MUSIC CLAMP

Vol.66

CLAMP TALK


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CLAMP TALK :PIZZICATO FIVE



中居=中居正広
小西=小西康陽
野宮=野宮真貴

野宮:
ぜんぜんね、海外進出とか考えたこともなかったんですよ。なんですけど、なんかちょっとした機会があって、ニューヨークでライヴを一度やったら、なんか評判が良くて。で、毎年行くようになって、そのうちレコードが出て、みたいな感じです。

中居:
そのライヴをやろうっていった動機は、どういうところからきてたんですか?

小西:
いや、なんか誘われるままに。

中居:
「じゃあ、やってみようか」って。

小西:
うん。最初はなんか「ただでニューヨーク行けるからいいかな」とか。

野宮:
そうそう。

中居:
けっこう安易な気持ちで。

小西:
うん。

中居:
そしたら、みるみるうちにお客さんが集まり。

野宮:
なんかね。

中居:
いろんな人に注目をされ、っていうことですか。で、それはニューヨーク。ヨーロッパのほうもなんか回ったってお聞きしたんですけど。

野宮:
はい。

中居:
また違うと思うんですよね。アメリカでの、ニューヨークでのお客さんと、ヨーロッパ系のお客さんと反応も違うでしょうし、聴き方とかのり方とかも違うと思うんですけど。そういうところで「あれ?ちょっとおかしいんじゃないか?」っていうのありませんでした?

野宮:
アメリカはとにかく、アメリカは10都市ぐらいやったんですけど、どこに行ってもすごい盛り上がるんですね。もうみんな。

中居:
どんなですか?

野宮:
日本語でほとんどやってるんですけど、それでも日本語わからないはずなのに、でもなんか一緒に歌ってたり。もう踊ってるし。すごい「来た以上は楽しむ」っていう感じで、すごい楽しんでくれてて。

中居:
それはあの、知った上で来てるんですかね?アーティスト名だったり。

野宮:
まあ、そうでしょうね。

小西:
まあ、どっかは知ってるみたいな感じで来るんじゃないですか。

中居:
それはやっぱり音が好きで、アーティストが好きでライヴを観にきてるって形ですかね。

野宮:
とにかくすごいよね、アメリカはね。

小西:
うん、アメリカはね。

野宮:
でも、ヨーロッパは、ドイツとロンドンでやったんですけど、ドイツのお客さんとは、始まる前とかすごい騒いでるんですね。で、曲が始まると、わりと静かにじっくりと聴いてくれて。 それで面白かったです。

中居:
それはそれで、でもなんかやりにくいとこありませんでした?

小西:
なんか日本のファンに似てるっていうか。

野宮:
うん。似てる感じがした。

小西:
いい感じですよ。

中居:
でも、ステージ上で立ってるうえでは、どういうふうなお客さんだと気持ちいいですか?例えば、アメリカのそのノリノリっていうか。

野宮:
うん、ノリノリ気持ちいいですね。

小西:
うん。

中居:
ノリノリがやっぱりいいですか。

野宮:
なんか、こっちまでテンション上がっちゃって楽しかったですけど。

中居:
ヨーロッパ系だったり、まあ、ロンドン、ドイツってさっきおっしゃってましたけども、ちょっとおとなし目のお客さんより、やっぱりお客さんがガーッてノってるほうが。

野宮:
そうですね。だから、ワールドツアーから帰ってきて、日本でライヴやったんですけど、なんかすごくおとなしいように感じてしまって。

中居:
さっきもハートっておっしゃってましたけど、やっぱり気持ちなんですかね?

野宮:
なんかね、だから、アメリカでいっぱい集まってくれたファンにインタビューしたんですね。「ピチカートのどういうとこが好きですか?」って。大抵は「ピチカートを聴くとハッピーな気持ちになるから、そういうとこが好きです」って言ってました。言葉がわからないのは、あんまり関係ないっていうか。と、言ってました。

中居:
へぇー。我々が海外というか、洋楽を聴く時っていうのは、まず曲をやっぱり聴くじゃないですか。「ああ、メロディがいいな」って。

野宮:
言葉はね、そんなにわかんないですよね。

中居:
で、CDを本当に好きだったら、やっぱり「どういうものなのかな?」って自分でね、辞書を引いたりするじゃないですか、「これはどういう意味なんだろう?」とかって。でも、あっちの人っていうのは、そこまで?とにかく本当に音が、ノリが気持ちいいがためにやっぱり見に来たり聴いたりするんでしょうね。

野宮:
あとは、ライヴけっこうピチカート派手だし、面白いんですよ。だから、見ても楽しめるし。

中居:
日本ではどうですか?ガンガン!!っていう雰囲気と、普通にライヴを見ている っていう感じと。

小西:
ピチカートのファンの人って、おとなしいほうかもしれない。

中居:
おとなしいですか。

野宮:
うん、どっちかっていうとおとなしいかな。

中居:
でも、ステージ上は激しくやってるわけですよね。

野宮:
はい。

中居:
でも、お客さんは。

小西:
わりとクールな感じですかね。

中居:
それってやりにくくありません?

小西:
いや、もうそういうもんかなって思ってるし。

中居:
それってやりにくいんじゃないですかね。こっちは例えばね、ガーッてやってるつもりであっても、そういう絵であっても、お客さんがそれについてきてくんないと、なんかやりにくいんじゃないかなって。

野宮:
半分から前は、わりとウワァーッ!!って騒いでる若いファンが多くて。で、ピチカートわりと年齢のいった人のファンが多いんですよ。男の人とかね。そういう人はね、なんかね、後ろでね、じっくり聴いてたりとか。それは世界中どこ行ってもそうでしたけどね。

中居:
へぇー。先ほどの収録のもそうですが、あれっていうのはジャンルは何になるんですかね?

小西:
何かな?

野宮:
だから、「ピチカートの音楽って一言で言うと」っていう質問をされると、いちばん困っちゃうんですよね。

中居:
難しいですよね。

小西:
うん。

中居:
ビートルズの匂いっていうのも………。ビートルズだけの匂いじゃないなっていうのもね、思ったんですよ。60年代というより………。これは何だろうなって。ロックの一種は一種なんじゃないかなと思うんですけど、なにがあるんだろうなっていう。

小西:
何ですかね?

野宮:
何ですかねぇ?

中居:
何を訴えたいですか?訴えたいっていうか。

野宮:
訴えたいことですか?

中居:
何を伝えたいですか?歌を通して。

野宮:
やっぱり、そう感じてくれているといいんですけど、その、さっきから言ってる幸せな気持ちになったり、なんかウキウキしたりとかね。そういうのが伝わればいいですけど。

中居:
うん。小西さんは?

小西:
うん。なんか音楽にあまり深いものは求めないので。なんかほら、部屋に入ってきた時にいい曲かかってたら嬉しいじゃないですか。それぐらいな。朝起きた時は、なんか気持ちいい音楽聴きたいとか。それぐらいのね。

中居:
あんまりグァーッ!てなんか、煮詰まっちゃうようなことっていうの、じゃあ、 あんまりないですか?

小西:
いや、ね、それは無いわけじゃないんだけど。でも、音楽を聴く時は、あんまりそういう突き詰めた気持ちにならないようにしようかなと。

中居:
作る時はでも、やっぱりぶち当ったりします?

小西:
そうですね。今ぶち当ってんですけどね。

中居:
ぶち当ってます?

小西:
うん。僕、最近ね、曲がなんかあんまり出来なくなってきて。

中居:
それ何ですかね?例えば以前はできたけど、今は出来ないって、どこで。

小西:
なんでかな?

野宮:
でもね、いつもレコーディングの前はね、そう言うんです。でも、ちゃんと作ってる。

小西:
だといいんですけどね。いいこと言いますね。でも、最近ちょっと不安で。

野宮:
本当?

小西:
うん。「もうダメだ」って。

中居:
「出来るのかな?ダメなんじゃないか」ってですか?

小西:
そう。

野宮:
でも、いつも言ってるよ。

小西:
あ、そうかな?

野宮:
それで心配するんだけど、いい曲が出来るから大丈夫。

中居:
なんかすごい不思議な感じがしますよね。怒ったりします?

小西:
僕はね、わりと怒りんぼなんですけどね。

中居:
怒ります?

小西:
うん。

中居:
何に対して腹が立ったりします?

小西:
何だろうな?

野宮:
タクシーがね、遠回りしたり。

小西:
やめようよ、そんな。

野宮:
パリでタクシー乗ったんですけど、言葉がフランス語とかあんまり出来ないけど、いちおう目的地を告げて。なんか知らない道を通って行くんですよ。で、怒ってましたよ。フランス語か英語かわかんないけど。

小西:
ああ、外国では意外と怒るかもしれない。

野宮:
「カッコいい」とか思っちゃった。

中居:
日本でだってずっと環境でね、育って生活してるから。やっぱりあっちでは生活のリズムが違うわけじゃないですか。それに対して、もうね、怒ってもあっちの人もチンプンカンプンだったりしないんですか?

小西:
あ、そうかもしんないですね。

中居:
でも何か腹立たしい?

小西:
うん。

野宮:
「ナメられちゃいかん!!」って感じ?

小西:
そうそう。野蛮人なんですよ。「ナメんなよ」っていう感じが。

中居:
喧嘩とかないんですか?お二人。

野宮:
ないですよね。

小西:
ないですね。

中居:
争わないんですか?

野宮:
うん、そんなに。

小西:
ないよね。

中居:
テレビもあんまり出られませんよね。

野宮:
そうですね。

小西:
なんでですかね?

中居:
なんで?

野宮:
出たいんですけどね。

小西:
出たいんですけどね。

中居:
あんまり露出したくないってことじゃなくて?

小西:
べつにそれはないんですけど。

野宮:
ぜんぜん。

中居:
機会がもちろんあれば。

野宮:
出ます。

小西:
テレビでね、「はーい」とかってやりたいですよね。

中居:
でも今、テレビに出ればもちろんね、見る人ももちろん多いですし、聴く人もやっぱり多いですし、やっぱりすごい電波だと思うんですよ。そうすると、今の世の中、ライヴだけであったり、聴く人の規模が大きくなると、やっぱりそれだけ注目も浴びるでしょうし。今やっぱりどうしてもね、小さいところって言ったらあれですけども、やっぱり自分たちの中で大ヒットしたいっていう気持ちっていうのは?例えばチャートで判断するのはあれなんですけど、ヒットチャートで何週連続1位とかってやっぱりあるじゃないですか。ああいうふうに大ヒットをつくってみたいなっていうふうに思ったことっていうのは?

野宮:
思いますよ。やっぱりやってる以上はね。どうですか?

小西:
そうかな。僕、もう充分なんだけどね。

野宮:
何をおっしゃるんです。

中居:
欲がないんですかね。

小西:
いや、欲がないっていうわけじゃないんだけど、売れなくてもいいとかって思ったことはないけども。でも、充分、売れてる気もするんだけど。

野宮:
まあ、これ以上ね、忙しくなるのも嫌だけどね。なんて。

小西:
嫌だよね。

野宮:
まあでも、売れたら売れたでね、嬉しいと思うけど。

中居:
いろんな人も聴くでしょうし、いろんなとこ行って、どこの店行っても、どこのデパート行っても、どこに行っても自分たちの音楽が流れてるみたいな。

小西:
今そうでしょ?なんて突っ込んだりして。

中居:
いや、CDはそんな………。いや、すごくあの、だからその、上を見ちゃえばきりがないんでね。我々は我々ですごく満足は、うん……、難しいなぁ。やっぱりグループなんでね、自分たちのやりたい音楽っていうのは、そう簡単にできないですし。自分の好きなジャンルっていうのは、やっぱり出来ない。自分たちで作ったりしませんから。そこらへんはだから難しいですよね、音楽に関しては。メンバー5人もいますし、作る側のスタッフもいますし。自分一人がやりたいことっていうのは、かなりセーブされますね。でも、流れたら流れたでやっぱり嬉しいですけどもね。「ああ、流れてる」っていうのは。でも、自分が作った作品ていう感じより、みんなで作った作品ていうのが気持ちが強かったりしますからね。

小西:
ああ、でも僕もね、最近、本当に自分たちの曲が街でかかったりするのを聴くチャンスがあると、そうするとやっぱり嬉しいや。

中居:
素直にやっぱり嬉しいですよね。

小西:
うん。本当に嬉しい。

中居:
いつまでたっても嬉しいものですし、なんか「あ、俺の歌だ。俺、ここにいるのにな」なんて思いながら。そういうのやっぱり、正直思ったりしますよ。ごく普通のね、気持ちだったりしますからね。

野宮:
だってほら、スーパーマーケットとかでさ、歌が入ってないインストになってるやつとか流れてるじゃん。

小西:
そうそう。

野宮:
ああいうのとか、けっこう嬉しかったりする。

中居:
ありますよね。「誰かアレンジしてる」みたいな。

野宮:
そうそう。

小西:
去年、初めてそういうの聴いてさ、本当、嬉しかった、僕。「ああ、俺も一人前だな」とか思って。

中居:
本当、嬉しかったでしょ。

小西:
その時、トマトジュースかなんか買ったんだけど、しみじみした。

野宮:
思わず言っちゃいそうになった?

中居:
トマトジュースうまかったんじゃないですか?そういうのありますよね。なんか、勝手にどっかでやってたりするとね。

野宮:
そうそう、そういうのが嬉しい。

中居:
ああいうのって、「ああ、この曲が必要とそれてるのかな」とか思ったりするんですよね。世間だったり、デパートだったらデパート、スーパーだったらスーパー、「ああ、貢献してるのかなぁ」とか思っちゃったり。
お二人の夢は何ですかね?

野宮:
夢?夢ねぇ。

中居:
漠然とした質問で申し訳ないですが。夢。

野宮:
何でしょう?何だろう?

小西:
あんま大きい夢持ったことなくて。

野宮:
私もそうかも。

中居:
小さい夢でも夢は夢ですし。

野宮:
小さい夢でもいい?

小西:
なんかね、やっぱり大きいとこでライヴやってみたいね。まあ、東京ドームでもね、横浜アリーナでもいいんだけどさ。それで会場にロビーにピチカートのね、プリクラ製造機がたくさん並んでて、それでみんなで作ったりするといいよね、とかって。それぐらいしか思いつかなくて、なんか。

中居:
なるほどね。それもだから、先ほどおっしゃってたように、お客さんだったり、見てる人が楽しい、なんか幸せな気分ておっしゃったじゃないですか。やっぱりプリクラっていうのも多分、楽しんでもらいたいなっていう気持ちが僕はあったと思うんですよ。まず、お二人の音楽のテイストっていうのは、やっぱりとにかく幸せになってもらおう、楽しんでもらおうっていうのがやっぱり、なんとなく僕なんかにも伝わってきた気がしましたけどね。

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