第8回 2003年6月3日(火)放送 あらすじ

#8 運命の再会

 瑞穂(仲間由紀恵)と耕輔(オダギリジョー)に追い詰められた警察グッズショップの店員・芥川(内浦純一)は、突然怯えたように銃口を耕輔たちに向け発射した。耕輔は瑞穂を庇い、二発目の弾で肩を撃ち抜かれ階段を転がり落ちて動かなくなった。芥川はそのまま逃走した。
 耕輔は命に別状はなかったものの意識が戻らず、刑事部では加奈子、耕輔と相次いで警官が犠牲になったことで、緊張は極限に達していた。包帯姿の加奈子(京野ことみ)は、「今度のことでやりたいことは今すぐやらなきゃ、後回しは後悔するって実感した」と瑞穂に語る。瑞穂はその言葉が堪えるのだった。
 内村(海東健)の情報によると、芥川は警察マニアの中でも有名な売人で何でも手に入れる男であるという。また、真寿美(石橋けい)は、行動・生活すべてが男性スタイルの、自分のことを男だと思っているタイプだと樋口(余貴美子)にプロファイリングされた。
 聞き込みを終え、瑞穂は、「古井戸を覗き込む女」を売っていた古美術店の前を通り掛った。その絵はまだ飾ってあり、不審に思った瑞穂は、中に声をかけた。店長の山城(宇梶剛士)が「買いに来た篠原さんがあんたへ、って」と怪訝に言う。「この絵を描いたのは父かもしれない」と瑞穂が応じる。瑞穂は、驚いている山城に警察を辞めた理由を続けて尋ねた。「人間の裏側ばかりを見るのが嫌になったんだ」と山城。と、山城は「これも渡してくれと頼まれた」と、「古井戸」のモデルの女性が写った写真を瑞穂に渡した。瑞穂は房子(大塚良重)の気持ちに感謝した。
 瑞穂はその足で、自分が育った教会へ向かった。かつて世話になったシスター(銀粉蝶)に、その写真を見せた。「三浦茜さん……。教会の信者です」。驚くシスターに、瑞穂は房子から聞いた茜や茜の恋人の絵にMIZUHOの名前があることなどを話した。そして「この人は私の母では」と問い質した。シスターは意を決したように答えた。「あなたのお母様です」。
 シスターは瑞穂の出自を語った。茜は恋人を亡くし自分の余命もないと知り、悩んだ末に瑞穂を教会に預け、自分はその日に心臓発作でなくなったのだという。「茜さんは心からあなたを愛していた」。瑞穂はマリア像に向かって「お母さん」と呼びかけ喜びの涙を流すのだった。
 昏睡する耕輔は、8歳のある日のことを夢で思い出していた。家に帰ると母親が不自然にもがいていて……。耕輔の意識が戻り始めた。
 一方、捜査一課では、西島を撃った銃は、芥川の改造銃ではなく、警察正式の別の銃であることが分かった。拳銃を加奈子から奪って逃走している真寿美が撃ったのではないかと推理された。その時、真寿美の目撃証言が入った。あるコンビニにいつも来ているという。居住地区の捜査が始まった。
 西地区捜査を命じられた箕田(佐野史郎)と瑞穂だったが、箕田は「潜伏するなら東地区だ。嫌なら降りろ」と強引に東地区に車を向ける。瑞穂は耕輔のことを思い出し、箕田について行くことにした。車から降りると箕田が先に走る。それを追う瑞穂の先で銃声がした。あるアパートの玄関口に箕田がいる。踏み込むと部屋には警察グッズが散乱している。制服制帽もハンガーに掛かっている。真寿美に違いない。「応援を」と言う瑞穂を無視し箕田は窓から飛び降りさらに追う。瑞穂もついて行こうとしたが、暗い廃車場を見つけ、何か確信し、銃を抜いてそちらへ向かった。「誰かいるの。出てきなさい」と呼ばわる。と、「何だ女かよ」と真寿美が姿を現した。拳銃を構えている。「安全ゴムがついたままだぜ。だから女は駄目なんだ」とさげすんだように言い、瑞穂が帯同している拳銃を指して、「S&W寄越せよ」と脅す。断る瑞穂に「あの婦警もそう言ったんで痛い目にあわせた」と笑う。瑞穂はその隙を見て安全ゴムを外した。その途端、真寿美も引き金を引いた。瑞穂の肩に命中する。さらに狂ったように襲い掛かる真寿美。銃声が鳴る。悲鳴が上がり瑞穂が目を開ける。なんと真寿美が胸から血を噴き出して倒れている。「大丈夫か」。撃ったのは箕田であった。瑞穂は気を失った。
 幸い瑞穂の傷は軽く、数日して瑞穂は耕輔を見舞った。そこへ樋口も現れた。瑞穂は両親のことが分かったことを伝え、「私自身にも会えた」と微笑んだ。
 本部に出勤すると海老沢監察官(山崎一)に呼び出された。海老沢は、命令違反事項などを問い質した後、「箕田は真寿美に発砲する前に警告したか」と念を押してきた。瑞穂は「覚えていない」と答えるに留めた。
 そんな朝、箕田の同期の装備課係長・土田が自殺した。
 さらに芥川の潜伏先が割れ、芥川が逮捕された。
 内村が真寿美の部屋の写真が載った新聞を手に瑞穂に話し掛けてきた。土田自殺の真相を知りたいようである。が、その写真を見た瑞穂は内村から新聞を取り上げ去って行く。
 新聞を見ながら、瑞穂は加奈子に疑念を突きつけた。「写真に制服制帽が写っていない」。「誰かが外したってこと!?」と察した加奈子は「実は、土田係長が芥川と通じていたらしい」と教える。さらに「西島さんを撃ったのは真寿美じゃない。別の拳銃よ」。瑞穂は気がついた。「芥川は私と西島さんの後ろにいた人物に向けて発砲したんだわ。そしてその人物が西島さんを撃った……」。瑞穂は海老沢監察官の「箕田は警告したか」という言葉を思い出した。
 瑞穂は箕田の家を訪ねた。「現場から制服制帽を盗めるのは私か箕田さんだけです」と切り出す瑞穂。「あの制服は本物だった。警官との直接売買だった。だから土田さんは自殺し、真寿美は口封じで殺された」と推理を述べると箕田は強張った。「あなたは、私と西島さんが後をつけていることを芥川に知らせるために、私の携帯を鳴らした。そして、彼の口封じのため発砲したけど、それが西島さんに当たった……」
 箕田はそこまで聞くと「誰かに話したか」と尋ねる。瑞穂が否定した瞬間、箕田は瑞穂の首に手をかけた。抵抗しない瑞穂。箕田は手を離し「なぜ逃げない」と訝しむ。瑞穂は「わかりません。でも警察官には命令の受忍義務がありますから」と箕田を見つめる。「自分と向き合う勇気を持ってください」。箕田は「終わったな」と宙を見つめた。
 数日後、今村広報課長(近藤芳正)は、自分の資料の中から探していた広報誌が見つかり一安心。そんな長閑な昼に、瑞穂はスケッチブックに自画像を描いていた。背後から退院した耕輔がやって来た。
 「前に、西島さんに、あなたが顔のかけない人の二人目だと言ったでしょう。一人目は私なんです。本当の自分を見つめ、愛せることで描けるようになったんです」と微笑む瑞穂。「西島さんはもう少し掛かります」とおどける。
 笑顔の耕輔はその場を離れた瞬間、8歳の時の記憶がフラッシュバックした。足をばたつかせる母親に馬乗りになり首を絞めている男は……。

キャスト

平野瑞穂(23) 仲間由紀恵
西島耕輔(27) オダギリジョー
神崎加奈子(23)京野ことみ
内村秀夫(25) 海東健

今村真一(39) 近藤芳正
七尾友子(32) 田中律子
本間英一(47) 升 毅
亀田 賢(43) 矢島健一
佐藤勇三(52) 河原さぶ

相田咲子(28) 黒坂真美
小松浩二(28) 田中哲司
朝倉ちあき(21)立川絵理
尾崎省吾(25) 品川祐

山城  (35) 宇梶剛士
箕田 修(49) 佐野史郎
鈴木真寿美(24)石橋けい
芥川智行(28) 内浦純一
シスター    銀粉蝶

鶴田 猛(45) 益岡徹

樋口京子(41) 余貴美子

スタッフ

■原 作
  横山秀夫(徳間書店)
■脚 本
  高橋留美
■企 画
  清水賢治
■プロデューサー
  高橋萬彦
  後藤博幸
■音 楽
  佐藤直紀
■演 出
  松田秀知
■制 作
  フジテレビ
  共同テレビ

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