Vol.67 |
FROM LUCKY |
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ちょっと殺気を帯びた女性係員の声に振り向いたのは、3人の中で僕だけだったのです。
寝不足の目に、無精ひげ、おまけに肩からはカメラにバッグと、手にはゼロのアタッシュケースに、ついでに、最近ではすっかりお馴染みになった引きずるタイプのちっちゃめのスーツケース。もうどうしようもないくらい不慣れな旅行者風の怪しい30男。連れは見事なまでに茶髪の黒尽くめ男。そしてもう一人は、こんな状況なのに携帯電話で大声で話している真っ最中。振り向いた“ふぬけ”な顔に一瞬、拍子抜けしながらもさらに殺気を帯びたお声が、今度ばかりは他の2人にも聞こえました。
「売店で買い物をされるような状況ではないんですけれど!」
「あう?あ、ごめんなさい。急がなきゃ、ね?」
「お願いします!」
まだ買い物を続けようとする茶髪男と電話男を促して、ちょっとの間、もってあげるつもりの人の荷物まで抱えて手荷物チェックのゲートに急いだときは、実は出発時刻の10分前。
「あかん!またやってもうた…」
今回の旅は某タレントさんに同行取材旅行。そのお方は、極めて朝に弱いタイプ。さらには準備魔。ロンドン行きのバージンエアは、お昼ちょうどの、結構僕らにとっては早めの時間。遅れる要因はいくらでもあったのです。いやいや、人のせいにするのだけはやめましょう。この私は飛行機を舐めきってます。相手が国際線だろうと何だろうと「ま、出発に30分前に付けば…」なんて、たかをくくってますから、まあ、素直に出発できるわけがない。しかも、チェックイン・カウンターから既に録音を始めていたものだから…、いつもより余計に時間をくってしまったのではありました。
当たり前の様に鳴り響く金属探知器。もちろん開けさせられてチェックされる手荷物。そして電源をいれることを要求されるパソコン。そんな段取りを3人ともご丁寧に踏んで、ようやく機上の人と
なれたのです。
一度でいいから、サテライトでゆっくりお茶でも飲みたいもんです、ホント。