日本のヴァイオリン王~名古屋が生んだ世界のマエストロ 鈴木政吉物語~
日本のヴァイオリン王~名古屋が生んだ世界のマエストロ 鈴木政吉物語~
2016年2月14日(日)放送終了

放送内容詳細

平成27年8月26日、人気ヴァイオリニスト・古澤巌のコンサートが名古屋で開催された。このとき使われたヴァイオリンこそ、かつて「日本のヴァイオリン王」と呼ばれた男・鈴木政吉(武田真治)が手がけた純然たる日本製だった。
もともと三味線を作っていた政吉がヴァイオリンを作り出したのは明治時代半ばのこと。三味線の需要が減り、このままでは家族を養えないと思い、小学校で唱歌を教える教師に転身した政吉だが、門下生の持ってきたヴァイオリンに興味を抱いたのが、この楽器との出会いだった。政吉が作ったヴァイオリンはそれなりの音を出すが、楽器に詳しい人物から、構造がデタラメだと指摘を受けてしまう。
職人魂に火がついた政吉は寝食を忘れ、ヴァイオリン作りに没頭。やがて、政吉のヴァイオリンは世間に知られるようになり、ぽつぽつと注文が入るようになる。とは言え、家計は苦しく、妻の乃婦(笛木優子)は自分の着物を売るなどして、夫を支えていた。
明治22年、政吉は現在の東京芸術大学音楽学部の前身となる上野の東京音楽学校に出向き、自作のヴァイオリンの出来を確かめてもらう機会に恵まれる。そこで外国人教師から高評価を得て、自信を持った政吉にさらなる幸運が訪れる。日本の楽器製作の草分け的存在、ヤマハの創業者・山葉寅楠(羽場裕一)と出会い、ヴァイオリン販売をバックアップしてくれたのだ。
事業が波に乗った政吉に、長男・梅雄が誕生。その翌年には多くの職工を雇い、ついに「鈴木ヴァイオリン工場」を開設する。さらに2人の子供にも恵まれ、政吉の人生は順調そのものだったが、一方で乃婦に試練が訪れる。政吉が、なじみの芸者・良(中村ゆり)と、彼女との間に出来たまだ幼い男の子を連れてきて、一方的に同居を命じたのだ。乃婦は夫の命令に黙って従うが…。
日清戦争と日露戦争。戦況がもたらした好景気がヴァイオリンブームを後押しし、政吉の事業は拡大の一途をたどる。明治43年には初めて外遊に出発。ロンドンで開催された日英博覧会では名誉大賞を受賞するまでになる。政吉はヴァイオリンを機械で大量生産する計画に着手。日本中の誰もが手軽な値段でヴァイオリンを購入できる時代を作ると意気込むが、かつて東京音楽学校で知り合ったヴァイオリン演奏家の幸田延(遊井亮子)から「ヴァイオリンという楽器の本質とは何か」との思わぬ問いを受ける。例え機械化しても、一台一台丁寧に、心を込めてヴァイオリンを作っていると自信を込めて語る政吉だが…。
数年後、事業を手伝ってくれると思っていた良の息子・鎮一(阿部力)がヴァイオリンの演奏家になりたいと言い出す。政吉は猛反対するも、乃婦のとりなしでしぶしぶ息子の願いを聞き入れることに。
その後、演奏家として成長した鎮一が家族の前で腕前を披露。政吉は息子の奏でるヴァイオリンの美しく深みのある音色に衝撃を受ける。鎮一が手にしていたのは、イタリアのクレモナ地方で作られた名器・グァルネリだった。「真の名工が天塩にかけ作り上げた、天下一の極上品に比べたら、お父さんの作ったヴァイオリンは単なる量産品でしかない」。鎮一の言葉に傷つき打ちのめされた政吉だが、すぐ一大決心をする。一から十まで手作りの高級手工ヴァイオリンを作ることにしたのだ。そのため、家業を長男に任せることにした政吉。齢60を超えてからの、新たな挑戦の始まりだった。
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出演者

鈴木政吉(武田真治
鈴木乃婦(笛木優子
鈴木良(中村ゆり
幸田延(遊井亮子
安藤幸(大塚千弘
鈴木鎮一(阿部力
山葉寅楠(羽場裕一
白井練一(大杉漣

ほか

【ヴァイオリン演奏】
古澤巌

【ナレーター】
水谷豊

スタッフ

【企画】
横田誠(東海テレビ)

【構成・脚本】
いずみ玲

【演出】
西本淳一

【プロデューサー】
西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣
今坂彩

【制作】
TSP
東海テレビ