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NON-EDIT TALK : 小林武史*中居正広

中居:
こんばんは、中居正広です。
えぇ、毎週のようにですね、プロフェッショナルな男性のゲストの方、女性のゲストの方、たくさん来てらっしゃいますけども。今回は、あらゆる人に注目を浴びながらも、今、チラッと話を聞いたんですが、注目を浴びるのが、あまり得意じゃない、テレビ出るのも得意じゃないとおっしゃってました。御紹介しましょう、小林武史さんです。

小林:
どうも。はじめまして。

中居:
はじめまして。

小林:
なんか、ミスチルがいつも野球でお世話になって。

中居:
そうなんです。2回ほどね、やらさせていただいたんですよ。

小林:
ええ、見事になんか、勝たれたそうで。

中居:
ええ。2連勝です。野球やられるのは、好きじゃないんですか? 

小林:
いや、あのね、いちおうユニフォーム持ってるんですよ、そのミスチルのあれでも。

中居:
出席しないとダメですよ。

小林:
そうなんですけどね。やっぱりちょっと、いろいろほら、彼らがオフの時に僕がやらなきゃダメなこととか、やっぱりいろいろあるじゃないですか。それでね、今まで一度も、彼らがユニフォーム着てるところも見たことないんですけどね。

中居:
それはチームの一員とは言えないんじゃないですか? 

小林:
ええ、そうですね。

中居:
野球やるのはでも、嫌いじゃないんですよね? 

小林:
そうですね。やっぱり、ちっちゃい頃は普通にね、野球やってたし。

中居:
で、ジャイアンツがお好きと。

小林:
ええ。奇遇で、一緒でね。

中居:
共通点があるとは思わなかったですね。

小林:
ええ、そうですね。

中居:
キャラクター的っていうか、あの、イメージ的にね、こうやって判断するのはアレですけども、共通点があるとは思えないじゃないですか。ジャイアンツやっぱり、長嶋選手が? 

小林:
僕はね、王さんが好きだったですね、ちっちゃい頃は。

中居:
王選手の時代ですね。

小林:
いや、長嶋さんが嫌いだっていうわけじゃないですけどもね。

中居:
現役の時代は、あんまりやっぱり知らないんですよね?

小林:
うーんと、ね、長嶋さんで、だから、中期ぐらいからですかね、僕は。

中居:
はいはい、はい。

小林:
でも、さっきチラッとあれですけど、原さんからですか? 

中居:
僕は原さんからなんですよ。

小林:
巨人もいろんな時代を経てますからね。

中居:
なんか、先程なんか、それを、その時代を知らないなんて寂しいですねと。

小林:
いやいや、原さんからっていう巨人だと、ちょっと寂しいかもしれないですよね、僕にしてはね。

中居:
そんなこと言わないで下さいよ。原さんもやっぱり、立派な夢を作ってくれましたもん、僕たちに。

小林:
いや、本当でも、維持されましたよね、彼もね。

中居:
そうですよ。今だから、今の人たちは松井選手を夢としてやっぱり、抱いていくんでしょうね。

小林:
そうですね。松井選手すごいですよね、今年ね。

中居:
すごいですね。あれは何だと思います? オールスター明け、急でしたよね。

小林:
そうそう。やっぱりあの、もちろん素質があるんでしょうけど、あの、相撲、相撲も僕、好きなんですけどね。

中居:
相撲好きなんですか? 

小林:
ええ。 あの、千代の富士さんとかがね、ある時からすごく強くなった瞬間のこととか、僕、よく覚えてるんですよ。やっぱり普通の人にとっての、例えば一秒間とか、そういうのがなんて言うの? 拡大して見える、みたいな感じが見ててしますけどね。

中居:
瞬間、瞬間ですよね。

小林:
ええ。瞬間がすごい本当にあの、捉えるなんて言うか、幅みたいのが、すごい急に出てきてるっていう感じじゃないかな。

中居:
それでやっぱ、魅力を感じたわけですね。

小林:
だからあの、彼のね、バッティング、振り方でホームラン飛んでく感じって、奇麗じゃないですか。

中居:
ええ、派手ですよね。

小林:
ええ、やっぱり魅了するものがありますよね。

中居:
野茂さんともなんかね、ドジャースの。

小林:
ええ、対談して。

中居:
対談をなさったっていって。あの、それはロスのほうで? 

小林:
そうです。あ、それはベロビーチで。

中居:
あ、ベロビーチで。

小林:
フロリダですけどもね。

中居:
ええ、ええ。その時、僕なんかにとってはやっぱり、羨ましいというか。え? それは、なんか面識あったんですか? 

小林:
いや、なかったんですけど。たまたままあ、友人の友人みたいなのが、そういう企画がなんか持ち上がって。いや、僕もすごい好きだったんですけど。

中居:
世界の違う人ですよね。

小林:
そうですね。いや、ほら、野茂さんてすごいフェアプレー精神の持ち主って感じするじゃないですか。野球に対して自分で新天地を求めてアメリカまで渡るとか。本当に野球が好きで、楽しくやるべきだ、みたいな正しい考え方持ってるんだけど。一方であの、彼のフォークボールっていうのが、僕からして見るとすごいクセモノで。

中居:
え? どういうことですか? 

小林:
っていうかね、彼が言うには、自分が本当にキチンと投げられ、ウマくいった時のフォークボールは打てないって言うんですよ。あの、バッターは。打てないボールなわけですよ。で、打てないボールなんていうのがゲームにちゃんと存在してるっていうんだったら、多分ルールブックで禁止したっておかしくないような、半分反則みたいなもんじゃないですか。

中居:
面白い捉え方しますね。

小林:
でもやっぱ、それをちゃんと。なんかね、縫い目が。普通、フォークボールって真直ぐ飛んでくるんだけど、彼の場合は回転、直球と同じように回転して落ちるから読めないんですって。

中居:
待つバッターは、もうストレートだと思ってやっぱり。

小林:
ストレートとフォークの球種の違いがわからない。

中居:
ええ、ええ。

小林:
で、突然グァーンと落ちたり、なんか曲がりながら落ちたりするから。で、とにかくストライクゾーン真直ぐ来たところから、一番ウマくいった時はワンバウンドになるから、打てるわけがないっていう。

中居:
すごいんですよね、あれ。本当にカターンと落ちるんですってね。

小林:
多分、バッターボックス入ってみたら、もっとすごいんでしょうけどね。

中居:
でも、実際にはゲームは見られなかったんですって? 

小林:
ちょっと忙しくってですね。

中居:
一日たりともって言ったらおかしいですけども、やっぱり余分な時間ていうのは。れそはレコーディングの音作りに? 

小林:
そうですね。だから、今回はその、3ヶ月間ずっと行ってて。今年ほとんどもう4/5ぐらいはずっと、去年の暮れからずっとニューヨークとロサンゼルスとロンドン、その行ったり来たりで。

中居:
へぇー。

小林:
で、今はちょうど、Mr.Childrenのツアーがあって。

中居:
はいはい、はい。

小林:
それの要するにプロデュースもやってますから、それで。まあ、もう始まって。また戻るんですけど、ちょうど今年前半、去年の暮れからですけど、ミスチルのアルバムと、MY LITTLE LOVERの秋に出るシングルと、あとまあ、もう一つその、岩井俊二監督の映画の要するにサウンドトラックと。あとまあ、もう一つその中にYEN TOWN BANDっていうのが出てきて。

中居:
はいはい、CHARAさんが。

小林:
そうそう。で、まあ、CHARAがグリコっていう役名で、その「スワロウテイル」には出てるんですけど、彼女をヴォーカルとした、まあ、バンドなんですよ。バンドのメンバーは、その中にいることはいるんですけども、表立っては一応なんか、ちょっと匿名みたいな感じでやってるバンドがあって。いや、だから、今年すごい、もう3枚やりましたから。その、創作するのがすごい僕遅いって。遅いっていうか、多分、小室さんなんかに較べると、すごい量産型じゃないですから。

中居:
ゆっくりと言うか、ジックリタイプかもしれないですよね。

小林:
そうですね。その割りには、まあ、サウンドトラック含めてだけど3枚もプロデュースしてますいから。そんなぐらいですから、忙しかったですね。

中居:
でもあの、やっぱりそのね、ミスチルもそうですし、MY LITTLE LOVERのみなさんもそうですけど。今のそのサウンドトラックのほうもそうですし、期限があったり、時間に追われることって絶対出てくると思うんですよね。そういう時に、例えば何日、何ヶ月の間、何日の間に作ってくれって言われて。でも、時間がなくってどうしようもない時に、もう安易なものを出した経験ていうのあります? 「もう時間がない。これが、この時間内での自分の精一杯なんだ」っていう作品ていうのは、今までありました? 

小林:
いや、だから、それに、そう言われてそれに当てはまるというのは無いかなぁ? あんまり考えたことはなかったですけど。ただね、その時間の中にて出来ることをやってるんだとは思うけれど。やっぱり何だろう? 一生かけてでもいいから、一ついい作品が出来ればいいと思ってるわけじゃないですね。やっぱ、僕も。やっぱりそれは何だろう? 人間としてなんか、生きていくリズムみたいなのあるじゃないですか。一人の人間として。だから、それでやっぱり時代と言っていいのか、なんか。とにかく周りの人間と共に生きてますから、僕も。そこの中でやっぱりなんか、コミュニケーションというか、そういう人との呼吸みたいなののところで、やっぱりこれがベストだなというか。なんかね、よく言うんですけど、ベストっていうかね、自分の中で必ず、ボーダーラインみたいのがあるんですよ。

中居:
自分の基準の中ですね。

小林:
基準が。その作品を、最初になんかやる時に、何だろう? 人に与えていく快感みたいなものに、「ここを越えていけば、なんとか多分、大丈夫だ」っていうか。恥ずかしくないっていうか、自分の中で「やり遂げた」と言える。まあ、それを越えさえすれば。

中居:
でも、その基準っていうのが、人それぞれですし。小林さんの基準と、周りの人が求めてる基準て、多分、違いますしね。そこらへんのやっぱりその、行き違いみたいのって絶対生じるでしょうね。出て来るでしょうね。

小林:
それはね、あんまり生じたことはないかもしれない、周りとはね。あの、ただ、もちろんその、第三者の人がね、本当にあの、いいと思ってても全く別の角度からの批評とかね、感じ方っていうのは当然あると思いますけども。でも、やっぱり僕がプロデュースしてるアーティストと、僕の中でそこが食い違ったまま発売するとか、世の中に出したっていうことは、多分ないと思いますね。

中居:
今までもありませんでした? ミスチルもそうですし。

小林:
MY LITTLE LOVERでも、例えばもうちょっと古く言えばサザンでも、ないかな。

中居:
メンバーの中で、「ちょっと小林さん、これは違うんじゃないか? 僕の求めてる音楽とは、ちょっとこれは違うんだけども」っていう葛藤じゃないですけども。

小林:
あ、だから、それはね、えぇと、そういうの本当に少ないですけど。例えば、このあいだも「深海」っていうアルバムやってて、その中の一曲で、ほとんどもう全員が納得したミックスが終わってて。で、ギターの田原っていうのが、野球のわりとあの中ではウマいほうの田原君が、アルペジオのパターンっていうのがあって、で、それを「音もやり直したい」っていう話が出てきた時に、それ、すごい僕は彼の気持ちをすごいよくわかってたし。で、その曲のなんか、在り方っていうのも、やっぱり漠然と僕も不安を感じてたところがあって、最終的に「深海」の中に入れる、そのさっき言ったボーダーラインのところで。やっぱり、それだけは日本で少し手直しをして、やり直したんですけど。だからもう。

中居:
とにかく彼の音楽性というか、そのギター、まあ本当ね、ちっちゃいとこだったかもしれませんけど、彼の気持ちやっぱり尊重はしたわけですよね。

小林:
そうですね。だから、本当に細かい、本当にちっちゃいことで、「気にすることないよ」っていうようなところは、そう言いますけど。でもなんか、そのへんはすごいもう、呼吸がとれてるっていうかね。

中居:
へぇー。それっていいでいよね、でも。

小林:
そうですね。

中居:
でもほら、その音楽も正解がないですよね。

小林:
うん。

中居:
それでやっぱ音楽あのね、曲を作る時も、その人の生き様であったり、その、小さい頃抱いてたその自分の好きな音楽像じゃないですけども、みんな音楽への接し方っていうのは、もうそれぞれみんな違いますから。やっぱりその、センスが違いますよね。

小林:
そうですね。 

中居:
その、センスがもう食い違っっちゃった時っていうのは、どうすることもできないんじゃないかと思うんですよね。「こういうセンスなんだから、しょうがない」ってことになっちゃうんじゃないかなと思うんですけどね。

小林:
ただあの、なんだろう? そこの中で、今なにをやるべきかっていうことがあるじゃないですか。

中居:
ええ、ええ。

小林:
だからやっぱり、よく僕はそれを必然性とかって言うんだけど、なんか、それを今とるっていうりのは、僕のべつに欲とか欲求であったりするわけじゃないっていうか、それだけじゃなくて。なんかね、そこになんとなく周りの、周りっていうかそこの中の空気っていうかムードがもう、なんかなんて言うの? 選んでしまうみたいなものを、ただキチンとなぞってあげるっていうか。それをまず、勘を働かせて、それを見付け出して、何だろう? イメージトレーニングにすごい近いかもしれないけど。そういうのがあって。そこで最初になんか、最初っていうか、見えてったら、あとはもう、みんなでなんかそこにあるものをなぞっていくみたいな形っていうかね。

中居:
はいはい、はい。

小林:
何だろう? エゴのぶつかり合いで、何かものを作っていくって、ゴリゴリゴリゴリね、切磋琢磨してってなんかものを作ることって、確かにせめぎ合いの要素はすごく多いんだけど、なんかそんなね、なんかいがみ合って作ってるようなことではないんだと思いますね、多分。

中居:
でも、それはでも、メンバーの人たちと小林さんの関係っていうのが、やっぱり、あるそのボーダーラインていうのが、もしかして一緒かもしんないですよね。あるいは近いかもしれないですよね。

小林:
かもしれないね。

中居:
いろんなだってね、音楽性っいうのは、みんなそれぞれ多分、本当に違うでしょうしね。今まで聴いてきた音楽もそれぞれ違うでしょうし。音楽環境っていうのは違いますからね。

小林:
そうですね。

中居:
で、あの、さきほどチラッとおっしゃいましたけど、ニューヨークとロンドンとロスっておっしゃってましたよね。

小林:
ええ。

中居:
で、僕の中では、ちょっとわかんないんですけども、ニューヨークとロンドンとロスの、その環境の違いですか。やっぱり、環境が違うからこそ場所を点々とするのかな? と思いますけど。

小林:
うーん? そうですね。あと、もっともちろんあの、他にもいっぱいあるんでしょうけどね。よく言われますね、あの、僕もだからその、ニューヨークのウォーターフロントスタジオのいろいろレニー・クラビッツとか、あのへんやってるヘンリーハッシュってすごい仲がいいんですけど。エンジニアでもありミュージシャンでもあるんですけど。彼とかは、その、アメリカはもっと南部のほうが絶対面白いとかね。ナッシュビルとかニューオリンズとか。で、「やっぱり、ああいうとこで今度レコーディングとかしてみようよ」みたいなこととかね、言われますけどね。

中居:
それはやっぱり、周りの雰囲気なんですかね? 

小林:
うーん? いや、だから、ルーツとしてやっぱりブルースとかから始まってきてる、なんか生音の在り方とか、そういうことを彼は多分、僕にすごい言ってたんですけども。でも、音楽的にそうですね、だから、南部のほうまでいっちゃうと、本当深いっていうか。僕もまだよくわからない話ですけど。ニューヨーク、ロンドン、ロスっていっても、それぞれやっぱり当然違いますよね。あの、ロンドンていうのは、もうああやって作り込んでく、建築してくみたいな形にすごい近いような感性っていうか。まあ、本当ジェントルマン、ジェントリーな国ですから。国っていうか、ミュージシャンもスタッフも本当、そういう人多いですから。本当、ビートルズの中期以降とかでもよくわかる通り、もう本当に音を作り込んでいくっていうことに関してはね、貪欲なところすごくあるし。今回だから、アビーロード、よくビートルズがずっとやってたアビーロードで、それはその「スワロウテイル」のオーケストラをね、録ってきたんですけど。

中居:
オーケストラ? 

小林:
ええ。あの、ロンドンロイヤルフィルっていうオーケストラを使って。アビーロードの1スタっていう、もうすごい天井が高い、要するに教会みたいなリバーヴ感がある。それがね、本当にまあ、映画まだ観てないでしょうけども、あの、ちょっと観ていただければ、かなりのスケール感ていうか。

中居:
そのサウンドトラックに入る? 

小林:
そうそう。

中居:
オーケストラ。

小林:
オーケストラ。

中居:
え? それは初めての経験ですか? それとも。

小林:
えぇと、まあ、レコーディングでねチョコチョコ。チョコチョコっていうか、もちろんストリングスである程度2〜30人ぐらいの編成で実際にライヴやったこともありますし。あの、LIVE UFOとか。今、一瞬、局を確認しましたけど、頭の中で。

中居:
へぇー。でもそれ、YEN TOWNじゃないですけども、今までのあれと違うじゃないですか。アーティストに曲を提供するのとは、またやっぱりわけが違うと思うんですよね。そのサウンドトラックになるっていうのもそうですし、その映画の中に入る挿入歌じゃないですけども。

小林:
YEN TOWN BANDって、まあアルバム出るんですけどもね。

中居:
絵があって、ストーリーがあって、その中に歌をね、入れ込むのとまた作り方もまた違うんじゃないかなとも思うんですけども。

小林:
うん、そうですね。だから、今回は岩井監督が最初にストーリー設定の出来た、生み出したバンドですから。それに生命力みたいなのを僕が吹き込んでいくっていうことから始まったから。でも、やっぱり実際にMr.ChildrenとかMY LITTLE LOVERみたいに、アーティストとして生身の姿を持ってて、ちゃんと看板を背負ってローテーションこれからもアーティスト活動を続けていかなくちゃダメだっていうのとは違って。やっぱり映画の中のストーリー上の架空のものが、なんかリアルに展開してくって面白さを、本当にただ僕が楽しめばいいんだっていうふうに、もう最初っからわりと思ってたから。

中居:
まあ、ある意味で自由と捉えたわけですね。

小林:
そうですね、ええ。だから逆に、アルバムも英語が半分ぐらいだし。やっぱりまあね、映画ってある意味では、すごい海外とか出やすい環境でもあるし。そういうことはすごい考えて。岩井君と考えながら、かなり本当に遊べたなというか。これはね、でもね、いい映画なんですよ。すごい。もうちょうど日本に帰ってきてちょうどあがりを見て。岩井君と、僕のほうがちょっと先に帰ってきて。ちょうど編集もギリギリまで彼もロスに残って頑張ってて戻ってきて。で、彼はちょうど二度目かな? 試写見たので。僕は初めてそこで二人で見て、なんか本当に興奮しましたけどね。

中居:
ああ、そうですか。

小林:
ええ。

中居:
いい映画。

小林:
いい映画ですよ。本当に。もうこれは本当に出来るだけ多くの人に観ていただきたいと本当に思いますけどね。

中居:
え? どういう? ストーリーを軽いタッチでいいんですけども。

小林:
うーん、そのYEN TOWNっていう、まあ東京なんですけどもね。未来か過去かちょっとわからない、まあ東京に、YEN TOWNという架空の地域というか、そういうのがあって。その、そこにまあ、いろんな国、アジアの、アジアだったりアメリカだったり、そういうところから円を求めていろんな人が集まってくるという。そこの中でいろいろ音楽が、バンドがね、登場してきたり、なんて言うの? サスペンスっていうか、そういう事件が起こったりとかしていきながら、まあ展開してくっていう映画なんで。まあ、そうとう情報量はね、すごい多い、何だろう? 冒険活劇みたいな側面もすごいあるし。いわゆる青春恋愛ものっていう感じももちろんあるし。あと、なんか、近未来的なタッチっていうのもあるし。なんか、そういういっぱい要素があるからいいって言うんじゃなくて、なんか、それが全部すごいあの、岩井君ていうのは、ものすごい情報をいっぱい入れて、それをすごいコントロールできる頭脳を持ってる人だけど、なんか、それを貫いていくピュアさというか。だから、複雑な味わいのものなんだけれど、なんかスッキリしてるっていうかね。

中居:
ああ、わかります、わかります。決して観てる人に混乱を招くような作品ではないと。

小林:
ではないですね。僕は本当、そう思いますけど。

中居:
その中に架空のYEN TOWN BANDがあるわけですよね。全てが架空ですから、その架空のキャラクターっていうのもね、自分御自身で多分イメージして作られたものですけど、ゼロからですよね、そうなりますと。

小林:
そうです。だから、それでまあ、ミスチルの「深海」とかでもずっと言ってて。さっきも言ってましたけど、その、ニューヨークのウォーターフロントスタジオっていうアナログのね、アナログのヴィンテージものの機材がいっぱいあるところで録ったんですよ。だからまあ、よく聞かれるのはその、「70年代の音楽とかわりとマニアなんですか?」とかね、なんか。でも、決してそういうわけじゃなくて、なんかただ、一つ一つの音の存在感ていうか、それを自由に解放してあげるっていうかね。あの、そういうふうに思うと、一つ一つの音をキチンと録るっていうか、太く録るっていうのがずごく大事になるんで。それでわりとそのスタジオを使ってるっていう感じなんですけどね。まあ、コンピューターミュージックなんかでいうと、まあ、ベースがシーケンスで鳴ってて、シンメトリックに左右のものが、この音はこの右側の音があるから左もあるとかね、対になって考えでいくっていうか。そうじゃなくて。その一つ一つの音が、もう「僕はそういうふうに存在していたいんだ」っていうか、そういう主張をもった音が、なんか左右対称とかを考えずにね、いたいものがゴツゴツといるっていうバランスが、僕はやっぱ本当に一番カッコいいんじゃないかと。

中居:
わかるような気がします。それはもう音楽に限らず。多分、それっていうのは、小林さんが多分、音楽を作る姿勢ですか? にも共通するんじゃないかと思うんですよね。自分の音楽っていうもの。

小林:
でも、ふと、まあ知ってるかもしれないですけど、SMAPっていうグループも、でもね、そういう感じがやっぱりみんなに評価されてるってところあるんじゃないですかね? 

中居:
どうでしょうかね? 

小林:
いや、でも、個の在り方として一生懸命バランスをとろうとしてるというよりも。

中居:
そうですね。個人一人のその、まあ例えばSMAPを楽器に例えると、ギターがいて、ベースがいて、キーボードがいて、ドラムがいて、ヴォーカルがいるとすると、みんなやっぱり自分の音を出そうという気持ちはありますね。自分だけの音。左の音に囚われず、自分の音を。で、全部の音は、みんなが「これ」って思える音を出して成立するような音楽ができればいいなっていう気持ち、あるかもしれないですね。でも、どうですか? いろんなプロデュースもちろんそうですし、あの、曲を作る上であの、やっぱセンスだと思うんですよね。うん、それは音楽のもう感性としか思えないんですよね、曲を作るっていうのは。だから、僕なんかから見て、何がそうさせているのか。やっぱり小林さん自身が子供の頃やっぱり聞いてた音楽っていうのが。なんかね、いつも思うんですけども、懐かしい感じがするんですよ。

小林:
ああ、そうですね。

中居:
昔を思い出すじゃないですけども、そういうイメージが僕なんかにはありますね。それは御自身で意識されて作られて? 

小林:
そうですね。だからやっぱり一つはやっぱり何だろう? あんまり言葉にすると、ちょっと照れちゃうところもあるんですけども。やっぱりなんかね、あの、なんか少年性みたいなものっいうのは、やっぱりいろんなところに絶対潜んでいるものだから。あの、それがなんか、岩井君なんかとも話すんですけども、ね、なんかあるじゃないですか。これ、言っていいのかな? わかんない。岩井君とちょっと話したんだけど、例えば休みの前の日の感じとかがあってね。明日休みで学校が始まるまで、みたいなところがあったとすると、なんかそこに全てが集約されるっていうか。そこまでのなんか、気持ちの昂りと、どこまでいけるのかって。なんか永遠に続きそうな気もするし、みたいななんかそういうところで、ほとんどものというのはなんか、彼は存在しているんじゃないか、みたいなこと言ってたんですけど。

中居:
そうですよね。ある意味でその私生活。普通に暮らして普通に生活を送ってる。で、改めて考えないと気付かないことを、なんか小林さんはなんか、音にしてるんじゃないかなとか思ったりしてるんですけどね。で、あの、ミスチルもそうですし、MY LITTLE LOVERも。あの、MY LITTLE LOVERは去年、急に参加したんですよね? 

小林:
そう、アルバムの時からですね。

中居:
そうですよね。今までは、まあ裏方っていっちゃあおかしいですけども、制作専門だったわけですよね。だから、それが去年の暮れから自分が出る側っていったらおかしいですけども、アーティストとしての一員になったわけですよね。やっぱり変わりました? 

小林:
うーん? 本当の日常の生活自体は何も変わってないですけども、それは本当に。やっぱりでも、僕はいろんな例えば宣伝の方向性だったりとか、やっぱりそういう細かい人間関係のメンタリティの問題だったりとか、そういうこともやっぱり僕の範疇の中でやらなきゃダメなこととしていっぱいあるから。だから、まあ、変わりはしないんですけども、その、曲なり詞なりを書く時の立場が。だから、もうちょっとなんて言うんだろう? 逆に自分が出ることによって楽になったっていうところはあるかもしれないですね。

中居:
あ、楽になった? 

小林:
うん。だからほら、裏方は裏方の美意識みたいなのがあるとするじゃないですか。そこで色があんまり、例えば出過ぎないようにとか、そういうバランスって、なんか無意識のうちに考えたり、まあ、意識して考えたり、いろいろなことがあるんだけど。それがわりとだから、ちょっと自由になっただろうなという。プロデューサーとして、それもやっぱりプロデューサーとしての僕が見てて、「ここは、もうちょっとカラー出していいんじゃない?」みたいなことを多分、その曲を書いたり、詞を書いてたり、アレンジしてる時の僕にやっぱり許可を出すみたいなね、そういうところあるかもしれないですね。

中居:
でも、その日常じゃないですけど、仕事に対する接し方であったり、音楽に対する接し方、基本的にはやっぱり変わらないと。

小林:
それはもうぜんぜん変わらないですね。

中居:
でも、テレビはやっぱりなんか、嫌いっぽいですね。

小林:
うーん? まあ、待ち時間がね。

中居:
ああ、待ち時間が。

小林:
待ち時間がね、ダメなんですよ。

中居:
今日、今日のことですか? 

小林:
いやいや、違います。そんなことはないですけど。いや、でも、テレビに限らずだけど。

中居:
時間を有効に使いたいんでしょうね。

小林:
そうだね、そうかもしれない。

中居:
まあ、無駄な時間ていったらちょっとあれですけども、なんか、何となく過ぎる時間を無駄だと感じているかもしれないですね。

小林:
うーん、そうね。っていうか、やらなければならないことが山のようにあるから、「あ、この時間があれば、これを出来たのに」と、つい考えてしまうところは。休みの時は別ですよ。その、もう自分でこれはスペースを作って、フリースペースだと思えば、そこはもうそこで完全に自分を解放してやるけども。東京にいてね、特に会社とか。まあ、会社、僕も自分の会社があって。そこでまあ、ミスチルとかMY LITTLE LOVERのマネジメントとかもやったりしてて。そういう時にはね、やっぱりいろんなことが。「もっと、こうすればより良くなる」とか、もうそれはほんの些細なことでもね、つい考えてマネージャーが泣きますよね、やっぱりね、大変で。

中居:
それはもう、もう多分、今後もそうでしょうけども、ずっと与えられるテーマかもしれませんよね。

小林:
そうですよね。

中居:
例えば、これが終われば楽になるだったり、これが終わればちょっと一段落付くんじゃないかっていう、なんか常に希望を持ってたりしません? 

小林:
そうですね。

中居:
とりあえずこれを。

小林:
まあ、本当にでも、それはそうだね。中居さんなんかどうなんですか? それは。僕なんかよりも多分、もっとぜんぜん殺人的にきっと忙しいんでしょうけど。

中居:
いや、それは忙しさも多分、違うと思うんですよね。僕なんかってのはもう、例えば、来たお仕事をこなす、時間内に、その時間内っていうのも短い、長ーい目で見てるわけじゃないですから。例えばまあ、番組の収録あるっていっても、長い目で見てるわけじゃなくて、もうその時間内で、どんだけ自分のベストを尽くせるかじゃないですけども。でも、その物事を作るっていうのは、僕も好きなんですよ。で、コンサートのプロデュースみたいのも、メンバーの、メンバーっていうか、大人の人に任せないで、スタッフに任せないで、僕らだけでけっこうやったりするんですけども。やっぱりその、成功した時の満足感みたいっていうのは、やっぱりいいですよね。

小林:
そうね。

中居:
あれがあるからやっぱりその、まあね、小林さん自身も追われたり。ね、そのマネジメント、忙しい中を縫ってでもやろうっていう気持ちがあると思うんですよね。

小林:
そうですね。いや、このあいだもだから、ずっと3ヶ月そうやって間海外いきながらミスチルのステージのプロデュースの準備をいろいろやってるわけですよ。今回はロンドンとボストンとか、そういうところの人間と映像からステージの舞台美術から、そういうの全部、海外の人間とやってましたから。で、やっとだから、東京で初日終わって、あの、「これで間違ってない」ってことがわかってね。「これは正しかった」っていうことがわかって、もう本当、そのね、2時間ぐらいかな? もう本当、報われたと思うんですよ、その時は。でも、その1時間後には、もうその細かいチェック、直していかなきゃダメな部分てあるから。そこにやっぱりもう、どんどんダメ出しじゃないですけど、そういうふうに無かっていく性があるから、自分でも困ったもんだなと思います。でも、その本当に、ひょっとしたらその2時間のために、やっぱりいろんな苦労というか、やっぱり「何かあるのかな?」と思わせるだけの、なんか何ですかね? 「ああ、何か一つ越えたな」という。

中居:
ある意味では、もしかしたらたった2時間かもしれないですけどね。

小林:
そうかもしれない。

中居:
たった2時間のために、この準備をするために何ヶ月っていう期間をね、その体を奪われるわけですから。だからその相撲っていうのはね、好きだっていうのも、本当、何秒っていう一瞬のためにですよね。そのためにやっぱり、何十時間、何日間もやっぱり稽古をして。その瞬間が多分、その瞬間の満足感ていうのが多分、小林さんにとって快感に感じるんじないでしょうかね。

小林:
そうですね。そうだと思います、本当に。

中居:
でも、あっという間じゃないですか、その満足する期間ていうのは。

小林:
そうね。だから、レコーディングしてても、一曲一曲の中でも、本当にその曲がなんか、その曲の命みたいなっていうか、輝きみたいのが、ガァーッて立ち上ってくる瞬間てあるんですよ。ダビングしてても何してても。それはミックスの時ただったり、ヴォーカル入れが終わった時だったり、いろんな段階でそれがあるんだけど。でも、やっぱりその瞬間のために、そのまあ、作ってる側としてはね、その瞬間のためにその曲は僕のためには存在してるしね。だから、それが世の中に出ちゃって、また他の人が聴いて喜んでたりすると、僕が例えば作ったとか、僕がプロデュースしたっていう目とは。ぜんぜん別のところで、その第三者の人と一緒の目線で見ちゃうけど。

中居:
一緒の喜びですよね。ああ、なるほどね。その瞬間ですよね。瞬間のために長い時間苦労して、長い時間考えて、悩んで。

小林:
そうですね。

中居:
多分、ずっと音楽作ってくんでしょうね。

小林:
そうですね。やっぱり本当に。

中居:
今後、なんか自分がこういう音楽をやりたいとか、なんか自分がイメージしてるものってあります? 

小林:
うーん? いや、もう本当に今の、今のまま、本当になんか、自分がやっぱり楽しめる音楽。で、やっぱり人が聴いて、何か伝えられる力を持った音楽をやっぱり作っていくっていうことだけだと思うんだけど。それ以上に今なんか他に面白いことって、そんなに思い付かないものね。音楽にまつわるね、いろんなことはあるけど。ビデオクリップを作ったりとかね、ミスチルの映像を作ったりとか。そういうことは、本当に面白いことなんだけど。

中居:
もしかして、呑気かもしれないですね。

小林:
ああ、ああ、それは新説ですね。新しい説かもしれない。 中居あの、時間に追われたり、そう、注目を浴びたりしてるんでしょうけども、周りの人にあんまり囚われず、すごい呑気な人なんじゃないかなって。

小林:
ああ、そうかもしれないですね。

中居:
ある意味で、その気持ちの中のどっかで、すごい熱い部分があるんでしょうけども。例えばね、音楽、その作品が出来た時、100人が100人みんな丸を出すわけじゃないと思うんですよ。やっぱり反論する人もいれば、「これは違うだろ!?」っていう人もいるんでしょうけども、そういう人たちに対して「ふーん。あ、そうなんだ」って。強くなんか「ここがいいんだよ! 聴いてみろ。ここがいいんだよ!」って。そういう自分のことを支持される人には、「うん、いいでしょ」って優しく言えるけども、べつに反対する人に対して、べつに熱くなるわけでもないですよね。

小林:
そうだね。それは本当にそうだと思う。なんだろう? 

中居:
ね。呑気さんですね。

小林:
やっぱり、自分そうね、多分、自分のやってることに興味があるんで、あまり外とか他の人に、そんなにやっぱり興味ないのかもしれないですけどね。

中居:
多分、自分の好きな音楽であったり、自分のその音楽に対する感性っていうの、人一倍信じた上でのやっぱり、うん、活動なんじゃないかな、仕事なんじゃないかなと思うんですけどもね。

小林:
いやいや。

中居:
いや、でも今日はいろいろお話、どうもすいませんでしたね。テレビが嫌いなのにも関わらず。またぜひとも。

小林:
はい。

中居:
いろんな作品、僕たちが求めてる作品を、ぜひとも作っていただきたいと思います。

小林:
ありがとうございます。

中居:
はい、えぇ、今週のゲストは小林武史さんでした。どうもありがとうございました。

小林:
ありがとうございました。

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