Fuck Elvis
Fuck Elvis
うちのベースのＴＯＭＭＹ ＧＵＮは、フリーのライターで、某タトゥー＆スト リート・マガジンの編集やってる。こないだ、練習の時、「雄大！こんど富士男 ちゃんにインタビューするから、聞きたいこと、まとめといてや！」と、突然、 ごきげんな話を・・・「もう、出たんだぁ！」なんて思いながら、「あれ聞こう や！これ聞こうや！」などと、二人で話していた。翌週、仕事してると、夜の９時くらいかな？ベースのＴＯＭＭＹ ＧＵＮから電 話が来て、「雄大！ほんま、悪いんやけど、富士男ちゃん、インタビューの時、 スチール入んねんけど、黒のテレキャス使いたい、言い出して・・・俺の知って る中じゃ、雄大しか思いつかんでなぁ・・・」
夜１０時、新宿某ホテル２１０３号室。黒のテレキャス、片手にまるで、泥棒猫のように俺はホテルに忍び込んだ。ブザーを鳴らすと、「誰！？」というＴＯＭＭＹ ＧＵＮの声が・・・「俺、雄大！」と、なぜか小声で・・・
中に入ると、そこには長年の不摂生で、目ん玉が白く濁り、やつれ顔の富士男さんがいた。生きてる人間とは思えないくらい現実感のない存在だった。それこそ、今にも消えてなくなりそうな存在感だった。
「おー、うすらでかいの！わざわざ、悪かったなぁ。まぁ、酒でも飲んで行けよ。」
取りあえず、部屋の隅っこに小さく座りこんで、インタビューを見守っていた。 少年時代の話からモンスター／ダイナマイツ時代の話、村八分の頃の話、立て続け に富士男さんは、話し続けた。
突然、富士男さんは、こう言った！
「こんな話、面白い！？俺、なんでも、話すよ！聞かれれば・・・だけどさぁ、 こんな話おもしろいのかなぁ？ホントは、別に聞きたいことあるんだろ？ぶっちゃけ て聞けよ！！何！？なに聞きたいの？何でも、話すぜ！ドラッグの話？政治の話？宗 教の話？俺の肌の色の話？刑務所の話？何でも、話すぜ！俺、もう、な〜んにも隠す ことなんかないんだよ！」
その後、途中からインタビューに加わった俺に向かって、すごく酔っ払った富士男 さんは、ドラッグの話から刑務所の話、チャーボーの話、とにかく何でも、聞けば話 してくれた。もう、全てを悟りきったような目で・・・中でも印象的だったのは、山 内テツさんとジャムった話だった。
「俺、やっとわかったんだよ！テツさんが言ってたことが・・・３年前言われた時 はわかんないかったんだよ！なんの話かっつーと、３年前くらい前かなぁ、久し ぶりにテツさんに会いたくなって、ギター持って、会いに行ったんだよ。湘南の 海の観えるスタジオに一緒に入ってさぁ、富士男！俺、今こんな感じだよ！っ て、テツさん、何かを感じとりながら、ベースを弾き始めたわけよ。適当に合わ せてくれって言うから、俺、張り切っちゃって、できること全部やって気合い入 れて弾きまくったわけよ！そしたらさぁ、テツさん、こう言うんだよ、富士男！ いつまで、糞たれてんだ！？って、俺、頭にきてさぁ、どういう意味だよ！！っ て意気ったらさぁ、観てみろよ！って、窓の外の湘南の海を指さして、波の音が 聞こえるだろ！部屋の中ではザワザワって空気が鳴ってんだよ！そいつらと俺は ジャムってんだ！オマエは、いつまでも、糞たれてんじゃねぇ！！！って、俺、 あったまきて、そん時ぁ、帰ったけどね。今んなって、解かんだよねぇ、あの 時、テツさんの言ってたことが・・あの時の俺はさぁ、俺って、こんなのも弾け るし、こんなジミヘンみたいにも弾けるしって、今まで、自分の中に入ってきた 音ばっかしをそのまんま、消化もせずに、弾いてたんだよ・・・後で、機会が あって、その時、たまたま録音してたテープを聴いたらさぁ、テツさんのベース が波の音やらドアをバタンッ！って閉める音だったり、俺らのまわりにあるいろ んな音に合わせてんだよね！それには驚いたけどね・・・なんかさぁ、今んなっ て、解かるんだよ、あの人の言ってたことが・・・」
最後に富士男さんは、俺に向かってこう言った。
「今、俺たち、ジャムってるよなぁ！？」
俺はこう答えた。
「トーク・セッションですよね？」
富士男さんはこう言った。
「こういうのが一番気持ちいいんだよ・・・」
結局、朝の６時まで、続いた８時間にも及ぶ、超ロング・インタビュー！！！ いつ、掲載するのかは知んないけど、巻頭１０ページに渡る特集を組むらしい。 興味のある人は、読んでみてくれ！
俺のギターに合わせて、「鼻からちょうちん（村八分）」を歌ってくれた富士男さん！
最高、イカシテタ！！！！！
[POCCA 1996/9/18]
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