TK MUSIC CLAMP

Vol.50

CLAMP TALK


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CLAMP TALK :泉谷しげる



中居=中居正広
泉谷=泉谷しげる

中居:
へえー。いつでも戦闘体制みたいなのが?

泉谷:
そういうわけでもねえんだけど、なんかこの恐い親父っ つうのが好きなんだろうな。あの、だからその、親父の世代だろうが何だろう が、どいつもこいつも近所でもみんな恐かったじゃない、うん。

中居:
頑固親父とかそんなんですね。

泉谷:
そう、頑固。一軒は必ず頑固親父がいた、みたいな。今 なんか「親父?どこいんだ?」みたいな状態で気の毒なんだけど。だいたい、夜の 七時とか八時くらいになるとテーブルがひっくり返るわな、ガーンと。

中居:
はあ……。

泉谷:
すっと「ん?あの家やってるなぁ、おい。うちも負けず にやろうぞ!」みたいな、その。

中居:
でもそういう、僕ね、反発心ていうのかな?例えば、自 分を持ってないとできない、人に流されちゃ絶対できないことですよね。

泉谷:
そうそうそうそう。いや恐いですよだから。だから先 輩、フォークだろうがロックだろうが、その、普通、ロックとか自由な音楽とか ぬかしてはいるけど、すごい徒弟制度がうるさくて、誰がトリ取るとか決めてモ メてんだよ。喧嘩してんだよな。

中居:
ええ、ええ。
「裕也さん」
内田裕也さんの事です。念のため…。

泉谷:
俺たちなんかトリなんか取りたくねえから、終わったら さっさと帰りてぇじゃねぇ。だから、「裕也さん、どうぞ」とかね。まあ、 「やって下さい」みたいな。

中居:
へぇー。

泉谷:
「最後までいって下さい、やって下さい」みたいな。

中居:
でも、それはでも、自分のその、ね、いわゆる突っ張っ た気持ちじゃないですけども、そういう気持ちをね、突き通すっていうのは、あ る意味では周りを敵に回すようなことってのももちろんそういう。

泉谷:
うん、まあ、敵に回すだろうねえ。回すんだろう。だけ どその、あの、気に入ってる奴は、まあ、ある意味で逆にいえば大親友も手に入 るわな。

中居:
うん。

泉谷:
そうそう、そうそう。だから、全員に好かれようなんて 気はさらさらねえし、第一、気持ち悪いわな。

中居:
うんうん。

泉谷:
そうそう、それは。

中居:
あ、それはあるでしょうね。

泉谷:
そんなん、嫌だよ。女だっていろいろ好みがあるわけ で、「この女には好かれたくねえな」ってのはいるだろうよ、そりゃ。

中居:
ああ、なるほどね。

泉谷:
ああ。馬鹿馬鹿しいよ。ほんで、「こんな大人とは付き 合いたくねぇなぁ」とか、俺、思うもんよ。で、それは同じミュージシャンでも 自分が正直に「こいつ嫌いだな」とか思ってんのに、なんかテレビ上しょうがな く仲良くしなきゃなんないことなんか、たまにあるじゃん。

中居:
ええ。そうせざるを得ない時ありますよね。

泉谷:
あるだろ?

中居:
ええ。

泉谷:
すっと、やっぱ終わったとき「てめえこの野郎!!」とか 後ろでよくやってたりとかな。「これ本番は我慢したけどな!この野郎!!」みたい な。

中居:
すんごい嫌だ、そういうの。

泉谷:
逆にその、その逆もあったよ。取り囲まれたりとかな。 テレビ局の後ろで。

中居:
「おまえなんなんだよ!?今のはよう!」みたいな?

泉谷:
ようみたいな。「おまえ何突っ張ってんだよ!?」みたい なさ。

中居:
でも変な話、今の、僕らがやってるその、まあ音楽に限 らずその活動っていうのは、そういうなんか突っ張った同士の肩のぶつかり合い みたいなっちゅうのは、ないですよね。

泉谷:
ないよね。だから、そういう意味ではやりやすいっちゃ あ、やりやすいんだけど、ある意味では。その、遅くまで飲んだりとか、食った りとか、そういう事しなくなっちゃったな。すごい喧嘩してんだけど、飲むと非 常に意気投合しちゃったりなんかするようなことはよくあってさ。お互いに嫌い なんだけど。だけど、ついつい飲んじゃって「馬鹿野郎!てめぇの音楽はよぅ!!」 とこう、ガンガンガンガンとこういいながら、「なんか結構いい奴じゃん、こい つは」みたいな。そういう仲良くのなり方を俺たちは常にしてて、好きな相手で もそうなわけよ。

中居:
どういう人ですか?

泉谷:
吉田拓郎とかそういうのも好きだったんだけど、「てめ えアイドルじゃねえか!この野郎!!」みたいな。「スカすんじゃねえぞ!!」みたい な。その、なんつうの?ワザと突っ張るわけよ。

中居:
ええ、ええ。

泉谷:
ほんで、嫌なこと言うわけよ。

中居:
刺激を与えるんですね。

泉谷:
そうそうそう。だから、向こうは向こうで、蔑んでもの を見ているみたいな。その、腹ん中では好きなんだけど。

中居:
うん、そうですね。僕なんかね、だからそういうのは、 もしかしてなんつうの?闘争心というのかな?いわゆる刺激し合ったり、張り合い みたいなのはもしかしてないかも知れないですね。

泉谷:
ああ、そう。

中居:
「こいつを押しのけてまで俺がいってやろう」ってい う。

泉谷:
うーん?いや、例えば、だからね、それはおめぇ、しん どいことでさ。いや、そうしないと負けちゃうわけよ。

中居:
うんうん、うん。

泉谷:
だから本当に、そのうえ力があったから、みんなが。そ の、それぞれが。

中居:
ええ、ええ。ええ、ええ。

泉谷:
だからその、つまり、よく一緒にこうほら、あの、イベ ントに出るはめになるじゃない。すっと、前の人間がもうメチャクチャうけ ちゃったりなんかすると、あと通して俺が次に出る時なんかだいたい俺の悪口最 初に言われちゃうわけ、「ガンガンガンガン」て。「あいつはロクなもんじゃね え」だの「歌はヘタ」だの「最低な奴だ」みたいな。

中居:
うんうん、へへっ。

泉谷:
で、そのあと出ていくから笑い者になるわけよ。

中居:
「ああっ、こいつだこいつだ」みたいな?

泉谷:
「ああっ、こいつだ」みたいなさあ。で、それをぶちの めしていくのにはねぇ、やはり相当な覚悟いる。

中居:
うん。

泉谷:
だから、いつもその、イベントでその、順番決めるとき に「いちばん最初に出たほうが勝ち」とか、「トリとる奴は馬鹿」だとかいっ て。

中居:
へぇー。

泉谷:
それで、「おまえは暴れるからいちばん最後」っていつ も後回しされちゃうわけよ。すっと、この世界ではその、いちばん最後ってのは こう、キメでなんか大物だっていう意識はあるんだろうけど「おまえはうるさい からいちばん最後」というその。「何なんだこれは?」みたいな。

中居:
でも、そういうのってすごい好き。あの、この前もあ の、去年でしたっけね?神戸かなんかでチャリティライヴ、いろんなアーティスト の方が集まってやったじゃないですか。僕、ああいうの本当、好き。

泉谷:
でしょう?

中居:
なんか、アドリブ的なところっていうのかな?なんかし らやっぱり音楽の世界でブラウン管を通せばある意味では、人はよくてもライヴ は悪かったりするわけですよね。

泉谷:
そうそう、そうそう。

中居:
好きでもライヴ悪かったり、うん。

泉谷:
そうそう、そうそう。

中居:
でもそう、いわゆるそのライバル達が、いつも敵対心を 持ってる人たちが、まあ持ってないかも知れませんけど。

泉谷:
昔はあったわな。今はわりとそうでもなくなったけど。

中居:
んで、そういうのはまあ、少なくなってきましたけど ね。そういう人達がみんなで集まって、一つの音楽じゃないですけども、同じ目 的でひとつの目的を。

泉谷:
そうだなあ。

中居:
そういう姿勢が、みんなが同じ姿勢を。

泉谷:
だけどねえ、やっぱりそれぞれの親分やってるような奴 等じゃない。なんだかんだいっても、やっぱりいくら目的がその震災の救済だと 言ってもよぉ、やっぱわがままだぜ、みんな。本当に。

中居:
え?どういう事ですか?

泉谷:
やっぱり「あの歌うたうんだったら、俺はやんねえ」と か言い出すわさぁ、「あいつがギター弾くんだったら、俺はやんねえぞ!」とか さ。「こいつが入ってくるわけ?じゃあ、俺やんねえよ」とか。ま、必ず始まっ ちゃうからね、それは。だから面白いんだけどさ。ほんで、「俺は天然水じゃな いと飲まないから。いい水用意しといてくんないと困るよ」とか言うわけだよ。 「なんだ!?その水道の水でも飲ましとけ。そんなもん、わかりゃしねえんだか ら」とかさ。だから、多少、だから全員が仲良くなるなんてことはあり得ないわ けですよ。それはもう、わかってるわけよ。

中居:
それはやっぱ不可能なことなんですか?

泉谷:
不可能だよ、そんなもん。そんな気もないよ、こっち も。だから、わざと楽屋も全部分けないの。もう、一個。全部、一個。

中居:
うわぁ、嫌な空気だな。

泉谷:
いやいや、いいんですよ、それで。

中居:
喋らざるを。

泉谷:
喋らざるを得ないから。

中居:
それ楽しんでんの?

泉谷:
それ、すごい楽しいわけ。うん、楽しんでんだ。

中居:
へぇー。それ楽しんでんだ。

泉谷:
大変ですよ。

中居:
気ぃ遣うんですね。

泉谷:
機微もんだよ、これはもう。こう見えてっけど、俺は世 界で一番気ぃ遣う男だよ、おまえ。

中居:
………………。

泉谷:
なんだその眼その顔は!この野郎!!

中居:
いやいや。

泉谷:
だけど、恐らく俺、こういうのが向いてると思うんだ よ。向いてるっつうのがさ、それは表面を、人のこういう画面に出てるこの「恐 いオッサン」という固まりのイメージとは別にね。これは、結果こうなっちゃっ ただけであって、本人はべつに表に出る気はなかったし。どちらかといえば、そ うやってタレント集めてっていうか、ミュージシャン集めて売りたかった人なの ね。

中居:
ああ、裏側の人。

泉谷:
うん。裏側の。

中居:
作る人だ。

泉谷:
うん。実際そういう事務所を二十歳ぐらいの時に作った んだ。

中居:
ええ、ええ。

泉谷:
そいで、どうしても売りたい奴がいたわけだ。

中居:
うんうん。

泉谷:
で、こうやって押し出してってレコード会社いったりな んかして、あるいはコンテストとかなんかにも連れてって。で、あるレコード会 社がみんなの音を聞きたいっていうから、「よし!じゃあテープ入れとこう」っ て、要するに一番売りたい奴をメインに入れといて。で、余ったからカセットに 俺の声入れといたわけね。

中居:
ええ。

泉谷:
そしたら、俺が受かっちゃったんだよな。その、余っ ちゃったやつで。

中居:
うんうん。

泉谷:
「えっ?俺かよ?参ったなぁ、おい」みたいな。

中居:
それがきっかけなんですね。 さっきも泉谷さん言ってたように、例えば、番組で嫌いな人っていうか、自分が 苦手な人と話を合わせなきゃいけない状況っていう。

泉谷:
とりあえずな。

中居:
うん。そういうのあるじゃないですか。

泉谷:
うん。ムカムカしてっけど。

中居:
ええ。でもそれ以上ムカムカした顔、絶対出さないです よね。

泉谷:
出しますよ、けっこう。

中居:
それは汚いですよね。

泉谷:
何でだよ!?おまえ。

中居:
僕らなんか絶対できないよ。出来ないっていうか。

泉谷:
だって、俺、キャラクターなんだもん。

中居:
それ、汚ねぇなぁ。

泉谷:
俺は、怒っていいんだもん。「なんだおまえ!?嫌い だ!!」とかって言っていいんだもん。

中居:
それっ、それ。

泉谷:
それ、「泉谷しげる」が言わせるんだもん。

中居:
それ、僕、出来ないですもん。

泉谷:
だろ?だからそれは好感度をおまえ、どっかに喜んでる んところがあんだよ。おまえの中に。

中居:
でもそれはだけど、その人が不愉快じゃないですか。

泉谷:
不愉快だっておまえ、不愉快にさしてやんねえとさ、1 回はさ。その、「こいつ嫌い」なんだから。

中居:
そんなこと言えないじゃないですか。

泉谷:
だから、言ってやんねえとさ、気付かねえんだから、× ×××。

中居:
だからその、いわゆる自分の嘘の姿があるわけですよ。

泉谷:
あ、そうか。

中居:
自分の嫌なね、「これについてどう思いますか」「い やぁ」。

泉谷:
だから、それはキャラクターだと言うえるっつうの。だ から、多少の事で、素だったらなかなか言えないだろ?それ。素で言ったら、本 当、マジじゃねえか、俺。

中居:
本当にになっちゃいますもんね。

泉谷:
本当だろ。たけしだってあれだけのことみんなに言っ て、嫌われてるか?

中居:
うん、そうですよね。

泉谷:
だろ?

中居:
いわゆる人間性ですよね、本質的に。

泉谷:
だから、でも、けっこう彼は非常に気にし屋さんで。 やっぱりほら、人に批判っつうか、悪口いう人間っつうのは、他人の悪口に弱 いってところがあって一言いわれちゃうと。

中居:
ガクンときちゃうんですね。

泉谷:
ガクンときちゃったりする奴が多いんだよな。でも俺は 「だいたい嫌ってるぞ」と思って常にいくから、人はあんまし。

中居:
でも、多分、泉谷さんはあれですよ。嫌いな人少ないと 思いますよ。

泉谷:
そうなんだよ、以外と少ないんだよ。嫌んなっちゃった よ。

中居:
そうですよね。

泉谷:
で、思ったより殴ってんだけど、「俺おまえ好きなんだ けど」って殴られてんだよ、みんな。
「頼むよ泉谷、お、俺、おまえのこと…」
「うるせえ!俺は嫌いなんだ!おまえが!!」とかって殴ってんだよ。
「だーい好きなんだからよぅ!」って泣いてんの、そいつ。
「なんだよ、だったら最初から言え、この野郎!」とかさ。

中居:
勇気ありますねぇ、それ。

泉谷:
とんでもないよな。

中居:
だから、人に対する姿勢ってのが、僕、どんな人でも多 分、泉谷さんは変わんないと思うんですよ。

泉谷:
うん。

中居:
僕に対しても。そんで、今ね、一緒にやってる慎吾君に 対しても。その人に対する接し方っていうのが変わらないと思うんですよ。

泉谷:
その、綺麗なネェちゃんの時はちょっと態度変わるけど ね。

中居:
それはね、ぼくも一緒なんだけどね。

泉谷:
さすがにね、好みのネェちゃんは。でもまあ、あんまり 我慢できないな、やはり。

中居:
我慢しちゃいけないですよね。

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