第6回 2003年5月20日(火)放送 あらすじ

#6 完全犯罪を狙う犯人の素直な自白・・・

 県警の射撃大会が開かれている。満足そうに装備を外したのは加奈子(京野ことみ)であった。加奈子は準優勝を獲得し、瑞穂(仲間由紀恵)や樋口(余貴美子)、七尾(田中律子)らに祝福される。そんな加奈子だが、「もっとやり甲斐のある仕事をしたい」という、自らの将来や夢を思うと浮かれた気持ちではいられなかった。
 そんな折、管内で殺人事件が発生した。暴力団組員・山根(平井賢治)がナイフで殺害され、凶器の登山ナイフがダム建設予定地で発見されたのだ。山根はダム建設にからむ建設会社と繋がりがあり、建設反対派の高校教師・望月(宮本大誠)が重要参考人として浮かんだ。だが、その一つ一つの事実が内村(海東健)のいる東都日報のスクープで明らかになっていた。
 耕輔(オダギリジョー)が所属する捜査一課では東都の連続スクープに業を煮やし、鶴田(益岡徹)、亀田(矢島健一)両班の携帯発信記録などを調べ、内部情報リーク者を洗い出しに掛かったが、内村に繋がる線は見つからない。広報課でも東都の特種は問題になり、今村課長(近藤芳正)は瑞穂に内村のマークを命じた。
 そんな朝、加奈子は突然、一課への異動を命じられた。瑞穂の激励を受け、喜びと不安を胸に一課に向かう加奈子だった。
 亀田班に取り調べを受けている望月は、結局犯行を自供した。ダム建設反対派の中心である望月は、「再三、山根から嫌がらせを受け、妻は精神的ダメージから入院した。嫌がらせを止めさせる話し合いをしようと山根に会った。口論になり、護身用の登山ナイフを出したら偶然、山根に刺さった。殺すつもりはなかった。ナイフはあとでダム予定地に捨てた」と言うのである。
 ナイフから山根と同じ血液型の反応が出るなど、裏付けも取れ、亀田も本間課長(升毅)も満足気であった。そんな時、加奈子が一課に配属された。本間に紹介され挨拶する加奈子だが、刑事は全員無視。班長・鶴田は「電話番でもしとけ」とつれない。
 記者室では、新顔の地方紙の記者・マキ(松本莉緒)が内村と親し気に話していた。ブランドに身を固め、華やかな容貌で、記者には見えないタイプ。「君みたいな美人と働けて嬉しいよ」と内村。「私、今よりもっと大きな会社に移りたい。そのためなら何でもやりますから」と意味深に答えるマキ。内村も「では、もう少し君の実力を見てみないとね」とニヤリと笑うのだった。
 女子トイレで瑞穂や加奈子がおしゃべりしていると、男子トイレの耕輔や尾崎(品川祐)の話が筒抜けである。きちんと独立していないのだ。そこへマキが入ってきた。マキが珍しい香りの香水をつける。瑞穂が銘柄を尋ねると「個人調合の自分だけの香り」だと言う。ふと思い立ち、瑞穂はマキにあることを頼んだ。トイレから出ると、瑞穂たちと耕輔たちが出くわした。マキは持ち前の妖艶さで耕輔たちに食事など迫る。大喜びの尾崎や「違うな」と婦人警官たちに視線を運ぶ耕輔に、ムッとする瑞穂たちであった。
 その夜、こぎれいなカフェに瑞穂、内村、マキが座っていた。瑞穂はマキに内村の夜の予定を取り持つように頼んだのだ。だが、マキは気を利かしてか中座してしまった。瑞穂と内村は、バーに場所を移し、午前2時過ぎまで一緒に過ごすのだった。
 その夜、望月の車のタイヤから凶器発見現場と同じ土が見つかり、刑事たちは、望月の送検を確信していた。ところが、翌朝の東都の朝刊に、まさにその事実がスクープされているではないか。内村は朝刊締切時間まで瑞穂と一緒だったので送稿出来る訳がない。一体誰が記事を書いているのか……。
 そんな忙しい最中、加奈子は一課のコピー取りやお茶入れに追われていた。一体何のために一課に来たのか……。加奈子に無力感が広がり、瑞穂にも冷たく当たる始末である。この晩も内村を見張り続け、締切時間まで内村が送稿しないのを確認した瑞穂が、広報課で一人考え込んでいると、深夜だというのにマキがやって来た。「瑞穂さんは出世欲はないの? 本音隠して生きて疲れない? 欲しいものはどんなことがあっても手に入れるべきよ」と見透かしたようなことを言い、去って行くのであった。
 望月の最後の調書にサインさせ安堵した刑事たち。だが、勾留期限となる翌朝、大変なことが持ち上がった。望月が犯行をすべて否定したのだ。これでは送検できない。一課に緊張が走る。鶴田が言う。「勾留前に東都日報がこれだけ事実を書き立てた。望月は自供の内容は新聞から得た話で、犯人だけが知り得る事実ではない、自白強要だと突っぱねる気だ」。送検は諦めざるを得ず、望月は釈放された。
 なんとその日の東都の夕刊に「望月釈放」の特ダネが踊っている。一課はさらに刑事たちを調べ上げたが、全く内村に繋がる事柄は出てこない。刑事たちは「素人」の加奈子に疑いの目を向けることに。
 まさにそんな折、内村と加奈子のツーショットの写真がメールで刑事部屋に送られてきた。送り先は記者室のパソコンである。加奈子は直ちに内村との関係を聴取されることになった。
 瑞穂は事後処理のため本間一課長と同行し、公用車で望月の家へ向かった。待っていると、望月の息子がやって来た。玩具をたくさん持っている。「お父さんが買ってくれたの?」と瑞穂が尋ねると息子は「こんな黒い大きな車でいつも来ていたおじちゃん」と答える。瑞穂はつい、ペンを取り出し、その「おじちゃん」の似顔絵を書き出すのであった。
 本部に戻ると、加奈子が瑞穂に突っかかってきた。「内村さんのこと話したのあなたね。私が情報リーク犯にされているのよ。羨ましかったの?悔しかったの?嫉妬なの?」。畳み掛ける加奈子。瑞穂は戸惑うばかりであった。そこへ耕輔がやって来た。瑞穂は望月の子供が玩具を貰っていた「おじちゃん」の似顔絵を見せた。耕輔の表情が変わった。それは殺された山根であった。二人は望月と山根が金で繋がった「友好的」な関係であったと推理した。
 そんな頃、加奈子は樋口に「辞めたい」と弱気な相談をしていた。樋口は「止めないわ。ただ自分を信じ、自分を見失わないでね」とアドバイスするだけであった。加奈子は目が開かれたような気がした。
 刑事たちは再び望月の裏を調べ始めた。耕輔たちの想像通り、望月はダム反対派に裏金を回していた。耕輔や瑞穂は再度望月の家を訪ねることにした。当然、不満気な望月。と、台所で子供が皿を割ってしまい、瑞穂が台所へ入った。妻が入院中とは信じられないほど片付いた台所に驚く。そこに掛けられたエプロンから、瑞穂の記憶を蘇らせる香りが漂ってくる……。
 瑞穂たちは、望月が釈放になることを狙って、事件情報を新聞に早め早めに載せ、期限切れ寸前、最後に逆転しようとしたと推理した。だが、内村でなければ誰がそれを手伝ったのか。瑞穂はそれがある女であることを確信していた。だが、その方法が分からない。と、仲直りした加奈子が言った。「あそこに違いない!」
 その深夜、男子トイレで、刑事たちが話している。「真犯人が見つかってよかったな」。その話は、すぐに記者室のパソコンから東都日報に送稿された……。
 翌朝、望月の家にマキが走って来る。手にした東都日報には「真犯人見つかる」ではなく「望月真犯人」の記事が載っている。玄関脇に耕輔たちに囲まれた望月がいるではないか。「もうだめだ、マキ」と望月。マキは刑事たちに「どうして分かったの?」と詰問する。瑞穂が言う。「あなたが残した香りよ。あなたは女子トイレで刑事たちの話す情報を仕入れたのね」。マキは悪びれた様子もなく「あんな絶好の場所はなかったわ」。そこへ内村もやって来た。「これまでは、君の書いた特ダネ原稿を僕の手柄にしてくれておいしかった。今度の原稿は編集長のアドレス変えたから送られていないのさ。ツメが甘いね」
 望月とマキは高校の師弟関係で恋人関係に発展した仲であった。瑞穂は「これがあなたの欲しいものだったのですか。手に入れたんですか」と問いただす。加奈子も「自分を見失ってはおしまいよ」と諭す。マキは何か悟ったようにうな垂れた。
 一件落着し、瑞穂は耕輔にマキのことを尋ねた。「人間の関係を信じる方がどうかしている」と耕輔。瑞穂は「裏切られても信じるのが人間なんです」と、何か秘めるように応じるのだった。

キャスト

 平野瑞穂(23) 仲間由紀恵

 西島耕輔(27) オダギリジョー

 神崎加奈子(23)京野ことみ

 内村秀夫(25) 海東健

 
 今村真一(39) 近藤芳正
 七尾友子(32) 田中律子
 本間英一(47) 升 毅
 亀田 賢(43) 矢島健一
 佐藤勇三(52) 河原さぶ


 相田咲子(28) 黒坂真美
 小松浩二(28) 田中哲司
 朝倉ちあき(21)立川絵理
 尾崎省吾(25) 品川祐

 望月 渉(39) 宮本大誠
 長谷川マキ(25) 松本莉緒
 山根 寛(37) 平井賢治

 鶴田 猛(45) 益岡徹

 樋口京子(41) 余貴美子

スタッフ

■原 作
 横山秀夫(徳間書店)
■脚 本
 佐伯俊道
 平見 瞠
■企 画
 清水賢治
■プロデューサー
 高橋萬彦
 後藤博幸
■音 楽
 佐藤直紀
■演 出
 都築淳一
■制 作
 フジテレビ
 共同テレビ

バックナンバー