アナルームニュース 2004年11月16日号

渡辺和洋アナ 渡辺カズアナの ビールかけ体験記
編集員 昼寝坊【編集員 昼寝坊】
週末の『感動ファクトリー すぽると!』を担当し、早や1年8ヶ月。日々誠実に取材を重ね、週1度のオンエアに備える渡辺和洋アナ。この秋、忘れ得ない経験となったのが、プロ野球優勝祝勝会の取材でした。お祝い事の取材は、こちらまで嬉しくなるもの。でも、嬉しいだけでは務まらないのがこの仕事。真面目なカズが、取材の最中つぶさに感じたことをおしえてくれました。
10月25日。最高の瞬間が訪れました。
「日本一、乾杯!」。
長いプロ野球シーズンの中で、たった1チームしか味わうことが出来ない歓喜の時。
スポーツを担当して2年目となる今年、初めてその輪の中に参加させて頂きました。
祝勝会といえばもちろん「ビールかけ」。イメージでは、祝いのビールをかけ合う選手たちに、その喜びの声を聞くというもの。確かにその通りですが、なんといっても一年間選手たちが積み重ねた努力が報われる掛け替えのない時間、つまり、そこはチーム・選手たちのための空間。われわれ取材陣はその中にお邪魔させていただくわけです。勝利の美酒にひたる選手にどうやって話を聞けばいいのか、いろいろと考えました。
一番大切なことは「いかに選手の気持ちになって話を聞くか」。
初めて経験するビールかけ担当
実は、今年はパ・リーグの優勝の時にも祝勝会に参加させて頂き、入社して初めてビールかけインタビューを担当しました。
今年のパ・リーグは、プレーオフが初めて行われ、そこでの激戦は、改めて野球の面白さを味わえる素晴らしい試合の連続でした!
それを制し2年ぶりのリーグ優勝を果たしたライオンズの選手たちの喜びは本当に最高潮! 特に若手の選手たちは初めて経験するビールかけにひときわ嬉しそうでした。
ライオンズの選手にはプレーオフ1stステージ(北海道日本ハム戦)から取材を続け、自分も初めて経験するビールかけ担当に備えました。さらに、ビールかけを経験した先輩たちにもいろいろアドバイスを頂き、その雰囲気を何度もイメージトレーニング。準備万端で臨んだのです。しかし…
目が開けられないそこは予想外の出来事の連続でした。
まずは「目が開けられない」。
とても光栄なことなんですが、選手たちは自分にも容赦なくビールをかけてきます。「目にしみるぞー!」、とはアドバイスで聞いてはいました。確かに痛かったです、がそれは耐えればいいと思っていました。ところが、そこで目を開け続けていると、何と! 飛んでくるビールの勢いで、着けているコンタクトレンズが飛びそうになるんです! これはさすがに緊急事態。人生でもそうあることではありません。やむを得ずひとたび目を閉じビール回避。すると…
横にきてくれた選手の姿がない
あれ!? せっかく横にきてくれた選手の姿がない!!
気がついたときにはもう他の取材陣のインタビューにとられてしまっているんです。話を聞くどころではなく、まずは選手を捕まえていなければならないのです。
よし、こうなったら選手を取り戻しにいくしかありません。
群集のなかに飛び込み、殺到する取材人をかき分け選手を再びカメラ前まで。
そして、やっとインタビューしようとすると…
やっぱりビールはかけられる…目を閉じてしまう…選手がいない…
そんな状況を繰り返しているうちに、あっという間に祝勝会は終了。
いろいろと質問を用意してきたものの、結局自分が聞いていたのは「今のお気持ちは?」の一辺倒…。そんなの聞くまでもなく「最高!」に決まってます。とても「選手の気持ちになって」のインタビューには程遠い、散々たるものでした。しかも、無意識のうちに、お祝いムードで何故か自分もハイテンションだったようで…「選手よりもはしゃいでいた」(関係者談)というたちの悪さ。一体何をしに来たのか…
このままでは終われない。異例の即日「志願」で日本シリーズ・ビールかけ担当となったのです。
というわけで、日本シリーズも取材続行。「選手の気持ち」に少しでも近づけるよう再び球場に足を運びました。そして、どうすれば前回の失敗を生かせるか毎日考えていました。
今年は日本シリーズもまさに一進一退。ドラゴンズvsライオンズの死闘はもつれにもつれ、最終第7戦へ。本当に最後までどっちが日本一になるか予想の出来ない白熱の展開となりました。
そして迎えたのがこの日のこの時だったのです。
日本一、西武ライオンズ。
12年ぶりの王者復活ということで、今度は若い選手のみならず、ほとんどの選手が初めての日本一の経験です。
選手たちはこれ以上ない喜びの表情で、着々とビール瓶をスタンバイ。両手はもちろん、ユニホームのズボンのポケットにまでビール瓶が! 待ちきれず、フライング気味にビールをかけだす選手もいる中、和田選手会会長の掛け声を契機に、シリーズチャンピオンの祝勝会がスタートしました
この1年間の選手たちの努力、さらに、優勝を待ち続けた12年分のチームの喜びがこの瞬間に集約されたのです。肌寒い屋外も、ここだけはどこよりも熱い熱気に包まれていました。この1ヶ月間の取材でしたが、選手たちのいままでで一番の笑顔を見ることができました
選手たちのいままでで一番の笑顔を見ることができました
一方、自ら志願して担当させてもらった「2度目」のビールかけインタビュー。
自分で立候補しておきながら、同じ過ちを繰り返すことは許されぬ重圧、そして、それに追い討ちをかける事態が…。
当初、収録の予定だったビールかけが、なんと、急遽「
生放送」で行われることになったのです。放送時間の関係で選手たちはスタジオには来られない。
つまり、ここでの自分のインタビュー中継が番組での中心になるというのです。
そんな様々なプレッシャーを背負いつつ挑んだ「リベンジ」。
が、いざ始まってしまうと…
やっぱり考えている余裕など全くなかった…前回反省したことを、頭で考えながらやってできるものではなかったのです。
とにかく無我夢中でした。
そして時は過ぎ、何の改善をすることの出来ぬまま、2度目の、そしてリベンジのビールかけが終わりました。
ただ、祝勝会終了後、ひとつだけ前回と違って感じたことがありました。
楽しかった
そんな時間でした。全くうまいインタビューをすることは出来ませんでしたが、選手たちの笑顔を見られて自分も嬉しいと思いました。
選手たちの笑顔を見られて自分も嬉しいと思いました
生中継終了後のことです。スタッフにこういわれました。
前回の100倍良かったよ」。
その他のみんなにも、リベンジできてよかったなと言ってもらえたのです。
「選手の気持ちになって」
そう思って挑んだ今年2回のビールかけ。何が違ったのか…
きっとそれは、選手と自分の「距離の変化」なのかな、と今更ながら思います。
ビールかけのように考える余裕などない時こそ、普段からの選手との関係が重要になる。その瞬間いいインタビューをしようとしても、考えて出来るものではない。1回より10回、10回より100回。選手と話す時間、挨拶する回数が多ければ多いほど、選手の気持ちに近づけるんだと感じました。取材を続けていくうちに、ようやく2回目のビールかけで、少しですがインタビューができる立場になれたのかな、と。
決してファン精神であってはなりません。
でも、伝える立場として、取材を通じて少しでもたくさん選手のことを知る。スタジオにいてはわからない、現場で取材することの大切さを、この1ヶ月間のライオンズの選手たちへの取材で改めて感じることが出来ました。
最後に「ホッ」としました。自分が担当してきたプロ野球シーズンの一年間を、充実感をもって締めくくることが出来ました。それは、役割を果たすことが出来た安堵感と共に、大切なことに気づけたことへの喜びとして。
西武ライオンズのみなさん、日本一本当におめでとうございました!
あっ! あと、来年担当する後輩へ、ビールかけのコツをひとつ。
ビールは飲めたほうがいい! 英語も出来たほうがいい!
★画像はすべて、「すぽると!」オンエアから。★
編集員 昼寝坊【昼寝坊のひとりごと】
おそらく一瞬だったことでしょう。あの盛り上がり。あの興奮。その一瞬のために、辛いトレーニングや長いペナントレースを戦い抜く選手の皆さんの思いを、わずか1ヶ月ながら、渡辺アナは間近で感じ続けたようです。一方、プロ野球界は激動の時代。日本一であっても球団売却の危機に直面する中で、「伝えなければならないことは何なのか・・・」、私たち“伝え手”の心が揺れ動くのも事実です。でも、今回の取材で大切なことに気がついた渡辺アナなら、今後、より信頼されるキャスターへの道を踏み外さずに頑張ってくれるでしょう。
もどる
フジテレビホームページをご利用される方へ
コピーライト