アナマガ

塩原恒夫アナウンサーのコラム「私のベストムービー」

2016年01月06日号

【笠井編集長より】
さあ、今年もやってきました、男おばさん(軽部・笠井)の永遠の映画ライバル、塩原恒夫アナ、通称・塩ちゃん。
さあ、塩ちゃん、今年のランキングは!!

年齢50を過ぎて、はや2年・・・今年になってようやく夫婦50割引きでわりきって見るほど精神面が追いついた。スター・ウォ-ズの最新作も、この料金制度の恩恵を受けたくらい。  マイ・ベスト10の対象期間は、前年12月から本年11月末まで公開分と決めているので、2015ハイライトともいえるSWも、007も来年のはなし。加えて、スクリーン鑑賞に限る(DVD発売後鑑賞した新作は、特別賞扱いとした)しばりの中、一年の映画館体験(試写会含む)を振り返る。

対象は、2014年12月〜2015年11月末、公開作品です。

洋画ベスト10

10位『ゴーン・ガール』

題名からのドキドキ、予告篇からのワクワク。原作があって、フィンチャーの演出ならばもっと上を狙えたはず。ヒロイン=ロザムンド・パイクは、ボンド・ガール時代から大きく成長したもんだ。

9位『ミケランジェロ・プロジェクト』

製作・監督・脚本・主演クルーニーは、往年の第二次大戦ものを再現したか。何とも懐かしく、ユーモアに溢れた中に、命の尊さを問う感動作となった。アレクサンドル・デスプラの音楽も良かった。

8位『白い沈黙』

アトム・エゴヤン監督の作品は、いつも重すぎる。ただ今作は、その語りに大きなうねりを感じた。辛くやるせない題材なのに、エンタテインメントに昇華し、幅広く世に問題を提示できたのではと思う。

見たかったんだけど、見逃した~。

7位『雪の轍』

このトルコ映画は、何といってもカッパドキアを舞台にしていることにつきる。3時間を超える上映時間のほとんどがセリフで満ち、字幕を追って疲れ切った頭は、岩石遺跡群の映像に支配される。

トルコ映画までチェックしてるとは!!恐るべし塩!

6位『アクトレス 女たちの舞台』

ベテラン&若手女優の演技合戦の前に立ちはだかる自然の絵ぢからに圧倒。スイス山岳リゾートで撮られた「マローヤのヘビ」現象をスクリーンで見るだけでも気持ちがたかぶる。

5位『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』

伝説ミュージシャンの映画は今年何本か公開されたが、やはりJBのインパクトは半端ない。すべてが型破りの栄光と挫折を名曲とともに満喫だ。ダン・エイクロイドの出演に絆も感じる。

4位『キングスマン』

本家007に、ナポレオン・ソロの復活、スピルバーグ最新作とスパイものがいっぱい~真正面から挑戦状を叩き付けた!?次々と繰り出されるアイディアと、先入観を逆手にとったノビノビ演出に脱帽だ。

大学生のわが息子も、今年最高の1本と…私にはぶっ飛びすぎてたけど(^_^;)

3位『ビッグ・アイズ』

ティム・バートンが実話を撮ったら、とんでもなく不思議な傑作が誕生した。そもそもポップな作風が、ポップ・アート界の隠された秘密を描くというのだから・・・その大きな瞳にすいこまれます。

2位『セッション』

J・K・シモンズ、アカデミー助演男優賞獲得も当然の力作。全編手に汗握る緊張感マックスの音楽映画って、劇場座席下の足先でさえ震えた。監督のキャリアを調べたら、ホラーとスリラーの脚本家とあり、ナットク。

来た~!2015年の台風の目といえた衝撃作!
男おばさんも齋藤工も大好き!

1位『ピッチ・パーフェクト』

当初老眼のせいか、タイトルの“ピ”を“ビ”と見間違え、B級女性アクションと勘違い(汗)。パート2全米公開第1位の知らせに、あわてて映画館へ駆けつける。
開巻ユニバーサル・ロゴのアカペラから、傑作を確信。スカッと~

うわ~!これよかったんだ。セッション越えとは!!
DVDチェックだ~!

『あと1センチの恋』 10位まであと1センチでした。
特別賞『ドラフト・デイ』邦画で挑戦してほしいジャンル。

邦画ベスト10

10位『バンクーバーの朝日』

野球チーム同様、演出もしっかりと送りバントを繰り返して、観客のホームベースを狙ってくる。今季スワローズ優勝へとつながる伏線すらあったのかも。

私も大好きな1本。
野球もののセオリーをことごとく覆した野球モノ。

9位『超能力研究部の3人』

アイドルを主役にすえた作品は数あれど、ここまで演出がアイドルに厳しく接した裏側まで描かれると!タイトルに惹かれて行ったら、本当に驚いた。

ほんと、これは拾いもんの一本だったなあ。

8位『脳内ポイズンベリー』

同じような題材をピクサーも扱っていたが、真木よう子のヒロインを見ているだけで、楽しく幸せな気持ちになった。ごめんね、アンガー・・・

同感!日米脳対決は、日本に軍配だ~

7位『岸辺の旅』

こわい映画に関する本も書いている黒沢清監督のこんな幽霊物語が見たかった。小松政夫のエピソードが秀逸、ラストも良かった。

6位『起終点駅 ターミナル』

本田翼主演が強い動機となって足を運んだが、不純な見方を封印する〝芸術の秋“にぴったりのしっとり作。北海道ひとり旅がしたくなる。

5位『駆込み女と駆出し男』

井上ひさし原作を基に、俳優陣のイキイキ演技が、想像世界に江戸時代を見事に再現した。大泉洋と樹木希林は、いるだけで可笑しい。

ほんと、こんなに面白い時代劇ないよね

4位『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』

中学生役キャストの頑張りに拍手。原作同様、イッキ見したいトータル4時間半のエンタをU2の主題歌が盛り上げる。

3位『天空の蜂』

東野圭吾の小説が、90年代に書かれていることが凄い。そして、原発を扱った題材を今に問うたことがもっと凄い!娯楽作品というアプローチから、訴える思いを真剣に受け止めずにはいられない。

強烈な面白さと内容の濃さ。なぜもっとヒットしなかったのか!悔しいくらい。

2位『恋人たち』

アマチュア俳優が、存在感を重厚にしめすリアルがある。その分どんどん沈んでいく話の先に、上を目指し信じる未来はあるのだろうか。救いは、決して奇跡的なことではなく、日常に見出すことなのだ。傑作。

1位『くちびるに歌を』

うたの力全開。アンジェラ・アキの歌詞自体じゅうぶん物語として成立しているが、映画は最後に胸元に食い込む鋭い変化球を用意。予期せぬボールに見逃し三振の後、拝啓五十二の私は、しばし呆然と銀幕を見つめ続けた・・・。

『私たちのハァハァ』
他人に薦めるとき、誤解されそうでコワイ

【笠井編集長】
いかがでしたか。塩ちゃんの映画鑑賞には偏りがないので、ハッとさせられる作品がスパッと入ってきます。邦画1位のコメントは、コメント自体が詩的でいい!それにしても、洋邦ともに1位が“合唱歌モノ”とは! 今までにないことでした。

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