今回,globeのロード・ムーヴィーを制作しようと思った理由,意義は,ライヴを行い,記録に残すことが,”globeとしての使命”だと率直に思ったからです.日本の音楽シーンにおいて,僕らglobeのポジション,アルバムのセールスなどを考えたとき,パフォーマンス,つまりはショー的な部分を今までみなさんに提示していなかった.CDでの音楽は成立していても,やはりライヴ,映像で形にしておかなければいけないと思いました.これが理由の一つです.今後,当然大きな規模でのステージが行われることも予想されますが,globeのメンバーとして僕なりに考えると,KEIKO,MARCは,まだミュージシャンとしての経験値が浅いのも事実です.結成してから今までの過程が,いきなりコンプレッション(凝縮)してここまで来てしまったので,タイムラグがあると思うんです.だから,そのギャップを埋めてあげたいとと強く感じました.今回のライヴを終了した時点でも未だ早送りかも知れませんが,ステップアップするということを二人に実感してもらいたい.また,ある意味,僕の経験値に追いついてもらおうと言う意図もあります.
このプロジェクトは,あくまで”ライヴありき”です.映像を作るためにライヴをやる,という意図ではありません.ライヴを形で早く残して,それを見ていただくことで,アルバムを聴いて指示してくれたみなさんの期待に応えられれば,という気持ちが大きいです.最近,アトランタ・オリンピックも開催され,”記録と記憶”という言葉があります.短期間ではありますが,”僕らは着実にステップアップするために,きちんとしたことをしっかりやってきた”ということを,このライヴ,そして映像でお伝えします.
僕個人に関していえば,ここ数年,ダンス・ミュージックをやってきて,エンターテイメント,魅せるためのショーを基本に考えてきたと思うんです.ただ,これまでの自分の音楽活動の中で,”ロック”というものが強くあるのも確かです.ダンス・ミュージックにベクトルが向いていながらも,自分の気持ちの中ではロック・スピリットあふれるものがぽっかりと空いてしまっていたんです.そこで,globeでロック的なショーにトライするのも有りかなと思い.このライヴのステージングを構想しました.何を称してロックというのか分かりませんが,たぶん,攻撃的であったり,破壊的であったり,歪み感であったり,スピード感を感じさせてくれるものがロックではないでしょうか.つまり,もう少し音楽に根付いた,音楽自体からメッセージを自然に発していくようなスタイルがこのショーです.
今回のライヴ,映像では,ここ一連の僕のプロデュース作品群を見てきてくれた人たちに,きっと違う面を見て貰えることと信じています.いい意味で,聴いてくれる人たちの気持ちや感覚をグサッとえぐるような,つまり,感覚としても痛み,刺激をライヴから感じて貰えればうれしいですね.
これは,みなさんに”こいつら本物だ”と感じてもらうための実験です.でも,これは完成品ではありませんから….
9.11.1996
小室哲哉
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