放送内容詳細

爆心地500メートル圏内で奇跡的に生き残った被爆者の健康調査を、40年間にわたり続けてきた被爆者医療の第一人者、広島大学の鎌田七男名誉教授(75歳)。鎌田教授は、被爆による染色体異常や、被爆と白血病の因果関係など、これまで科学的な裏付けに乏しいと言われてきた、原爆による人体への影響を立証してきました。福島第一原発の放射能漏れ事故の際にも、独自に現地入りし、放射線量の測定などを行いました。鎌田教授はその理由について「住民の内部被爆の実態を記録しておく必要があるから」と説明。それはすなわち、原爆と被爆者の健康被害の因果関係を示すデータが米軍などによって封印され、直接証拠を失ったという痛恨の経験によるものでした。鎌田教授のたゆまぬ研究活動は、75歳になった今もなお続いています。今年6月の学会では、被爆と白血病の因果関係などを初めてデータで示し、福島第一原発事故と住民の健康被害の因果関係を示す際の参考になるのではと、注目を集めています。また、時間を見つけては、14人になってしまった全国の爆心被爆生存者のもとを訪れ、健康状態を見守り続けています。鎌田教授が自らの半生をかけて、被爆者の健康調査を続ける理由とは・・・。あの夏から67年、“ヒロシマ”の風化が叫ばれる今もなお、消えない原爆が人間にもたらしたものを、問いただします。
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出演者

【ナレーター】
余貴美子

スタッフ

【構成作家】
岩井田洋光