森といのちの響き~お伊勢さんとモアイの島
2008年12月7日(日)放送終了

放送内容詳細

年間約700万人が訪れ、最近では“パワースポット”としても注目を浴び、若者も惹きつけている伊勢神宮は、いま「環境」の視点から大きな注目を集めています。それは、神宮が「自然との共生」を続け、「持続可能な社会」を実現させているからです。
神宮は神に供える食の基本である米、水、塩を自給自足し、20年に1度の式年遷宮では、解体された木材をすべてほかの神社の建て替えなどに使用し、木材の切れ端に至るまで再利用しています。次の式年遷宮は5年後の平成25年。式年遷宮とはいわば「木のリサイクル」のお祭りなのです。
自給自足と式年遷宮を支えているのが「神宮の森」です。森は「育てる森」と「自然にまかせる森」の2つに分けられている。東海テレビは、神宮の森で、長期取材を敢行、式年遷宮の御用材を調達する「育てる森」では、ヒノキの種の採取から植林、間伐など理想の森づくりのための作業などを神宮営林部の男たちを中心に取材。一方、「自然にまかせる森」では、生物多様な神秘の姿を余すことなく描いていきます。
有史以来、人類は自然、特に森を破壊することによって文明を築いてきました。そして過剰な森林伐採の果てに文明は崩壊するという歴史を繰り返してきました。モアイ像で知られる世界遺産のイースター島も、かつてはうっそうとした森に囲まれ、高度な文明がありました。しかし入植者たちが様々な目的で次々と森林を破壊しました。農地のため、魚を獲るための丸木船建造のため、さらには、モアイ像に見られる巨石に彫刻を施す宗教文化が栄え、石切場から巨石を運び出すためにも森林が犠牲となりました。やがて森は破壊尽くされ、深刻な食糧不足のため部族間の争いが絶えず、ついには食人風習まではびこっていたとされています。
地球上の小さな「イースター島」の悲劇。それは宇宙の中の地球の未来を暗示していると言ったらおおげさでしょうか。番組では、鎮座以来約2000年「森との共生」を続け、「持続可能な社会」を実現している伊勢神宮と、「森を破壊した」イースター島の歴史を交錯させ、地球を救うひとつのメッセージを発信します。そして、そこからは日本人とは何か、日本文化の本質や環境と文明の興亡といった今日的で普遍的な、しかも壮大なテーマも垣間見えてくるでしょう。
番組では、若手NO.1女優の長澤まさみが、「森の女神」として、ナレーションを担当、また俳優の内藤剛志が伊勢神宮やおかげ横丁などを訪れ、番組をナビゲートします。そして、「バカの壁」でおなじみの解剖学者の養老孟司が、実際に知られざる「神宮の森」に足を踏み入れ、森と生物や、森と人間社会などを語ります。昆虫観察がライフワークということから林業、森にも興味を持っているという養老は、五十鈴川沿いに広がる「自然にまかせる森」について「険しい山の奥深くではなく、比較的人里に近い場所で、これだけの規模の天然林は見たことがない」と神宮林の希少性を評価しました。その後、式年遷宮の御用材ヒノキを育成する「育てる森」を見学し、持論を展開します。
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出演者

■ナビゲーター
 内藤剛志

■ナレーター
 長澤まさみ
 生野文冶

■出演
 養老孟司(東京大学名誉教授)
 宮脇 昭(横浜国立大学名誉教授)

スタッフ

■プロデューサー
 中根康邦(東海テレビ)

■ディレクター
 伏原健之(東海テレビ)

■ディレクター
 忠井秀明

■カメラ
 中根芳樹
 岩井彰彦(東海テレビ)

■音声
 米野真碁

■編集
 中川憲一

■効果
 久保田吉根

■構成
 三田村明彦

■制作
 東海テレビ