを告げた。仁太郎も忠志も「これさえあけば!」と期待の思いで、ケースの中のフナムシを見つめる。だが、なんとこの大事な証拠は、翌朝死骸となって発見されてしまう。「ケースを動かした者か後いる!?」忠志らはこの時始めて、身内に裏切り者がいることか気が付いた。
 しかし、それでも仁太郎は、ビンに死骸をいれると、堂々と検証物として裁判長に提出してしまうのだった・・・。
 なかなか決定打を打てない裁判が続く中、悌一郎(寺尾聰)が血相を変えて弟の悌三(池田成志)と仁太郎の元にやってきた。どうやら、悌三が顧問弁護士に今回の裁判について相談し、代理人として裁判をできるのにしない、そしてなぜか住民票を村に移してるといった、『弁護士・仁太郎』の行動に不審な点をあげ、それについての説明を要求してきたのだ。
 仁太郎はさすがに言葉詰まった・・・だが、その場に突如わって入った毛野が、「住民票を移したのは、信乃ちゃんと結婚の約束をしたためで、それほど全身全霊をかけ、この村を守ろうとしてるんだっ」と口走ってしまったのだ。もちろんでまかせ・・・。
 だが、そうとは知らない悌三は大ショック! そして同じくショックを受けた忠志は、信乃に歩み寄ると、「早まっちやダメだ! その人は信乃さんが思ってるような人じゃないんだ」というと、すべてを打ち明けてしまうのだった・・・。


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