TK MUSIC CLAMP

TKMC

NON EDIT TALK : 小室哲哉★つんく


小室:
こんばんは。小室哲哉です。えぇと、TK MUSICCLAMPもですね、御陰様でなんとか30回を迎えることになりましたんで、今日はスタッフからですね、こういったシャンパンとか戴いたので、注いであるんですが。一人ではつまらない、ということで30回にふさわしい派手やかなゲストを、華やかなゲストを呼んでいます。

つんく:
はい。ありがとうございます。

小室:
シャ乱Qのつんくでーす。

つんく:
イェーイ! 乾杯をしに来ました。

小室:
はい、どうもありがとうございます。わざわざ30回のために。

つんく:
いえいえ、おめでとうございます! いや、本当は26回目ぐらいに来てるはずだったんですけど。

小室:
一回あの、ここ、来て帰っちゃいましたね。

つんく:
はい。

小室:
どうしたんですか? あれは。

つんく:
…あー、ウマい。

小室:
美味しいですね。

つんく:
みんな知ってたみたいですね、アレ。

小室:
そうですか? まあ、僕も知ってましたけどね。

つんく:
小室さんと会ってねぇ、この前この番組で。で、ここに僕が意味なく来た時は、まあ、『ドッキリ』で騙される日だったわけです。

小室:
ねぇ。

つんく:
でも、あれは本当に撮る気だったんですかね?本当、そうなんですか?

小室:
本当はゲストに、今日みたいに来てもらうはずだったんだけれども、本当にたまたま飛行機が遅れちゃって、イタリアがストかなんかで。ちょうどつんくの分2時間、キレイに遅れたの。「こんなことがあっていいのか?」っていうぐらいキレイに。で、飛行機が遅れたって言って、信じたでしょ?

つんく:
ええ。僕は、小室さんだったら飛行機ぐらい遅れるか、っていうか。だから、ぜんぜん疑いもしなかった。

小室:
僕も知らなかったの。で、僕が遅れちゃったから、つんくはまあ、まだ一番若いし、とりあえず一人、誰か今日やめてもらうとしたらつんくだろう、みたいな感じで。

つんく:
っていうか、あのね、プロデューサーの、僕がデビューからずっと御世話になってる菊地さんが、いつも僕がいるとこでなんでも話すのに、わざわざマネージャーに「ちょっといいかな?」っていうんで、「あ、飛ぶな」ってすぐ思いましたから、俺。で、それは『ドッキリ』だと思わなくて、「そうか、もうちょっと、今日は遅いからな」って思って。台本も見てて、顔ぶれ見てるじゃないですか、「どう考えても俺だな」って思ってるわけですよ、俺も俺で。でも、『ドッキリ』だなんて、ぜんぜん疑う余地なしで「そうか、飛んだか。まあ、いいや。次があるし」とか思って。

小室:
その、飛んだのはまあ『ドッキリ』じゃないんだけど、その後が大変だったんでしょ?

つんく:
で、その時に「『HEY!HEY!HEY!』も決まりそうだし」とかっていうから、まあ、そういういいお話しもされるから「じゃあ、いいかな?」なんて思って。本当になにも考えずにカジノバー行ったら、力也さん登場、みたいな。そっからはもう、すべて思うツボです。

小室:
本当に。

つんく:
で、後で終わったあとに振り返ってみると、あのTKが飛んだこと自体も『ドッキリ』の一つだったのかな?って思っちゃっただけで。

小室:
そうだったみたいですね。

つんく:
ちょっとやられました。

小室:
手が込んでるよね。

つんく:
はい。もう、やられましたよ。

小室:
でも、最近のそういうチャートを賑わせてるアーティストとかで、そういう『ドッキリ』まで出れる人っていうのは、すごい希少価値じゃないですか。

つんく:
今、だから、そういうバラエティに出れるのは、僕らかスーパーモンキーズか。

小室:
ああ、そうか、そうか。あ、安室チーム、そういうの出てるか。

つんく:
そうですね。他の人の歌、歌ったりとか。

小室:
あ、そうか、そうか。

つんく:
なんかけっこう。

小室:
まあ、ちょっと前だと篠原涼子とかも、そういうのやってたしね。まあ、今もやってるけどね。

つんく:
ええ、ええ。

小室:
必ず時代にそういった、オールラウンドプレイヤーっていうの?なんか、そういう人たちいますよね。

つんく:
ちょい前って誰ですかね?

小室:
ちょい前…?僕もさっきから、必ずいるよねって言ってるんだけど、必ずが誰だかちょっと出てこなてんだけど。でも、いない?必ずそういう人たちって。

つんく:
でも、僕ら本当、出てきた頃によく「平成のCCB」とかって言われたりとかしたんですけど、やっぱよく考えれば、そこ本当、近いなとかって思うことあるんですよ。

小室:
あ、CCBか、ああ、ああ。でもCCBよりでも…。CCBにしちゃあ、言っちゃあ悪いけど、でも、売れ方が違うじゃん、ぜんぜん。桁がやっぱ、一桁違いますよ。まあ、時代っていうのもあるけど。

つんく:
そうですね。ただ、この前たまたまファンが、どういう神経でなにを思ったのかわかんないですけど、CCBのその『少年のススメ』の入ったアルバムの、売ってるカセットテープをくれたヤツがいて。それ聴いてたら「ああ、でもこれはお茶の間化するレコードだな」って思ったんですよ。

小室:
まあじゃあ、もうちょっと古くいっちゃうと、例えばチェッカーズの最初の出た時とかっていうのは、べつに自分たちがやってる音楽っていうのはね、あの人たちファッションも、自分たちで作ってきたわけでしょ?でも、それなりにお茶の間っていうのに出てませんでした?

つんく:
いや、最後まで出てましたよね。

小室:
ですよね。ああいう人たちとかもそうだけど、ここんとこいないな、と思ってたんだけどね、そういう人たちが。ちょうどポッカリ出てきましたね。

つんく:
そうですかね。僕らも、そこを狙ってきたわけじゃなくて、必死で頑張ってたらそこに入っていったんですけどね。

小室:
突入してってね。まあねこのあいだ来てもらった時もお話ししましたけども、カラオケ屋さん、今、圧倒的にシャ乱Qしか歌ってないね、男の人ね。

つんく:
そうですね。

小室:
カラオケチャートとか見てるでしょ?

つんく:
相変わらずベストテンに3〜4曲入ってます。

小室:
入ってるでしよ。もう、絶対、聴くでしょうね。

つんく:
そうですね。歌いやすいのかな?なんなんでしょう?

小室:
お客さんというより、お店の人が歌うよね、きっとね。

つんく:
ああ、そうみたいですね。ラストは必ず『シングルベッド』とかね。そのお店の「あ、これかかったら帰らなきゃ」みたいなね。昔でいうと布施明の『そっとおやすみ』とかのポジションにきてるみたい。

小室:
ああ、古いですね。ずいぶんその間はあると思いますけどね。そう、それで、お店の人もそういう髪型、色、そういうファッションていう人もいるんじゃないの?

つんく:
いるみたいですね。

小室:
これはさ、あれなの?自分では少し、敢えて品をなくそうとしてるわけ?それとも、時分の中ではファショナブルな?

つんく:
いや、ファッショナブルだとか、最先端だとか、誰かがこれを真似するだろうとかも思わないですけど。まあ、結果的には今、こうなってしまえば、だれもがもう真似できないような。

小室:
敢えていくとこまでいっちゃっおうかな?って感じですか。

つんく:
「ちょっと、あそこまではいけないよな」っていうところで、ファッションなり、そういうトークなりしてても、レコードとかCDが売れるっていうのはカッコいいなって思うから。まあ、だから、そこにブラ下がってる状態なんですかね。

小室:
まあじゃあ、自分なりには。それもだから、僕たちからいわせてみれればプロデュースだよね。

つんく:
そうですね。

小室:
そういうファッションとかも、そういうのも。そこらへんは、昔から考えてたんだ?アマチュアバンドの時も、人気あったっていってたじゃない、すごく。

つんく:
うーん。そうですね。あの、ただ、いつも保険は掛けてるんですよ、自分の中に、とにかくなんかわからないですけど。ファッションがダメだとしても、ここでいけるだろうし、とかなんか。

小室:
まあでも、それはそうだよね。メロディがいいもん、基本的に。もうすごく一番大事なことだけどさ。メロディラインがやっぱり、ここんとこ、ちょっと忘れかけてた、だからカラオケとかで歌う人多いと思うんだけど、ちょうどここの声がヒヨッと出ると気持ちいいな、と思うとこを突いてるよね。

つんく:
そうですかね。

小室:
アレはそのまま、どの曲でもいいですけど、まあ『シングルベッド』でも『ズルい女』でも。あの音、一音なかったらダメだったけど、あの一音があるから売れたね、っていうさ、その一音をもってくるのがウマいよね。

つんく:
刺激的なところをね。

小室:
アレがあねから歌いたいと思ったりする人もいるでしょうし。

つんく:
ああ、かもしれない。

小室:
アレはどういうとこから出てくるんだろうね?

つんく:
いやぁ、もう、ほとんどでも、無我の境地というか。

小室:
ああ、なんとなく?

つんく:
なんとなくというか、『シングルベッド』って曲は、もうぜんぜん売れてない時に書いてた曲だから。

小室:
あ、そうなんだ?

つんく:
はい。

小室:
あ、本当。じゃあそれは貯金を?

つんく:
貯金というか…。

小室:
ヒヨッと出しただけ?

つんく:
いや、僕なんか特に、あの『ズルい女』のメロディなんていうのは、もうデビューした頃から「これは絶対いいのできたな」と思って、毎回出すんですけど、返って、戻ってくるんですよ。で、売れてなくて、ぜんぜん無名なのに、いろんな曲発注とか来ますよね、出しとくんですよ、こっそり。返ってくるんですよ。「ああ、ウチの子ダメだな」って思ってて。で、プロデューサーとか変わって「これあるんですよ」と。「これいってみよう」とか言われて、バァーンて売れて、自分の中では「みんな損したなぁ」って思ってるんですよ。出して返ってきたとことか。なんか嬉しいというか、売れたーというか。

小室:
そこわへんはでもまあ、わかるような気もするし。

つんく:
タイミングとかもあるんですよね、なんかね。時の運というか。

小室:
まあでも、あとはつんくが歌ってるからね、メロディがわかったっていうのもあるけどね。

つんく:
それもあるかもしれないですね。

小室:
あの、やっぱり、ここに出てくる人っていうのは、僕とかみたいなタイプじゃなくて、大体ヴォーカリストの人が多いから、ちゃんと自分の声みんなを持ってる人が来るわけですよ。それぞれ個性を持って。大体みんな出てくる人っていうのは、それなりのみんななんていうの?しっかりしたキャラクター持ってるから、声、みんないい声じゃない。つんくなんかも俺からしたら、声としたら羨ましいよね。いい声持ってるよね。

つんく:
そうなんですかね?

小室:
大体、日本人の人って、ちょっと枯れた声好きですよね。

つんく:
そうですね。でもウェットな感じが。ドライ過ぎるわけじゃないっていうね。

小室:
自分でわかってるじゃないですか、自分のいいところを。

つんく:
いや、自分が自分で心地よい時がある。でもね、二十歳ぐらいの時が、最高に自分の中では、ものすごい楽器だったなって思いますよ。やっぱ高校の時から乱暴にしてるし、まあ仕方ないなって思ってんですけど。

小室:
でも、わかってんじゃない、そのウェットで、枯れてるからってドライじゃなくて、ちょっとウェット感があるっていうのはね。これ、理想なんですよね。

つんく:
そうなんですかね?やっぱ、ちょつとそういうのはイギリス寄りなんですか?感覚的に。

小室:
うん。まあでも、それはアメリカだろうがどこだろうが、みんなヴォーカルの人でいい声っていったらね、やっぱりドライでもなくウェットでもなく、心地よさがあるのがいいよね。で、その少し枯れてるっていう部分は、あらゆる意味でさ、なんかちょっと暗さを表現したり、渋さを表現したり、寂しさを表現したり、いろんな言葉じゃなくて、声だけでそういうことを表現できるから、その“枯れ”っていうのはいいよね。あんまりキレイだと、純粋さとか、明るさとか、楽しさは表現できるけど、なんか辛さとかさ、重さは表現できないじゃないですか。

つんく:
そうですね。

小室:
そこをあなたのその華麗がいけちゃうからね。だから多分『シングルベッド』とか、ああいう曲のタイトルの意味も歌詞の意味もそうだけど、そこらへんを二重三重にさ、浮き彫りにして膨らませたりするのは、やっぱり声だしかもあると思うし。そこらへんは、これはね、天性のもんですから、いいですよね。よかったと思うよね。

つんく:
そうですかね。時代に合ったというか。

小室:
まあ、時代とかもあると思うけど、逆にいえばいつの時代でも、けっこう不可欠っていうかね、必要なもんだからね。まあ、それとだから、やっぱりあれじゃないですか?バンド形態の、っていうチームワークが。

つんく:
そうですね。バンド形態だったのは、すごく僕らにとっては。

小室:
よかったと思う。

つんく:
ええ。特にバンドブームが終わったあとに出てきたバンドの人たちとの、すごい差別化として、バンドなんだけどバンド以上の音が出てるバンドが、すっごいいっぱい世の中に溢れてる。で、どう見ても「30人編成のオケでしょ?」っていうバンドの中で、僕らは「5人でやってるんだ」っていう音をハッキリ出すことが「俺たちだ」っていうのを、どんどん自分たちで勝手に差別化してったんですけど。初めは僕らも、頑張って30人出そうとしてたんですけど、無理に気付いてっていうか。

小室:
あれ?タイセイ君だっけ?

つんく:
ええ、キーボードの。

小室:
じゃあ、彼も敢えて打ち込み出したりしないで、弾いてちゃんとライヴの時も演奏してるの?

つんく:
そうですね。基本的にはリズムは昔から、ほとんど手弾きだったんですけど。ただ、同期ものとか、やっぱストリングスとかを入れたくなるじゃないですか。今もまあ、隠し程度には入れるんですけど、ピコピコいうのがまずメインに、とか、そういうハッタリがメインになった時っていうのがあったんですけど、もう、そういうことをぜんぜん考えなくなったっていうか。「リズム撚れなさい。どんどんズレてください」みたいな、なんかそういうふうになってきましたね。

小室:
だから、ずーっとそういう編成で、どんな箱でもやってきたわけでしょ?そのへんが、ちゃんと売れてきても、そのまま形になってるんだよね、きっとね。

つんく:
逆にいうと、どんどん削られていって、どんどん剥き出しになっていきますよね。ええ、気持ちいいですよ。

小室:
そこらへんはでも、なんていうのかな?いいよね。バンドのメンバーだって別になんか当て振りばっかやってるわけじゃないからね。

つんく:
ライヴはもう、ぜんぜん違いますから。まあ、テレビはやっぱり多いですけど。

小室:
まあ、テレビはね。

つんく:
もう100%ですけどね、今はもう。

小室:
しょうがない。あれはべつになんていうの?プロモーションですからね。

つんく:
そうです。だから、僕ら、そこに対して「おい、どういうことなんだ?」とか腹立たしく思ったりはぜんぜんしないですけど、ロック系でそこに本気でムカつく人もいるみたいですよ。「なんだ?」って。

小室:
うーん。そこらへんがやっぱり、なんていうんですかね?売れちゃう、売れちゃわないっていうか、一つのそのラインのなんか、鍵かもしれないね。

つんく:
そうですね。

小室:
べつにそれに限ったことじゃないけどね。

つんく:
寛大でいたいな、と思うんですよ、自分では。大枠でいたいっていうか。だから、自分でそこ、首締める必要はないな、とは思う。

小室:
リーダーっていうのはつんくなの?

つんく:
一応、リーダーはギターのハタケです。

小室:
でもなんか、そういった方向っていうのは?

つんく:
そうですね。僕もやっぱ歌うからには、例えば、ライヴのMCとか進行も、やっぱ僕がノれないと結局その日のライヴ、全部ダメになっちゃう。これはもうヴォーカルの特権でもあれば、性でもある。だからまあ、そのへんはある程度、逆にみんな任せてくれるっていうか、そういう感じするんですけど。

小室:
そうか、けっこうまあ、知らず知らずでプロデュース志向みたいのはあるんだね。プロデュースっていう言葉じゃあないかもしれないけど。

つんく:
まあ、バンド本来のあるべき姿だとは思ってるんですけどね。だから本当、これからのアマチュアとかのヤツらも、なんかどんどんそうなって欲しいなっていうか、僕らも刺激になりたいし。

小室:
刺激にずいぶんなってると思うよ、きっと。

つんく:
今、本当いないっスよね。バンド。

小室:
あの、一見さ、なんかシャ乱Qとかは、すぐ作れそうな感じするだろうから、きっとアマチュアバンドの人たちとか。本当はけっこう深いかもしんないんだけどね。

つんく:
いや、そんなことないっスよ。

小室:
案外、これから多くなるんじゃないの?急に、にわかシャ乱Qは、きっと出てくると思うよ、たくさん?

つんく:
にわかシャ乱Qですか。シャ乱Qらしいような。

小室:
らしいようなのが。やっぱりちょっとしたプロデュースの人の、そういう楽しい感じの人でね。バンド形態で出てくるかもしれないね。でもまあ、さっきもいったけど、やっぱり基本のメロディがね、すごいあるから。まあ、詩の世界あるかもしれないけどね。

つんく:
メロディ…そうですね。でも、詩、好きですね、日本人のみなさん。

小室:
そうですね。これからはどうなんですか?まあ、このあいだも、これは聞いたんですけど、いろいろあらゆる方にいくっていうか、そんなにこだわりはないっていうか。

つんく:
まあ、確かにないんですけど、それもやっぱほら、こっちが要するに余裕があって、ネタがないとそこにいけないわけですから。そうっスね、まあ、今年は本当にすごかったんですよ、とにかく。あの、本当は今年だけですから、いわば100万いったのも今年で。

小室:
今年はね。だって、このあいだここに来てくれた時ぐらいから、もうガァーンとね、なってて。

つんく:
僕の手応えでいうと、まあ、僕の第一時期「お、つんくいいじゃん」ていう次期は過ぎたな、と思ってんですよ、自分ではやっぱね。飽きられてきてるって言葉は悪いですけど。その次に俺がなんかしないと、このまま横這いだなっていう気はするんですよ。で「じゃあ、なにをするんですか?」って言われると、ぜんぜんわかんないところに、すごく不安もあったりとかするんですけど。でもまあ、なんとなくあっちに行こうっていう光は見えてるんですよ。

小室:
ああ、なるほどね。でもそうだね、なんとなくあっちに行こうっていうのは大事だよね、すごく。まあシャ乱Qほどは、TMネットワークの時とかはそんなにね、ガァーンてすごい枚数とかはいかなかったけど、やっぱ常々「あ、もう、このままだと横這いだから、次あっち行かなきゃ、こっち行かなきゃ」っていうのいつも思ってたから。まあ、そこに向かうことはね、やっぱり必要かもね。でもまあ、さっきの保険じゃないですけど、保険という意味ではそのつんくの声であったり。

つんく:
そうですね。今まあ、キャラクターと声と、なんか騒がしくやってれば、とりあえずいくなっていう気はするんだけど。逆にそこだけ求められると怖いな、っていうのは、すごい感じてるから。だから要するに、さっきもいいましたけど、バンドがやっぱり少ない。本当のバンドサウンドというか。そこをやっぱ、もっと騒がせたいというか、みんなにそこを、本当に気づいて欲しいなと思って。まあ、こんなの口で言うほどカッコ悪いことはないんですけどもね。あの、バンドの本来あるべき姿っていうものに対して、みんなぜんぜん気付いてないから。要するに、もちろん大衆にとってはラップも、ロックも、ポップも、フォークも、テクノも、全部一緒なんですけど、ただ、少なくともちょっと音楽好きな人は、「これはアレだ」って別けられるぐらいの日本になっていきたいなっていうか。バンドって、あんなにいたのに、なんでみんなバンドを本当にわかってないのかな?っていう寂しさだけがすごくあるっていうか。結局このまま終わっていくと、俺らが消えていくと、「アイツら本当にバンドだったんだな」って思われるのは、俺ら死んでからとか。なんかあの、画家で死んでから有名になったりする人いるじゃないですか。それはあまりにも寂しいなっていか。だから、そこの謎だけは解き明かして。

小室:
そうか。っていうことは、とにかくつんくもシャ乱Qとしても、まあ、かなり蹴落とすぐらい、戦いを求めてくるぐらいの、バンド形態のしっかりしたヤツが今、ガンガン出てきてないと、自分たちもやっぱりマズいっていうか。

つんく:
うん、そうですね。他はもう多分、今んところ、ぜんぜん僕らとは違うなっていう気はすごいしてるんで。その、メロディメイカーとか、そういういわゆるタレントとしてはすごい人いっぱいいますけどね、もちろん。そこが残念だなっていうか。僕らもどうしていいかわかんない。だから、見えないっていうか。

小室:
そうだよね、バンドブームの時とかっていうのは、俺、わかんないけど、すごいいたわけでしょ?例えばなんだけど、シャ乱Qがまたアマチュアで、ぜんぜん形にもならない頃に「あのバンドの人たち頑張ってるね」っていうのは誰たちだったの?

つんく:
やっぱ結局でもね、本当いえばまあ、ある程度バンドっぽい音を録ってたのは、ジュン・スカさんとか、ブルー・ハーツさんとか。やっぱ、今、思えばあのBOOWYって、あれはけっこうすごい音作ってたんだな、っていうの思いますよね。

小室:
なるほどね。ああ、そうだよね、本当に。

つんく:
だから、あの人らも、ちゃんと4ピースっていうか、ギター、ベース、ドラムだけ。たまにちょっと、SEというか効果音的なキーボードが入ったりする程度で、基本的にはギターがリズムもメロディも全部やってる、みたいな音を今思えば。で、しかも、今、怖いからみんなチキチキチキチキって入れるじゃないですか?リズムをキープするために。まあ、僕らもそうなんですけど。もう、ないんですよ、フロアいったらもう、ハイ・ハットの音が全部消えてて♪ドッ、ドッ、ドドドッ、ドドッ〜ああ、って。今思えばね、画期的だなぁって。要するに、ベースの音がリズムだったりとか。日本には無かったなぁ、みたいな。振り返ってみれば、それ以前は。

小室:
そうだね。まあ、外国になっちゃうけど、U2とかね、ああいう人たちもそういう感じでしたから。あとポリスとかね。

つんく:
あのへんもそうですよね。

小室:
まあ、確かにああいう3ピースぐらいでしっかりヒット曲、メロディを歌ってっていうのは無いね。

つんく:
そうですね。だからまあ、そこらへんがね。でもなんか、あの頃もそれをバンドだ、と、みんなちゃんと見てなかったというか。BOOWYブランドだったようなというかなんか、難しいですけど。その前にやっぱり、レベッカとかいたりとかね、いろいろあったんですけど。でも多分、バンドじゃなかったんですよ、見てる方は。

小室:
ああ、なるほどね。

つんく:
っていうか、多分、B’zも、多分、その頃のTMネットワークさんも。二人でも、三人でも、五人でも、みんな同じなんかグループっていうだけにしか見てない。

小室:
そうだね。敢えて、俺たちなんか特にそうだけど、バンドとは言わなかったしね。

つんく:
自分たちのことをでしょ?

小室:
うん。

つんく:
でも、周りはバンドとも見てるし、グループとも見てたりとか。

小室:
いろんな見方をしてるね。

つんく:
でも、そこにBOOWYと比較は誰もしてなかったという。

小室:
ああ、なるほどね。

つんく:
世間的には。

小室:
でも、今の話とか聞くと、BOOWYとかはちょっと特別だったかもしれないし。

つんく:
だから、歌詞もやっぱ、まあ、時代的にもそうですけど、そうでないのもあったけど、すごい演歌に近いような歌詞の曲もあったりとかして。「ここだな」って思うんですよ、男のファンつかんでたのはっていう。

小室:
ああ、なるほどね。

つんく:
今、バァーッて振り返ってね。

小室:
洞察してますね。ああ、そういうところがあるのね、シャ乱Q。そこらへんは、多分この番組見てる人で、初めて知った人も多いんじゃない?きっと。シャ乱Q、今、とういうかつんくというかさ。大変だね。

つんく:
だから、この番組もすごいですよね。あの、泉谷さんの時も、僕、見てて、すごいなと思ったんですけど。

小室:
泉谷さんの時だけ?

つんく:
いや、そんな。もちろん他の時も見てるんですけど。泉谷さんがやっぱ、喋ってたでしょ?この番組の時、すごい。

小室:
喋ってたね。

つんく:
あの、まあツカみはありましたけど。

小室:
僕も初めて聞くような話をたくさん。

つんく:
そうでしょ?で、やっぱ俺「ここに出てもう一回喋りたい、絶対喋りたい」って思って。その前が『ドッキリ』だったから。でも「ああ、すごいな」と思って。で、多分、見てる方も同じ視線でこうやって見てると思うんですよ。もう、ぜんぜん興味ない人は、すぐにピッてやってると思うんですよ。だから、今日、僕の話を聞いてくれてるヤツが、何人かいるかなっていう。

小室:
そう、だから、すごく僕も話し聞かないとわかんなかったけどね、そのバンドのこだわりっていうのはね。だからシャ乱Qも、それを本当は見せなきゃいけないんだよね、じゃあね。バンドって。

つんく:
音には出てるんですよ。で、どこまで要するに聴く側が「あれ?なんでコイツらはこうなのかな?」って思えるか思えないか、っていうところまで僕らもいかなきゃいけないし。例えば、FMとかでもそうなんですけど、要するに、みんな同じようにダァーッて流れちゃうじゃないですか。まあ、べつに誰がいいとか悪いとかじゃなくって、同じ番組の中でシャ乱Qも流れれば、スピッツも流れて、SMAPも流れて、スーパーモンキーズも流れて、まあ、FMだったら郷ひろみさんも流れて。だから、それでそういう耳を持つっていうのは、すごく難しいと思うんですよ。僕らもバンドやって、プロになって、給料もらうようになってから気付き始めましたから。すごい失礼な話なんですけどね。まあでも、そこまでいかなきゃダメだなと、周りがね。そうなるよう、僕らは頑張るしかない。

小室:
あのさ、やっぱりすごく単純な言い方だけどさ、バンドっていうとギターサウンドみたいのがさ、しっかりガァーッて出てる方がそういうふうに聴こえがちじゃない。聴こえやすいでしょ?だから、やっぱりギターの人、ハタケ君ともう一人いるんだっけ?

つんく:
ギターは、アコースティックギターは僕が弾いてます。

小室:
ああ、そうか、そうか。じゃあ、ハタケ君が、かなりしっかりしたアンサンブル作ってかなきゃいけない感じがするんだよね、そしたらね。で、あの、やっぱりタイセイ君がオルガンの音出すにしても、シンセだとさ、今、レスリーとか使ってんの?

つんく:
レスリーとハモンド。

小室:
ハモンドも使ってんだっけ?だから、そういうハモンドとかだとバンドっぽく見えるよね。けっこう単純なことだけど、ちょっとしたことでなんか、そういう差別化っていうのはできてくるのかもしれないね。

つんく:
そうですね。それは多分、大きく違うような気はしますね。僕らにとってはね。だから、ピアノも全部、生だし。

小室:
ああ、なるほどね。

つんく:
アコースティックギターもラインは絶対使わないし。

小室:
けっこうこだわってますね、そのへんはね。

つんく:
でも、そんなことはこの番組ですから、僕も言いたくなるし。

小室:
まあそれはね、他のバラエティ番組じゃあ言えないよね。

つんく:
いっても仕方ないし、僕、音楽雑誌でもあんまり言わないようにしてるんですよ。でもなんか、小室さんだから聞いて欲しいっていうとこもあったりとか。なんか、すごい番組だなって本当思うんですけどね。

小室:
あの、アレじゃないの?きっとシングルってさ、やっぱりすごくそういうのをさ、一般的にダァーッと知らしめる大きな発信基地でしょ?

つんく:
うん、そうですね。発信基地ですね。

小室:
だから、そういうとこに例えば、ハタケ君のギターとかがさ、わかんないけどイントロとか、サビの美味しいところとかに、すごくバンド的なわかりやすいことが表現してあったりとか。オルガンだったり、ドラムのそれがね、べつにフロア・タムでもいいんだけどさ、そういうのとか入ってくると、なんかできるかもしれないよね、シングルが。それで、今のシャ乱Qのパワーでさ、そのシングルはシングルでちゃんといったりすると、そこらへんて出るのかもしれないけど。また、でもそれは、葛藤もあるだろうけどね、今度。

つんく:
いや、でもね、僕は大丈夫だと思います。ぜんぜん大丈夫だと思うし。まあ、今、出てる『MyBabe君が眠るまで』というのも。

小室:
けっこうそういうアプローチはしてるの?

つんく:
もう、半歩こっち側に出てますから。

小室:
あ、そうなの。

つんく:
だから、これがいったら、日本も僕らもすごいなって自分で思うし。世の中も変わってきたなって。

小室:
耳もけっこう聞く耳もってるかな?って。

つんく:
そうなりたい。なって欲しいなと思うし。まあ、ダメだったら仕方ないなって思えるし、ぐらいのところまではいったなっていう気はするけど。すごく危ない線いったんですよ、今回は。リズム消える時あって不安になるんですけど。

小室:
なるほどね。ああ、でもね、それはわかるよ。俺なんかも今はそんなにこだわってないけど、カラオケになる時に、カラオケ屋さんが真似できない音を作ろうと思うわけ。

つんく:
ああ、そうですね。

小室:
特にバンドサウンドっていうのはさ、今、通信カラオケだからさ、全部シンセじゃない。ギターも。

つんく:
そうですね。オール・イン・ワン・シンセみたいなヤツでね。

小室:
全部ね。だから、そこらへんてギターサウンドがカッコよければカッコいいほど違っちゃうでしょ?

つんく:
ええ、ええ。真似できないですよね。

小室:
だから、そうすると、俺たちとしてはすごく自分たちのサウンドのオリジナリティを感じれるわけだよね。だから、今度、逆に、お客さんの立場になった時に、通信カラオケで歌ってる人が「オケがぜんぜん違う!」と。それで「アレみたいに歌いたいよ!」って思って時に、それでどうするかっていうとこもね、まあ、あるのかもしれないし。でも、それはシングルでヒットしてたら、ガンガンいってたら、それはバンドの勝ちだし。

つんく:
勝ちですね。

小室:
そういうなんか、面白い戦いはあるよね。

つんく:
ありますよね。全体が底上がってきますからね。

小室:
そうだよね。きっとそうだよ。そうすると通信カラオケ屋さんも、それを絶対、再現しないと客が寄り付かない。

つんく:
そうですよね。各種、各メーカーでどこまで再現できるかっていうね。

小室:
そうそう、そう。で、戦いがあって、いい底上げになるかもしれないしね。

つんく:
そうそう、そう。音楽業界のね。

小室:
で、まあ、いろんな意味でそういうのはいいかもしんないけどね。

つんく:
はい。だから、そういうのは、すごく楽しみというか。

小室:
そこらへんはじゃあ、サウンドなんかけっこうこだわって欲しいね、そうしたらね。

つんく:
そうですね。もうなんか、わらないですけど、下手でもいいから、下手でありたいですよ、僕は本当に。

小室:
きっと、下手じゃないとは思うんだけど。

つんく:
いやぁ、でも、決してウマくはないですし。もう下手でいたいっていうか。

小室:
あの、なに?B’zとかで松ちゃんとかさ、松ちゃんて松本君とかって、ウマいじゃない、ギター。メチャクチャウマいでしょ。だから、通信カラオケでさ、けっこうシンセでもさ、似ちゃうんだよね。音がキレイでリズムもキレイだし。だから、けっこう似てるんだよね。びっくりしたんだけど、このあいだ。だから、それヘタウマだとけっこう難しいんだね、アレね。

つんく:
そう。リズムが撚れてたりとか、分数で割り切れなかったりとかすると、音が似なくなっていくという。

小室:
なんか変になっちゃうよね。

つんく:
だから、やっぱいまだに思うのは、カラオケで洋楽というか、ビートルズとかストーンズのカラオケ入ってるじゃないですか。もう絶対に違うじゃないですか。

小室:
違うよね。多分、僕は歌ったことないけど、歌う気になれないでしょうね、あんなのじゃあね。

つんく:
なんか、電子オルガンに入ってる基本リズムに弾いたような、なんか。特にビートルズなんか4ピースで音数少ないから、余計に再現しにくいというか。いっぱい入ってるとごまかしやすい。

小室:
そうだね。そこらへんはだから、まあなんていうのかな?今の時代だったらあんまり考え方としては多くない考え方かもしれないよね。

つんく:
みんなどうなんですか?

小室:
みんなミュージシャンじゃない?志向がさ。まあ、俺ももしかしたらいけない方向にもってってるかもしれないけど、そのまあ、打ち込みとかまあ、プロデュース志向っていうかね。いい作品を作るみたいな考えなんで。

つんく:
その、いい作品というのは、例えば、結果的にはどういうことなんですか?要するにその、さっきいったそのコピーできないような音も、そのいい作品の一つ?もう今はこだわってないということですか?

小室:
えぇとね、もちろんだから、つんくたちがやってるのも、結果はいい作品なんだけど。

つんく:
小室さん流でいいと思うと。

小室:
僕たちの方でいくと、いい作品作るっていうのはさ、結局、必要とされるものに。一番わかりやすいように、わかりやすいように作ろうとするじゃない?だから、今みたいにちょっとこれを下手に、ワザと難しくして、ワザと誰も聞いたことがない音使ってとかいうのは、やっぱりどうしても排除しちゃって、気に入ってもらう方へ、気に入ってもらう方へね、音とかも作ってくし。

つんく:
それはやっぱり耳慣れた音とか、耳慣れたリズムとかですか?

小室:
とか、馴染みやすいとか、今、ちょうどここにハマりやすいとかいうことで、どんどんこういうふうに重ねてくでしょ?そういうふうなことだから。自分も今、多少はつんくたちの考えと同じで、それをなんとか壊そう、壊そうとしてるわけよ。あまりにもパターン化してっちゃってるから。だからちょっと変わった音、変わったリズムとか、変わったサウンドっていうのは求めてるんだけど。なかなか難しくて、いこうと思ったら、また戻されちゃったりとか。戻すってことはさ、だって「前の曲もこれで売れたんだから、これ、またいきましょうよ」って言われたら、それになっちゃうし。

つんく:
今は小室さんは、そこの先頭にいますから、みんなそれで小室さん真似したりとか、そっち側の人は、みんなやってるから。もちろん小室さんがちょっとづつ進んでいけば、ずっと先頭を走ってるわけじゃないですか。で、もう、僕らはものすごい後ろから走り始めたわけですよ。で、いきなり違う方向にビューッといき始めて。

小室:
もう、でもそう。違う色のところへね、ずーっときてるよね。

つんく:
まあ、僕らにとっても小室さんみたいな人がピャーッといってるから、こっち走ってる俺が目立つっていうか。

小室:
うん。それはすごいウマいよね。いいやり方だと思いますよ。

つんく:
ただ。このまま森林の方にずーっと隠れてって、遭難する惧れがあるっていうのだけ、僕らはいつも危険だなと思って。

小室:
いや、僕もだから、ずっと王道でね、とにかく行かないように行かないように、なんか捜したりはしてるんだけどね。だからまあ、けっこう今は、生の音、楽器も使ってるよ、すごく。

つんく:
あ、そうなんですか。それはでも、生を一回取り込んで?

小室:
ううん。もう本当にミュージシャンで、なるべくいろんな人使って、やるようにしてて。

つんく:
その生の音も例えば、取り込む時に、また、いつでも再現できるように生の音、取り込むのが好きな人っていますよね。どのミュージシャンが弾いても結果は同じようなギターの音、もしくは、いつも同じギターリスト使って、いつも同じギターになるようにするとか。

小室:
あの、ずっとやってきたんだけど、そういうふうに。ちょっと来年から出てくる音とか、もう先の話なんだけど。

つんく:
もう来年の音がわかるんですか?

小室:
来年の音ですね。

つんく:
ああ、例えば?

小室:
いや、僕たちが作って、来年出る音ですけどね。それぐらいからはちょっとずつね、そういう言い方したらまあ、つんくの方に行くのかもしれないけど、その生の音にいこうとしてる。

つんく:
そうなんですか?来ない方がいい。

小室:
じゃあ、いかない。

つんく:
小室さんがこっちに来ると、僕ら負けるんですから。財力とかいろんなものも含めてですね、かなわないんですから。

小室:
そんなには行かないから、大丈夫です。

つんく:
ちょっとだけ?

小室:
ちょっとだけ行くかもしれないね。ギターとかね。

つんく:
あ、そうなんですか。じゃあ、ハタケ使ってくださいよ。

小室:
ああ、それも面白いかもしれない。

つんく:
僕、コーラスもいきます。

小室:
ハタケとか、そういうのやったことあるの?セッションとか。

つんく:
ないと思いますよ。

小室:
あ、本当。面白いだろうね、じゃあ。

つんく:
新鮮ですよ。ズレますよ。

小室:
コード、六つぐらい知ってる?

つんく:
六つは知ってますね。大丈夫です、もっと知ってます。

小室:
知ってるよね。けっこういろんなことやってるしね。ほら、一人でいろんなことやるしね、ギターで。

つんく:
彼はね、もともと吹奏楽やってたし、クラリネットも吹けるから。

小室:
ああ、そうなの?

つんく:
彼が一番、音符読めるんですよ。

小室:
あ、本当。

つんく:
楽譜とかも、自分なりに全部書けるみたいだし。

小室:
ああ、そうか。吹奏楽やってれば、俺より読めるかもしれない。

つんく:
いいかもしれないですよ。そういう揺れるヤツも。

小室:
案外そういう裏ワザ持ってるんだね、シャ乱Qはね。じゃあ、ブラスアレンジも出来るんじゃない?そしたら。

つんく:
いやぁ、でも、やっぱり特殊ですからね。ブラスの音階が決まってるじゃないですか、それを知ってないと例えば、この前の『ズルい女』のアレも、主メロは作れるんですよ。それに対してハモるバリトンのいきかたとか、やっぱり専門家じゃないと難しいかな、っていう感じがするんですけど。

小室:
ああ、でも、そういうバックボーンがあったから、あのブラスのとかが出てきたんだね、きっとね。

つんく:
まあ、発想から、閃きから広がってくんですけど。元はそういうのがあるから。初めは、もう一番、高いトランペット使いたかったんですよ。カーン、キーンてくるような。でもやっぱ、耳に馴染みにくいかな?ってどんどん下げていったら、あっちのテナーサックスあたりに下がってきたんですけど。

小室:
そういうのも面白いかもしんないね。いろんな番組やってるごとに、毎回々々いろんな人が来てて、まあ「こういうのやったら面白いな」とかは、いつも頭ではね、駆けめぐるんだよね。でも、なかなかそう出来ないじゃない。毎週々々だから。毎週そんないろんな人とやってたら、っていうのがあるから、自分の中でもね、番組終わって帰る頃までに、それを鎮めるような作業をするんだけど。

つんく:
あ、そうなんですか。

小室:
いつもでもね、なんか「こういうことやったらいいだろうな」とか思う、本当。

つんく:
あ、そうですか。僕、アコースティックギター弾きますよ。

小室:
アコースティックギターはずっとやってたわけ?

つんく:
僕もう、フォークロッカーですから。

小室:
じゃあ、弾き語りとかもやってたんだね。

つんく:
やってましたね。

小室:
弾き語りやりそうなタイプだよね。

つんく:
ね?新宿とかにいそうじゃないですか。

小室:
MC織り混ぜつつね。面白トークを入れてね。まあ、そういうのができるんだね。

つんく:
そういうのも、新しいジャンルに。

小室:
とりあえず、今、もうシングル出てるじゃない。これで今年はもう出ないの?

つんく:
11月22日にアルバムがリリースされます。

小室:
え?アルバムが出るの?

つんく:
『ギャンブラー』という。

小室:
そんな年末の大変な時期に?

つんく:
そうなんですよ。

小室:
でも、もうもはや今、アレだね、売れ筋商品になっちゃってるんだね。

つんく:
アルバムって、みんな最近どう思ってるのかって、不思議に思うんですけど。例えば、シングル100万枚売れました。だからってアルバム100万枚売れますか?ってこれはわからないですよね。で、逆にシングルは3〜40万枚しか売れてないけど、アルバム100万枚いく人っていますよね。

小室:
うん、そうだね。いるでしよ。

つんく:
僕らはどっちになってきたっていうか、僕らはどこにいるのかな?っていうのが。そこまでの僕らは、これからのそのアルバムの僕らっていうのは、ぜんぜん違うから、それに対してはまったく見えないなっていう。

小室:
でも、シングル入ってるんでしょ?アルバムに。

つんく:
入ってます。

小室:
じゃあ、同じぐらいいくんじゃないの?

つんく:
そうですね。だから、アルバムの中の他の曲と較べて「何故この曲がシングルなのか?」とか、そうじゃなくて「こんな曲は最悪だ」って思う曲も入ってたりとかするんだけど。「何故じゃあ、この曲入れたんだ?」とか、なんか感じて欲しいなって思うんですよ。なんか最近、欲張りになってきたっていうか。「最低に下手糞だな」っていうのとか。

小室:
まあでも、アルバムはね、自分のサウンドの表現のね、一番大きな場所だからね。本誌はそういうのも入れて聞いてもらうべきだもんね。じゃあ。けっこうバラエティに富んでるんでしょ?

つんく:
まあ、コミカルじゃないですけどね、ぜんぜん。でも、ただ、ジャンルというか、もしそういうジャンルで別けるなら、ぜんぜんいろんなジャンルがあると。

小室:
いや、僕はわかんないけど、ぜんぜんメーカーも違うし、プロダクションもわかんないですけど、でも、シングルぐらいはいくんじゃないの?今、シャ乱Qのアルバム出たら、買ってみたいと思うと思うよ。シングル買った人は。

つんく:
あ、そうですね。レンタルじゃなくて?

小室:
まあ、レンタルっつっても、レンタル多くても10万枚いかないからね。

つんく:
あ、そんなもんなんですか。

小室:
すごく多かったとしても5万、7万の世界でしょ。

つんく:
へぇー。

小室:
だから、ぜんぜんそんな、大丈夫ですよ。

つんく:
ここ、オン・エアしてください。今の小室さんの一言、オン・エアしてください。よろしくお願いします。

小室:
大丈夫でしょう。大丈夫ですよ。あと、どっか雑誌でもコメントしときますよ。

つんく:
ああ、すごい嬉しいな。あの「糞だ」とかいってください、逆に。「あのアルバムは最低だ」とか。とかの方がなんか「小室さんがそこまで言うのなら、聞いてみよう」ってなるでしょ?

小室:
聴かないことにき言えないから、聴かないといけないけどね。

つんく:
そうですね。もう出来上がります。

小室:
かなり聴いてるんだけど。ほとんどゲストの方のは、ちゃんと聴かないと失礼だから、ほとんど聴いてるんだけど、すごい量になってきてますね。

つんく:
そうでしょう。

小室:
もう音楽評論家なみになってきちゃってますよね、けっこう聴かなきゃいけないからね。

つんく:
それはシングル、アルバム含めて?

小室:
アルバムとか、持ってきてもらったヤツとか。

つんく:
「すごいな!」と思うのありました?その小室ブランドと別物のなかで。もう、僕なんかヨイショとかぜんぜんしないでいいから、とりあえず。

小室:
うーん、あの、個人的にもあるんだけど、CHARのもらったの聴かせてもらったけど、やっぱカッコいい。もう、売れる売れないじゃなくて、「カッコいいなぁ」って思ったね。

つんく:
それはやっぱ何が?やっぱギターの?

小室:
うーん、跳ね具合というか、ギターも。さっきのBOOWYとかより、もっともっと前から3ピースでやってたよね。やっぱり、なんでギターがこんなに表情があるんだろう?とか。もう、全部の役をやってるでしょ、全て。アレはスゴかったなぁと思いましたね。まあ、もちろん、いろんなのも良かったけど、僕が絶対できない音楽っていう意味ではね。

つんく:
あ、なるほどね。

小室:
うん。良かったよ、それ。すごいCHARのは良かったな。まあ、いろいろありますよ。

つんく:
いいですね。いい志向ですね。

小室:
えぇと、じゃあですね、そういうわけで、あの、まとめてください。

つんく:
そうですね。えぇと、と、いうことで、今日のゲストはシャ乱Qのつんくをお迎えして。っていうか、アルバムも出ますし。

小室:
そうですね。

つんく:
年内はすごい真っ黒ケなんで、スケジュール帳が。

小室:
あ、スケジュール帳が真っ黒ケ。そういう発想がまたいいですよね。

つんく:
お言葉にした方、すいません。そして、来年もお仕事ください。

小室:
まあ、じゃあ、来年の春ぐらいまでに、きっとなんか、出るんでしょうね。

つんく:
来年、3月ぐらいにはまた。それで1月から、ずっと全国ツアー50本ぐらいやるんですよ。

小室:
あ、そうなんだ。

つんく:
で、初の武道館とか。

小室:
まだ武道館ぐらいの感じとは思えないけどね。

つんく:
いや、初めてなんですよ。で、まあ、2日か3日ぐらいやるんですけど。

小室:
客さんがスゴそうですね、なんか派手で。

つんく:
うーん。僕らもね、だからバンドで、で、このビジュアルで、で、歌。もうね、すごいっスよ、とにかく。もうオールジャンル。

小室:
オールジャンルね。

つんく:
で、もう、特に今、学園祭とか地方とか、もう本当、老いも若きももうすごい。

小室:
なんか、わかるような気もする。

つんく:
もうだから、すごいっスね。それに対応したMCをしなきゃいけないとか。みんながわからなきゃいけないんだな、っていう。

小室:
こういう話ばっかできないよね。

つんく:
いや、こんなのできないし、やらしい話ばっかりもできないし。

小室:
やらしい話もあると。

つんく:
はい。エロ話しとかやっぱりね。

小室:
そうだよね。それを楽しみにして来てる人もいるもんね。

つんく:
いるんですよ。男とかそんなの好きじゃないですか。

小室:
じゃあまあ、難しいですけど、対応してください。

つんく:
頑張ります。僕ももう一皮むけたいと思いますので、来年。

小室:
そうですね。まあ、たった2回とはいえ、最多出場ですからね。

つんく:
ああ、そうなんですか。嬉しいゼ。

小室:
最多で3回目、じゃあ、でもまたきてください。

つんく:
これ、あるかないかでこれ、大きく決まりますからね。

小室:
登場してくださいよ。

つんく:
はい。もう一回、是非、僕は出たいと思います。まだ本当は、いっぱい聞きたいことあったんですけど、今度、電話します。電話番号教えてください!国際電話でもいいです!電話します。

小室:
じゃあ、お話ししたいと思います。

つんく:
はい。

小室:
じゃあ、どうもありがとうございました。

つんく:
ありがとうございました!


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