差別の病と生きて~ハンセン病のいま~
差別の病と生きて~ハンセン病のいま~
2015年12月13日(日)放送終了

放送内容詳細

人類の歴史上もっとも古くから知られ、恐れられてきた病気の一つであるハンセン病 ―

ハンセン病に罹ったというだけで、本人のみならず、家族までもが村八分にされ、社会から強制隔離され、二度と故郷の土を踏めず、前世の祟り、神罰と思い込んで、人生に絶望する…

こうした差別は「聖書」の時代から続いている。

ハンセン病とは感染症のひとつであり、現在は薬で簡単に治る病気だが、いまだに患者、回復者(病気が完治した人)が日本でも世界でも、今なお厳しい偏見と差別にさらされている。

世界中の現場を飛び回るWHO(世界保健機構)ハンセン病制圧大使・笹川陽平(ささかわ・ようへい)は、世界でもっともハンセン病の患者が多い国、インドを訪れる。ハンセン病を患った人たちは就ける職業が無く、ほとんどの患者・回復者が物乞いの暮らしを余儀なくされている。

村から追放され、ひとり孤独に暮らす男性は、25年間、村人から話しかけられることは一切なく、妻や子どもからも指一本触れてもらえない生活を続けている。彼が笹川に訴える言葉は、切実なものだった…。笹川は国や州の要人と直接会い、目の当たりにしたコロニーの惨状を訴える。その地道な活動が実を結び、現在は約半数の州で年金が支給されるようになった。

一方、今回の番組で初めてハンセン病の実情を知ったという俳優・井浦新(いうら・あらた)。人はどこまで酷い差別ができるのか、そんな差別を受けてもなお、なぜ人は生きるのか。そもそもハンセン病問題とはいったい何なのか。その答えを探しに、日本の療養所へ向かう。

井浦が訪れたのは、瀬戸内の小島にあるハンセン病療養所、大島青松園。1996年に「らい予防法」が廃止されるまで、日本でも療養所とは名ばかりの監獄のようないわば“隔離施設”が存在した。かつての“隔離島”で70年近くを過ごしてきた人々の言葉に井浦が耳を傾ける。
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出演者

【ナビゲーター・語り】
井浦新

スタッフ

【プロデューサー】
森憲一(フジテレビ情報制作局)
田中直人(テレビマンユニオン)
富田朋子(テレビマンユニオン)

【ディレクター】
浅野直広(テレビマンユニオン)

【制作著作】
フジテレビ
テレビマンユニオン

コメント

ナビゲーター・語り:井浦新

この数日間、ハンセン病の昔と今と未来を知るために、回復者の療養所がある瀬戸内海の大島という小さな島にいました。 お話を伺わせてもらい、社会の愚かさを知り、人間の気高さを感じ、生きることをおろそかにしてはいけないと、改めて身に染みました。 ハンセン病を知るきっかけをいただき、豊かに躍動する人間の生が、観る人のなんらかに活きれば幸いと思っています。

ディレクター:浅野直広

笹川陽平さんの視察に同行して、ハンセン病の最前線を2年間で17ヶ国取材しました。そしてその度に、「人間は何のために生きるのか」「人間とは何なのか」という根源的な問いにぶつかりました。それは恐らくハンセン病の患者・回復者の方々が、絶対的差別という極限状況のなかで生きているからだと思います。 今回、ハンセン病の療養所を初めて訪れた井浦新さん。彼も「生きる」ということの意味を根底から考えさせられたそうです。どうぞご覧ください。