あらすじ
<第10回> <第11回>

<第10回> 「最後のチャンス」
 犬塚家居間では、次回の裁判にそなえ、仁太郎(役所広司)、忠志(香取慎吾)、信乃(鈴木京香)らが毛野(山寺宏一)が唱える次なる作戦を真剣に聞いていた。『フナムシ開発』が毎日運び込んでいる金属片の山がゴミであることを認めさせること・・・。毛野が考えているのは、先日村人たちがせしめてきた帳簿を使い、『フナムシ開発』が金をもらい金属片、つまりゴミを引き取っていたことを証明することだった。
 さらに、この作戦を裏切り者と睨んでいる鴨田(金田明夫)にわざと教えて、相手を混乱させるつもりだとも。改めて毛野の有能さに敬服する忠志と信乃。そして仁太郎のやる気のなさには呆れるばかりで・・・。
 だが、そんな仁太郎の前に突然、離婚を迫る妻の尚子(キムラ緑子)が姿を現した。まだ言ってなかった妻の存在にさすがにショックを隠せない信乃。その上仁太郎は、村に入ると同時に車を盗まれたので、しばらく尚子を置いてやって欲しいと頼み込むのだった。
 そんな中、公判の日はやってきた。そして見事作戦通りに展開した法廷は、『フナムシ開発』が親会社の扇谷工業に金属片を買い取っていた事実を認めとせることに成功、予想通りの成果を上げたのだった。
 これによって、完全に劣性を強いられることになった『フナムシ開発』の弁護士・網干(津川雅彦)は、原告側のメンバーがおかしいと裁判所を介して抗議するという手に出てきた。直接被害をこうむっている北富増の人間が原告の中に居ないことはおかしいと。
 これを聞いた忠志は、裁判を続けるため!と原告団に名前を連ねることを決心。証言台にも立ち、堂々と反対意見を主張して見せるのだった。
 打つ手がことごとく裏目に出ることに安西は激怒し網干に詰め寄った。だが、網干は平然として言った。自分は扇谷の会長から派遣されてきてる人間であり、裁判には何としても勝ち、ゆくゆくはゴミ処理場を拡大させるつもりである。それができれば、社長は無理に安西でなくてもいいのだと。
 ここまで言われて安西はもう黙っていることができないと思った。そして、ダルマ池に仁太郎を連れ出し、村が裁判を続けるつもりであることを確認すると、意外な告白をはじめたのだ。

<第11回> 「威風堂々」
 上京した仁太郎(役所広司)は、ようやく弁護士の赤岩(杉浦直樹)を掴まえ、富増村のために弁護士の資格を貸して欲しいと頼む。あくまでも法廷に立つのは自分で、込み入った事情など何も心配はいらないのだと説得する。
 ところが、赤岩は、引退同然の暮らしをしていること、そして老人相手のダンススクールを開講していることを理由になかなか首を縦に振ろうとはしなかった。だが、被告『フナムシ開発』の代理人に網干(津川雅彦)の名前があることを知ると、態度を一転! 仁太郎と共に富増村に向かうのだった。
 赤岩を迎え入れた犬塚家では忠志(香取慎吾)、信乃(鈴木京香)らが勝つためには、鍵を握っているらしい義助(梶原善)を警察より先に見つけることを決めた。
 翌日、義助の家を尋ねてみた信乃は、途中、県の代理人である弁護士・斎藤(八嶋智人)と出会った。そして現場の様子を見きたという斎藤が、自分の中の正義と『フナムシ開発』に対する疑惑の狭間で悩んでいることを察するのだった。
 その直後だった。尚子(キムラ緑子)が犬塚家の庭に潜む、車の窃盗犯の義助を発見したのは・・・。
「何でも知ってることを話してくれ!」「お前の証言があれば勝てる」
 仁太郎、忠志らは早速、義助を問い正し始めた。しかし、義助の口からはこれという証拠は出てこない。だが、その様子を見ていた毛野(山寺宏一)が義助の首にかけられているボルトのペンダントに目を止めた。
 そして、村長が死んだ『フナムシ開発』のゴミ処理場現場で拾ったそのボルトこそ、勝利を導く証拠と毛野は確信した。後は、法廷の日まで義助をかくまい、証言台に立たせるだけ!
 いよいよ大詰めを迎える裁判。悌一郎(寺尾聰)は、天馬(磨赤児)や悌三(池田成志)に会い、決起の意味もあり、それぞれ北と南、富増の村人たちを共に法廷に連れてきてほしいと頼んだ。
 一方、『フナムシ開発』側にも、親会社・扇谷工業の扇谷会長(山崎一)がやって来て、網干に裁判の勝利を約束させるのだった。
「これ以上、全国各地で起こっている住民運動を活性化させないためにも」と・・・。
 裁判を翌日に控えた夕刻。仁太郎と忠志は二人きり、こんなことを語り合っていた。
「・・・もし、あの時お前に声を掛けられなかったら、今頃何をやってただろう・・・」。
「でも、これで正解だったと思うな。ひよっとしたら人生で起こることって間違ったことなんてないのかも知れない・・・。勝ち負けじゃなく、僕は仁太郎さんに会えて良かったと思うし、それで十分だから」。
 そして忠志は、それでも「裁判には絶対勝つ!」といきまく仁太郎に向かいこう言った。
「仁太郎さん、変だよあんた。全然関係ない村のためにこんなのめり込んで・・・絶対変だよ」。
 それは、忠志の仁太郎に対する精一杯の感謝のことばだった。
 そして翌日。仁太郎は、車椅子の赤岩の看護人として入廷し、しゃべることもままならないことにした赤岩の代わりに尋問を行った。
 傍聴席には、間もなく信乃に付き添われやってくるではずの義助を待つ忠志、悌一郎らの姿がある。だが、その時毛野の携帯電話に信乃から、義助が証言に立つことを拒みはじめた!との知らせが入ったのだ。
 入れ替わり立ち代わり、電話を通じての説得が試みられる一方で、到着までの時間稼ぎも始められた。毛野の意味不明の熱弁、忠志の熱唱、そして尚子までもが証人席に登場。そんな苦し紛れの引き延ばし工作のネタもそろそろ尽きたと思ったその時・・・。


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