第3回 2003年4月29日(火)放送 あらすじ

#3 裏切られた愛を告発する似顔絵・・・

 とある昼下がり、駅のガード下でバンドマンの砂田(青木堅治)が、今まさに自転車盗をしようとしていた。狙った自転車を引きずり出そうとした時、中年男性の足に自転車が当たった。「なめんなよ、ガキが!」。怒鳴る男。「ざけんなよ、オヤジ!」と返す砂田。緊張が走る。
 数瞬後、近くを通りがかった子連れの女性が見たものは、血塗られたナイフを手に、路地から飛び出し走り来る砂田であった。顔は返り血がそばかすのよう。砂田は踵を返し、反対側に走り去った。驚きつつも、女性は砂田が現れた路地を覗いた。そこには中年男性の無残な死体が……。悲鳴が響き渡った。
 そのころ、瑞穂(仲間由紀恵)は、久々に絵画教室でデッサンをしていた。と、そこへ、瑞穂の代わりに鑑識課に配属され似顔絵を描いている三浦真奈美(佐藤仁美)が現れた。「平野先輩みたいに主観をまじえちゃ犯人はつかまりません。画家向きなんじゃないですか」と挑戦的に絡んでくる。すると、真奈美の携帯が鳴った。「駅裏で殺しだそうです」。窪塚の事件が発覚したのだ。真奈美が飛び出し、瑞穂も後を追った。「車に乗せてってあげる」と瑞穂は誘うが、真奈美は意固地に「私の仕事です」と走り去るのだった。
 記者発表が始まった。真奈美が描いた似顔絵が内村(海東健)ら記者に配られる。くっきりと描かれ過ぎた男の顔に瑞穂は怪訝な気持ちが湧く。内村もあまりに細密に描かれた顔に不審を抱くのだった。
 内村は瑞穂を訪ねた。「似顔絵はデッサン力というより、読心術のようなもの。この絵は出来過ぎじゃないか」と内村。瑞穂は答えられなかった。瑞穂も、突然血まみれの砂田を見た主婦の供述で、真奈美が正確に表情を描けるか疑問だったのだ。
 その夜、瑞穂が警察女子寮の自室でその似顔絵を見つめていると、外で物音がする。出てみると、真奈美が泥酔し倒れているではないか。真奈美の部屋に連れて行き寝かせてやると、真奈美は泣いている。瑞穂の疑念はさらに深まるのだった。
 そんな夜、加奈子(京野ことみ)は耕輔(オダギリジョー)の陣中見舞いに行った。加奈子は耕輔に瑞穂のことを語り始めた。瑞穂が鑑識課を外された理由は、子供の供述から容疑者でなく父親の顔を描いてしまったからとされていたが、本当の理由は違うと言うのだ。実は、その後、別の目撃証言から新たな似顔絵を描き、その絵から容疑者が逮捕された。ところが、容疑者と似顔絵は髪型以外全く似ていなかったのだ。そこで、お手柄記者会見を控えた県警幹部は、瑞穂に逮捕写真を見て、マスコミ向けのさらなる似顔絵描きを命じたのだ。ところが瑞穂は描けなかった。県警は体面を失い、鑑識課長は左遷され瑞穂は広報に飛ばされた、と加奈子は説明するのだった。加奈子は、そんな繊細な瑞穂だからこそ、真奈美の精密に絵が描かれすぎた似顔絵に疑問を持っているのだと耕輔に迫った。耕輔は多くを語らず「有難う」と立ち上がった。
 耕輔たちに情報が入った。似顔絵そっくりのバンドマンがライブハウスで演奏しているというのだ。耕輔の所属する鶴田班、そして、亀田班が張り込みに行く。「似顔絵とそっくりじゃねえか」。驚く鶴田班の刑事たち。
 演奏が終わり耕輔たちが砂田を取り巻いた。逃げ出した砂田に、外で待ち受ける亀田(矢島健一)が「待て!砂田」と叫ぶ。なぜ亀田は名前を知っているのか……。耕輔たちは疑問を抱きつつも追うしかなかった。だが、一足早く亀田班が砂田の身柄を確保してしまった。
 県警に連行される砂田。瑞穂は似顔絵そっくりのその顔を凝視した。
 砂田逮捕の会見が始まった。砂田と似顔絵の相似に会見場は騒然となる。だが、耕輔ら鶴田班は、発表の中に書かれた「自転車を引き出し」のくだりに反応した。「指紋があったということだ」。鶴田班は色めきたった。果たして、砂田が5年前に傷害事件で逮捕され写真も撮られていたことが分かった。つまり、最初から砂田が捜査線上に上っていたのだ。
 捜査一課に帰り鶴田(益岡徹)は亀田を問い詰めた。「本部長たちと絵図を描いたな!?」。本間捜査一課長(升毅)が割って入ろうとするが、鶴田や耕輔は、さらに「指紋で走査線に浮上した砂田の写真を目撃者に見せ、ウラを取った上で似顔絵を描かせた。瑞穂の件で失墜した面子をこんなカラクリ芝居で回復しようとしたろう」と迫る。
 その時、資料を持って来ていた瑞穂が声を発した。「三浦さんを会見に出さないでください。傷つきます」
 だが、本間は「指紋だけでは指名手配できない。似顔絵は逮捕するための道具だ」と言い放った。が、瑞穂は食い下がった。「女性警官は組織の道具じゃありません。心があるんです」。瑞穂は涙をこらえその場を飛び出した。耕輔は心の中で瑞穂とともに怒った。
 瑞穂は広報課で、砂田の5年前の写真と似顔絵を見比べていた。何かが違う……。そこへ真奈美がやって来た。「記者会見に出ます。私、写真を見ていませんから」。「やっぱり」と受ける瑞穂。「5年前の写真は耳にピアスの穴がない。でもあなたの似顔絵にはピアスの穴が描かれている。でも、目撃者がそこまで覚えているわけはない。つまり、あなたは砂田を知っていたのよ」
 真奈美は答えた。「さすが平野先輩ですね。犯人が砂田らしいと分かった時、写真なんか見ないでスラスラ描けました。交番にいた頃、恋人だったんですもの。でも交通違反をもみ消せないと分かったら、捨てられました。私、砂田が憎かったんです。私の似顔絵で逮捕したかった。私は先輩みたいな失敗はしたくない。だから会見に出るんです」
 そのやり取りを外で聞いていた樋口(余貴美子)が、真奈美が出て行った後、瑞穂に近づいた。「あなたは真奈美さんを守ろうとしたようだけど、自分自身を守ろうとしただけなの。自分から目をそらしているのよ」と喝破する樋口。瑞穂は「だから苦しかったんだ」と樋口の言葉を一筋の涙を流しながら噛み締めた。
 真奈美のお手柄記者会見が始まった。満面の笑顔の真奈美。それに微笑み返す瑞穂。内村はその会見に胡散臭さを感じている。
 一方、耕輔は苛立ちを隠せぬまま、任務に就いていた。と、繁華街で瑞穂を見かけ声をかけた。「上の連中は気にするな」。うれしくなる瑞穂。「お前の顔が少し見える気がする」。耕輔はまた事件に向かって走り去って行くのだった。

キャスト

 平野瑞穂(23) 仲間由紀恵

 西島耕輔(27) オダギリジョー

 神崎加奈子(23)京野ことみ

 内村秀夫(25) 海東健

 
 今村真一(39) 近藤芳正
 七尾友子(32) 田中律子
 本間英一(47) 升 毅
 亀田 賢(43) 矢島健一
 佐藤勇三(52) 河原さぶ


 相田咲子(28) 黒坂真美
 小松浩二(28) 田中哲司
 朝倉ちあき(21)立川絵理
 尾崎省吾(25) 品川祐

 三浦真奈美(21)佐藤仁美
 砂田 明(25) 青木堅治
 
 鶴田 猛(45) 益岡徹

 樋口京子(41) 余貴美子

スタッフ

■原 作
 横山秀夫(徳間書店)
■脚 本
 高橋留美
■企 画
 清水賢治
■プロデューサー
 高橋萬彦
 後藤博幸
■音 楽
 佐藤直紀
■演 出
 都築淳一
■制 作
 フジテレビ
 共同テレビ

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