TK MUSIC CLAMP

TKMC

NON EDIT TALK : 小室哲哉★泉谷しげる


小室:
こんばんは、小室哲哉です。えぇとですね、9月もう入りますね。えぇTK MUSIC CLAMPも、半年近くなってきましたけれども、えぇ、半年近くなると、こういう方もとうとう。

泉谷:
なんだ? おい。

小室:
ゲストに。

泉谷:
なんだ? おめぇそれは? 

小室:
登場していただいて。

泉谷:
こんばんは、華原朋美です。

小室:
いや、泉谷しげるさんを。

泉谷:
おまえ。

小室:
ありがとうございます。

泉谷:
よくそうやって、自分の手出してる女、売り出せるね君も。どういうヤツだおまえは? 

小室:
そうですね。

泉谷:
「そうですね」じゃないだろ。もう、そんなに………、可愛いよね。

小室:
ありがとうございます。

泉谷:
今、夢中なの? 

小室:
はい? 

泉谷:
今、夢中なの?

小室:
いや、一生懸命やってます。

泉谷:
一生懸命ってどう? だけどあの、昔さ、大蔵映画っての知らねぇだろうけど、あったんだよ。で「女優を愛人にしたのか?」っていう質問を受けたんだよな。その時にいや、その社長がすごいのよ。「なに言ってやんでぃ、愛人を女優にしたんだ」っていうね、名言があったけど。君の場合は、恋人を歌手にするってことなんだろ? 

小室:
あ、なんかその話ね、その大蔵っていうのは聞かなかったけど、誰かがいってました。

泉谷:
でしょ? 

小室:
ええ。昔、言った人がいたんですって。

泉谷:
そうなんだよ。いいよね、そういうふうに言いたいよな。だって、みんなだってミュージシャンいるわけだろ? 

小室:
ええ。

泉谷:
いるくせに隠してるわけだよな。隠してるって変な言い方だけど。いないかのようなつもりで「いや、最近してません」みたいな「いや、最近いません」。で、飲んでる時なんかで、あの、ちょっと口説いてみると、いやがるんだよこれがまた。そんで、飲んでる最中にね、電話入れたりしてるヤツがいるんだ。おまえなんで? テレビではいねぇっつっただろ、この野郎!! みたいな。あれ、真に受けちゃうじゃない。なぁ? 

小室:
ええ。

泉谷:
そう、だからこっちも誘っちゃったりなんかするじゃない「あ、いないのか」と。汚いよね、あれ。だからああいうふうにいるいるっつう………、なんかおまえ司会だろ? おまえ。俺が自分で突っ込んでどうすんだよ。

小室:
いやあの、やっぱりファンレターとかあるじゃないですか、だいたい男の人のグループとかで、若い人たちも、で、やっぱ女の子で「彼女がいたんです」とか「結婚してたんですか」とかいってね「ショックです」とかいろいろありますよね? やっぱ僕があの、TMの時とかもう、やっぱりそういうの手紙とか見た時、なんか気を使わなきゃいけないのかな? って思いましたよね。

泉谷:
そりゃそう思うだろうね。あの。

小室:
例えばツアーに例えば、例えばそういう人達がいたとしても、なんかマネージャーたちが違う入口から乗せたりとか。

泉谷:
そうそうそう、くだらないよね。あの、マネージャーがこう、ホテル別んとこ用意しといたりとかね。そういうくだらねぇことやってるよな。俺もね、デビューした時にね、何を考えたかレコード会社の馬鹿野郎がね、あの、かみさんがいたわけよ、もうすでに。21か2ぐらいの時にな。で、俺はフォークだから、っていうかフォークだから別にそんな芸能界と違って、女を隠す必要ねぇと思い込んでたわけよ。ところが「おまえはフォークの四天王」だかなんだかわかんないけど「そういうふうに荷担するから黙ってろ」っていうわけ。ね。で「なんで?」って聞いたわけよ。だから俺はかみさんがいるって、だからこの顔にこの雰囲気、………これ謙遜で言ってんだけど。この雰囲気に、いまさら女がどうだこうだっていうのは、あり得ないと思い込んでたから、それにフォークってのはまあ、当時、男のモンだと思いこんでたから「女子高生とか来ないモンだろう」と思ってたわけよ。「黙ってろ」っていうわけ。「黙ってろ、女のファン失う」と。まあ確かにちょっとはいたかもしんないな、出たばっかだからな。だけどそんで、なんか週刊誌だかステージだかどこだかわかんねぇけど、俺の場合、女の子がごく普通にほら、質問するじゃない「恋人いらっしゃるんですか?」って。「バカヤロウ!! おめぇ、女房いるわい」っていったら、みんなパァーって引いちゃったのがあんだよ。本当、裏切り物だね女ってね、ああいうとこはね。あれどう? やっぱり気にするんだね。

小室:
ファンの人もですか? それ。

泉谷:
そう、ファンの人。

小室:
ああ、なるほど。

泉谷:
でも、フォークだよ? その、芸能界じゃないんだよ? Gパン着てるわけよ、金があるくせにあの、ステージの時は汚いGパンにはき替えるんだよ? それすごいよね。フォーク成金のくせして「今日はステージだから」っつうんで汚いGパンに替えるという。なんか、不思議、不思議。だからでも、なんかこう、でもさ、こう芸能界っぽくには過ごしたくないよね。まあ、芸能界ってなんだ? って言われちゃうとちょっと困っちゃうんだけど、自分が出ててなんだけど。

小室:
まあ、僕よりは出てらっしゃいますよね。

泉谷:
うーん、だから好きじゃないよ。好きじゃないっちゅうか、テレビは好きなんだけど。

小室:
大体ここにね、座ってくれるゲストの人で「テレビ見るのは好きだけど、出るのは嫌だ」っていう人ばっかりで。

泉谷:
そういう人ばっかりだな。俺は大好きなのよ、出るのも。出るのも大好きでね、えー、だけど当時なぜなかなか出なかったかっていうとね、フォーライフ・レコードっていうのがありましてね、昔。作ったことあったんですよね。

小室:
今もあると思いますけど………。

泉谷:
今もありますけど、すいません。俺とっくに潰れたと思って、すいませんね。フォーライフは吉田拓郎と井上陽水と小室哲哉じゃなくて等ってのが。

小室:
等さん、はい。

泉谷:
紛らわしいヤツがいるね、あいつ。

小室:
いや、あっちが本物ですから。

泉谷:
いや、本物ってことないでしよ、あんなの消しちゃやいいんだ、あんなものは。あんなの、ここカットすんじゃねぇぞ!! この野郎。で、そのね、あの、まあ吉田拓郎という大先輩がね、何が気に入らなかったのかまあ、マスコミとのやっぱり女のことで、えぇ彼女のことでね、えぇスッパ抜かれたらしいんだな。で、そういう嫌なこともあったんだろうな。それから初めてこう、テレビで演奏した時、布施明みたいな野郎があの、オケでほら、練習するじゃないすか? すっと、2分ぐらいの歌に縮められちゃうじゃないですか? 当時は。ねぇ? だからなんつったらいいの? 今ってフル・ヴァージョンやらしてくれるけど、ま、今そういうことやってるの、NHKの紅白ぐらいでしょ? 2分ぐらいに縮めるって。

小室:
ワン・コーラス・ハーフってヤツで。

泉谷:
困っちゃうよな、練習で歌って。

小室:
どこがワン・コーラスだかわかんない。

泉谷:
どこがワン・コーラスだかわかんなくなっちゃう。そういう時あんじゃない? 今、1番2番3番じゃないからさ。それでなんかこう、練習した時にこう、間違えたらしいんだ吉田拓郎が。そしたら「何やってんだ!!」って怒ったのが先輩風吹かしてた布施明っていう、ロクでもねぇミズっぽい野郎だったわけだよあの。

小室:
そうなんですか? 

泉谷:
シクラメンに顔、突っ込んでるような。おいカットすんなよ!! ここ、この野郎。「カットすんなよ、この野郎おまえ!!」こればっかですから、すいません。

小室:
いえいえ。

泉谷:
どっかでこれブツ切りで、また使わされますからね。で、それで気に入らなかったのかわかんないけど、まあ、テレビは嫌だっていうふうになっちゃって。えぇ、まあ、陽水もなんか、なんかあったんでしょうね、テレビが気に入らないって。

小室:
陽水さんも出ないですよね。

泉谷:
出ないですよね。で、フォーライフ作った時に、だからマスコミ対策として、レコードは売るけど、その、会議やっててさ、そんで。

小室:
え? 泉谷さんも会議出てたんですか? 

泉谷:
出てたんだ、この野郎!! おまえ。てめぇ馬鹿にしてんだろおまえ? 

小室:
ちゃんと座って? 

泉谷:
そうそう、すいませんどうも、いやいや申し訳ないっす。で、したんです。それであの「とにかくテレビ出ないでラジオ。俺たちを盛り上げてくれるのはラジオだから、ラジオでね、盛り上がろう」と。「ずっとこうライヴとラジオだ」と。「それで行こうじゃないか、な? ではテレビ出ないことに賛成」って、で、みんな手挙げたわけですよ。だけど俺、出たいからさ「嫌だな」と言いながらも「そうだな」と言いながら挙げちゃったんだな、こうやってな。で「出ないもんだろう」と思われたわけだけど、やっぱりガキの頃から見て育ってますからね。どんなもんだか出てみたいじゃないですか、それは。

小室:
あ、それまでは、ほとんど歌番組とかは出演したことなかったんですか? 

泉谷:
ほとんど無いですね。だから困っちゃいましたよ。こう、手は挙げたはいいけど、出たくて出たくてしょうがなくて。でもイメージは先行するわけじゃない? 

小室:
そうですよね。

泉谷:
で、それで初めてキャンペーンだかなんかテレビ出た時「なんで出るんですか?」って怒られるわけよ、今度は。「あんたたちは出ないっつったでしょ」みたいな。弱っちゃって、俺は出ないって言った覚えないんだけど、まあ、イメージがな。だけど、ただその出たくないっていう気持ちもわかるな。あの、その、なんつうかミズっぽいっていうかさ。

小室:
たぶんでも泉谷さんはテレビ局入って、こういう世界に、この中にズズズッと入ってきても、やっぱり自分の世界があるから。

泉谷:
押しつけるからね、俺はね。

小室:
うん、その分あの、なんていうんですかね? 自由じゃないですか。で、桑田さんこのあいだ出演された時も、流れなかったかもしれないですけど、やっぱりそのラン・スルーとかリハの、ああいう時でもう気がなんか沈んじゃって、本番、最悪になるって言ってましたね、なんか。

泉谷:
いや、あれはね、なかなかものすごくいいコメントだったなと思うんだけど。いいっていうかね、本当にこいつら、そのスタッフのためにさ、演奏してんじゃねぇぞ、この野郎!! みたいなさ、気があるわけよ。ラン・スルーだかなんだかしんねぇけど、カメリハダイアモンドだかしらねぇけど。な? ふざけんなっつうの!! おまえらの技術のためにやってんじゃねぇんだ、馬鹿!! ってそうそうそう。だから、で、俺こないだ一回ね………。

小室:
そ、……それ、もらいます。

泉谷:
何をもらいますだ、古いよ!! 今時おまえ。だからさ、イライラしちゃいますよね。だからNHKのなんかライヴ撮るって時に、5台も7台もあるわけですよ。そんで「リハお願いします」って。ふざけんなこの野郎! って。5台も7台もありゃあよぉ、いいとこ撮れんだろ、んなものは!! って、生で。いっさいしなかったですね。いっさい、もう。で、それはちょっと問題になりましたけどね。「やかましい!! この野郎!」っつってさ。だったら俺んとこ全部カットしやがれ、生だからさ、カットできないんだけどさ。そしたらさ、生でリハーサルしなかったの初めてなんですよ。でもね、非常に今まででやったテレビでやったライヴの中では、そのリハしなかったライブ最高でしたね。映りも、音も、自分のこう、切羽詰まった感じも。すごくカッチョよかったですね。だから、桑田が言ってたように、やっぱ下がってっちゃうのね。あの、なんか大事なものが、大事なものって、やっぱり演技でもさ、歌でもさ、一生に一回しかできないと思うんだよ、それ、その今日の。まあ、それは深刻に哲学的に受け止める必要はないけど、ねぇ? だからつまりなんだろうな? うーん? 舞踊じゃないんだから、そのリハの成果を見せてるのとは違うじゃない? それはリハはするけど、練習するんだけど、曲作るために何度も何度も。でも、ここに出て来た時っていうのは、もうそんな余計な自分の努力を見せるんではなくて、ねぇ? 

小室:
はい、そうですね、わかります。その、だから、もともとみんな音楽やるのが格好よく、自分が一番格好よく見えるために、みんなやってる人、ギターとか持ってる人はほとんどなんで、聞いててもわかったんですけど。なんで、だんだんテレビ局入った瞬間から、自分がこう晒け出されてく感じが、脱がされてく感じがして。で、本番、最後はさらに突っ込まれたりとか、話をするからね、もっとなんか裸になった気分になって、一番カッコよかったと思うとこが、なんかなくなって。

泉谷:
ただのなんでもない奴になっちゃったりとか。それが嫌なんだろうな。

小室:
それが多分ミュージシャンの人の、一番なりたかった時の気分と、まったく逆のことやってるって感じになる気がしますね。

泉谷:
そうそう。やっぱりこう、なんかさ、こう、劣等感がありますよね。だから劣等感ていうと変な言い方だけど、なんだろうな? 自分をその、なんか別なちゃんとした、ちゃんとしたことができないって言うんじゃねぇんだけど、まあ、好きでやってんだけど、なんかそうじゃなくて、これがやってるから王様になれるけど、これをやってなかったら何でもないヤツ、何でもない奴以下? 

小室:
ただの………。

泉谷:
ただのなんだろうな? そういうところがあって、そこがこう炙り出されちゃうと、なんかすごい困っちゃうかなっつうな。

小室:
そうですね。 

泉谷:
だから、そこをまた面白がってその周りがさ、炙り出しやがる「普段なにしてやがんだ?」。おまえなんかに言う必要、言う筋合いねぇよ!! 馬鹿野郎みたいな質問するじゃない? 普段なにしようが、関係ねぇだろ!! みたいなさ。だけど面白がっちゃうじゃない。

小室:
そうですね。

泉谷:
だからこう、まあ、俺なんかもそうだけど、こう、テレビの場だとサービスしちゃうみたいなところがあってな、そうそう、つい暴れないとなんかこう、グッとこないぞ、みたいななんか、期待に応えちゃうみたいなさ。

小室:
あれはやっぱり、泉谷さんの、そのさっきのリハなしの、その、そこの瞬間のなんかあれ?

泉谷:
あれリハしてたら気持ち悪いでしょ? 

小室:
あそこは唯一こう、ワッてやれるとこですよね。

泉谷:
うん、まあ、そうだな。それにあの、まあ、案外やっぱり、やっつけたいからやってるとこってあんだよな。例えば、例えばダウンタウンの時なんかも暴れたのはさ、やっぱり「あいつらいい気になってんじゃねぇか?」とか思うわけじゃない、今ちょっとこう、上げ調子でさ、関西の音楽もわからねぇクセしやがってこの野郎、ミュージシャンからなんだ、カールスモーキーかなんか怒らしやがってあいつぁ。おかげでカットされてんの、おまえらよ番組一個飛ばしやがって、ほんで。そんであいだ俺たちの入れてんじゃねぇ!! この野郎。知ってんだぞ! 情報は、この野郎。なんで怒らしたんだか知らねぇけど、ね。だからそういう事故が起きるわけじゃない? 変なこう。だから、それ流しゃあいいと思うんだけど、つまんないなんか、怒らしちゃったんなら、しょうがないじゃないですか。その、ねぇ? なんでそう、なんか変な突っ込み方したんだろうし。だけど、それをこう、ダウンタウンのためにこう、守っちゃう。その局側がその視聴率とれるからとか、人気者だから守っちゃうわけじゃない。じゃあカールスモーキーはどうなるんだと。こっちはミュージシャン側だから、やっぱりあいつの方の味方になっちゃうわけですよ。こう、お笑いじゃなくて。

小室:
でも、気持ちは少なくともわかりますよね。

泉谷:
そうそう。だから「こいつらちょっと、一発殴っとかなきゃな」みたいなさ、その、お笑いがこの野郎みたいな。ね? その、なんかすごくこう、ミュージシャンをちょっとおちょくってて、この野郎ナメんなよ、みたいな。嫌いじゃないんだけど、その彼等を嫌いだっていうんじゃなくって、その、そう、違う努力なんだという。

小室:
あの、ああいうところにね、出てるミュージシャンの人たち、ほかの歌番組でもいいんですけど、こう、ひな壇みたいなとこ座ってる時のミュージシャンっていうのは、けっこう情けない顔して。

泉谷:
情けないな。

小室:
すごい可哀想な顔してんですよね。あれは多分その、歌まで、歌の出番の、歌の3分なら3分あるでしょ、そこをなんとかカッコよく見せようと。それがせっかくあるんだから、ここで晒け出すのも出したくないし、と言って突っ込まれるし、困った顔がすごくありますよね。

泉谷:
そう。で、またそれを面白がってさ、やるわけじゃないですか。だからやっぱりこう、ええ、そのね、桑田とか俺たちとかその、わりと芸のできるやつはさ、まだいいけど、芸のできないヤツのが多いわけじゃない、そんとこだよ。まあ、小室もそうだろうけどさ。

小室:
そうです。

泉谷:
そうだよな。できないだろ? 

小室:
僕は苦手ですね。

泉谷:
苦手だろ。

小室:
ええ。

泉谷:
なぁ? だから、そういうヤツのが圧倒的に多いんだもんね。 

小室:
多いです。だから音楽やりだしたみたいで。

泉谷:
そう、音楽やってんだもんなあれ。

小室:
それはそうですね。 

泉谷:
だから、俺とか桑田で、じゃあミュージシャンなんか全部だと思われちゃうと。

小室:
いや、全部とは思わないだろうな。

泉谷:
おぉ、迷惑だな。番組成立しねぇわな。そうだよ、飛鳥だって別に面白くも何ともねぇよな? ありゃあ。その、音楽やってない時。

小室:
飛鳥さんも真面目ですね。

泉谷:
真面目だよな、面白くねぇよな。「おまえ少しはなんとかならんのか?」というぐらいその。

小室:
まあ、同類ですね。真面目ですよ、そういうとこ、なんか。

泉谷:
ただね、この番組がね、なんかこう見てて、俺、前から「出たい出たい」と思ってたのはね、その、サービスしなくなんのかさ、俺がサービスすんのかさ、どっちなんだろう? と思ってさ、出てみたかったわけですよ。それは、まったく小室と普段の話すんのか、それともテレビ的になるのか、非常に小室がやってるということだけで、なんかミュージシャンらしくしてられるっていうの? 変な話だけど、あんまりサービスしないでいいじゃない。

小室:
それはなんか、他の人たちも同じようなこと言ってくれて。

泉谷:
ねぇ。あれがね、だって普通だったら、この番組でそれなりの番組だったらば、ねぇ、ここでこう、なんかアクションがあって、笑いをとってみたいな。だけどこの番組は、ずっと黙ってても別に怒られないんじゃないかな? みたいな、そういうなんか。

小室:
そう、やっぱり、みなさんに合わせてるけど、なんか30分の番組なのに、僕がこうタラタラ、タラタラしてるんでね、自分でビデオとか見ても、やたら長く感じんですよ。だから30分番組に思えないぐらい。

泉谷:
そうかもしんない、俺もそう。30分だとは思わなかった。1時間ぐらいかかってるのかと思ってたもん。おまえのせいか? それは。

小室:
なんかこう、間延びしてるんですよね、それはね。本当、それは思うんですけどね、自分で。

泉谷:
でもねぇ、あの芸のなさが、なさがっていうのがね、なさがっつうかね、新鮮だったわけですよ。だからあの、ミュージシャンてまあ、けっこうまあ、映画でいうと悔しい思いしてるところがあって、例えば用もないシーンにさ、突然歌って出て来ちゃったりみたいなところがあったりするじゃないすか? で、芝居、変なやらされ方をしたりとかなんか「こんなとこで歌うかな?」みたいなとこにギター持たれたりとか。だからその、自分がドラマやる時ってのは、いっさいその、ミュージシャン持ち込まないっていうか、徹底して演技したりとかその、ねぇ? 

小室:
ええ、ええ。

泉谷:
その、やってたんだけど、そのなんつったらいい? 嫌なんだな、この。で、「はい、ここで歌って」みたいな、「ここでちょっとプレイしてみて」。と、大体そんなこと言おうもんなら、大体出てるスタッフ2〜3人、蹴り入れられてますからね、私に。大体その「ふざけんな!! この野郎」と。だから、すぐやれる芸だと勘違いされてるわけじゃないですか。すごくこう。だから、そうじゃないこの、なんか、この番組なんか見てると、そうでないこの、まあ、こう言えばこういった面白いこといって、笑いとらなきゃいけないっていうこの、珍しくそういう義務感がないっていうところが、まあ、いいよね。いいよねっつうかこう、そうであって欲しいね。

小室:
うん、それはだから、なんていうんですかね、まあ、意義ってこともないですけど、僕はゲストに来てくれる人の、ある種だから、こういうテレビってまあ、一応出てるわけだから、テレビに対してどう思ってんのかとか、すごくたくさんいろんなこと聞けたし、けっこうみんな本音いってくれてるんで。

泉谷:
そうだと思う。

小室:
あとは、多分、まあ「曲とか作るのは、けっこう大変なんだよ」っていうのを、けっこうみんな伝わってきてるんですよ。

泉谷:
そうだよな。

小室:
うん、苦労してるのをね、なんかいってくれるんですよ。いやぁあの、もしも歌番組とかでね「これはどんな時できたんですか?」とかいった時に、ポロッと「いつ作りました」とか、短い秒数で答えなきゃいけないところを、ここではいろいろい「いやぁけっこう大変だったね」とか言って、説明してくれてるんですよね。

泉谷:
そうだよな。大体あの、非常にこう、面倒臭いよね、作業的にもう、その自分のなんか物をこう、作ってこう表現するっつうことはさ、まあなんかこう、一般的にカッコよくなきゃいけないんだろうし、自分にとってもこう、なんかこう、ひとつのスタイルを発見しなきゃいけないだろうし。かといってそんなに才能あるわけでもないし、できればレコーディング終わると「ああ、しばらくやんないでいいのかな?」とか思って。そういうなんか、なんかすごい宿題出されてるみたいで。あと、これで、俺なんかの場合さ、つまりこうステージで出来ないこととか、ライブで出来ないことも、例えばレコーディングでは凝っちゃったりなんかするじゃない?

小室:
ええ。

泉谷:
な? したら再現不能みたいなの作っちゃった時なんか、マッ青なりますね。その、どうしたらいいんだろう? みたいな。どうしても寂しくなっちゃうわけじゃない? そのライブの、なんかCDの音の方が。だから、あれがだから、もう今なんか特にそうだけど、あの、もうお金払ってもいいから、高いミュージシャン、高いの使って、高いのが来たってだけでね「おまえがいるってだけで、もうシンプルな音にしてくれ」っていってるわけ。

小室:
ポンタさんとか、すごいシンプルですね。

泉谷:
そうそうそう、シンプル、シンプル。で、それが贅沢なんだっつってるわけよ。だから「凝るな」って。凝るなって変な言い方だけども、凝られちゃうとなんかこう、なんか嫌じゃない。それをこう、コピーしながらやるというもの? うん、だからテレビ出演でもね、なるべくこう、まあ今そのバンドでなんかミュージック・ステーションだろうがなんだろうが、これはどこの番組だっけ? 

小室:
これはフジ。

泉谷:
これはフジか。だから「ミュージック・ステーション」の悪口いってもいいな。

小室:
いや、大丈夫ですけどね。

泉谷:
「ミュージック・ステーション」でも、けっこうオケで、バンドごと出てんのにさ、オケなんだよね。歌は生で歌ってんのかもしんないけど、うん、オケなんだよ。こないだ出て、生、俺たちだけだったんだよ。びっくりしちゃってよ。「ちょっと待て、おまえらグループで来てるんだろ?」っつうの。

小室:
あ、聞いたんですか? 

泉谷:
楽器も揃えてんじゃねぇかっつうの、な? サウンド・チェックもしてんだよ。なんだそれは? っつうの。「なんでやんないのよ?」っていう、そのねぇ。いやぁ、あれはおどろいちまったなぁ。だから「そういう再現不能なことをなんですんの?」みたいな。まあ、再現不能っていうか、再現不能の面白さもあるんだけど、もちろんその、全部生がいいとはまあ、思わないんだけどね。その、ただ俺はそうなんだよ。そういう再現不能なものは作りたくないかなという。でもライヴはやっぱり怖いよね?

小室:
ライヴはずーっと定期的にやってます? 今も。

泉谷:
うん、怖いというかこう、なんかあの、やっぱ自分の魔法っていうか、自分の魔術っていうかさ、ものがかからなくなるっていう時だってあるじゃないっすか?ねぇ? 変な魔法があるんだけど、あの、ぜんぜん話、ちょっとまた例を出すんだけどさ、昔ね、あの、ロッド・スチュワートってのがね、2回目かな? 「I am sexy」とかいってよ、しょーもねぇタイトルのライヴやったことあんだけど。

小室:
ソロのですよね? 

泉谷:
ソロの。で、見にいったんだ。そんでけっこうね、あれはもう、最後の方のヤマの…あ、中盤ぐらいか? カッコよく出たのよ、すごく。で「I am sexy」だと? 「この、嫌だな、この野郎」と思ったんだけど、フェイセスの頃のが好きだったから「なんか女に気ぃ使ってるような歌い方しやがって、この野郎」みたいなステージングもそうだったんだけど、でもまあ、一応カッコいいわけだ。ところがね、4曲目ぐらいから突然ね、エネルギーがプシュっとしぼんじゃったの。で、それは、そんでまあ、武道館で見てたんだけど。で、俺はまあ、アリーナだったから割と見えるんだけど、あれ、横のヤツほとんど見れないですよ、もう。つまり、ドラムの台まで下がっちゃって、もう座り込んで歌ってるわけですよ。もうやる気ないわけですよ。もう5曲目から。で、テレビ中継も全部入ってるのに、アンコールもしないわけ。で、最後までずーっと情けなくもう、それは素、そのものですよ、ずばり。つまり歌うというこう、カッコいい顔あるじゃないですか? これ、顔、作ってるわけではないんだけど、つまりこう、真剣にこう、歌ってる、歌ってしまってる感じの世界のが、必然的に出来る顔ってあんじゃない? そうじゃないわけよ。完全にこう、こんな、こんな顔して歌ってるわけ。で、声も出てない。で、メンバーもう、もう、一生懸命まあ、気を使ってるわけ。「どうしたの? ロッド。どうしたの? ロッド。どうしたの? ど・う・し・た・の・? どうしたの? ほら、ほら、ほら!!」っつってんのに、もうダメなの。ずーっとこうなのよ。で、これは何が原因だったんだっていうんで、関係者から後で聞いたわけ。で、そしたらたまたまその、てめぇが連れてきた彼女。と、これは話は最初の方に戻るんだけど。

小室:
最初の戻っちゃう。最初の方ですね。

泉谷:
いやいや、その、てめぇの彼女。てめぇの彼女がまあ、センターで彼がバッて出てきた時に、「ロッド!!」とか言いながらバチッとカメラを、フラッシュを焚いちゃったらしいんだ。その瞬間からなんだって。

小室:
うーん、それはわかんないですね。

泉谷:
だから、それはわからないんだけど、結局。

小室:
嫌だってことですか? 

泉谷:
うーん? おそらく素に戻っちゃったりなんかの瞬間なんじゃないかな? つまりステージというものは、親も恋人もクソもないじゃないですか。 

小室:
ええ。

泉谷:
つまり、自分の恋人も自分の家族も全部、客じゃないですか? こういっちゃあなんだけど。例えばステージで盛り上がってて、お袋出てきたらどうする? なんかガクッときません? 

小室:
そうですね。

泉谷:
だから、そういうことなんだろうな、と思うね。だから、周りにはカメラをおさえといて、つまりフラッシュ焚くなと言いわしといて、彼女がおそらくそういうことを。つまりスタイリッシュな、おそらく絵心があったんだろうと思うんだよね。それをなんかの拍子で、彼女のフラッシュによって戻っちゃったんだろうかね? 何かが。魔法がとれちゃったみたいな。だからね、それを聞いた瞬間ね、てめぇの女をステージに連れてくんのはやめようと、なんだかわかんないけど。いや、私は手、振っちゃったりなんかするかもしんないですけど。何が原因でその、まあ、それだけが原因じゃないのなもしんないけど、ただ如実にそれなのよ。

小室:
でも5曲目からそれっていうのはね、もう一回、普通だったら戻ったりしてね、ちょっと休んできたりして復帰するとかありますけどね。

泉谷:
それもオン・エアまあ、してたんですよね。で、それを俺、ライヴで見てまたテレビでオン・エア、それの日にしかさ、あの、権料くれないもんだから、それが結局流れちゃったわけよ。で、それをまた見たんだけど、やっぱり原因がどうもそれ。だから、うーん、例えば彼女をさ、プロデュースする、また元に戻るけど。

小室:
はいはい、あ、そこにいく。はい。

泉谷:
彼女をプロデュースする時に、それ、彼女なんだけど、そう素に戻らん? 大丈夫? そこで。

小室:
ああ。えぇ? そうですね。まあ、自分でも初めてですから、そういうケースは。

泉谷:
なんだかなぁ? あ、そう? 羨ましいから、なんとか落としてやろうかと思ってるんだけどね。この野郎、落ちねぇなコイツ。

小室:
そうなんですよ。だからわかんないですけど、ただね、あの、なんていうんですかね? その、他のその、女性の歌手でもちろん曲とか作ってますよね? そん時に擬似的にそういう気分になって、一生懸命作る気持ちになる時はあるんですよ、もちろん。まあ、その人が一番になってもらわないと、っていう気持ちに入り込むっていうか、そういうふうにする時あるんですけど。いや、俺ん中では、それが本当にそのまんま擬似じゃなくて、本当になっちゃっただけなのかな? って思ってるんですけどね。

泉谷:
だから例えば、そのねぇ、まったくぜんぜん別な例だけど、当然、小室哲哉のプロデュースに乗ってタァーッとこう、彼女が出て、綺麗になって、可愛くなって売れてくもするだろうし、同時にまあ、腐った芸能界だから、平気でその、ナンパしてくるヤツだっているわな。だから俺あたりが「おい、ネエちゃん。今夜どうだ? おめぇ。小室もいいけど、俺もいいぞ」みたいな迫り方されたら…。おまえ、こんな例えあってどうすんだよ? おまえ。どうでもいい例えだけど、華原は大丈夫か? 華原は。だから、そういうの信じたいじゃない? 恋人だったらさ、そういう誘惑には大丈夫だよと。

小室:
まあ、そこまでは考えてないですけどね。どっちかっていうと、うん、考えてないっス。

泉谷:
考えてねぇわなぁ、んなこたぁな。

小室:
いやいやあの、日本のもちろん芸能界とかそういうのはあの、多分、新聞とかにも書いてあんですけど、その公私混同って言葉が要するに「良し」「悪し」っつったら、「悪し」の方のこととかで取り上げるでしょ?

泉谷:
まあ、そうだね。    

小室:
で、それがまあ、わかんないっすけど、一緒にすんなっていうかもしれないけど、ハリウッドの映画スターとかも、例えばブルース・ウィリスとあの、ゴーストの人とかああいうね、スター同士がとか。

泉谷:
名前、忘れたけどな。

小室:
だから例えばですけど。で、まあ、あの、なんでしたっけ? あの人もそうですよね? ニコール・キッドマンとトム・クルーズとか。

泉谷:
ああ、トム・クルーズもそうだな。

小室:
で、なんかああいう人たち、僕なんかからすれば、うまくいってて欲しいんですよ。

泉谷:
そうだね。

小室:
ひたすら。もう越したことないと思って。

泉谷:
別れんのも早いけどな、向こうは。

小室:
早いですね。リチャード・ギアの人とか別れちゃいましたよね。

泉谷:
もったいねぇな、シンディ・クロフォード。いいねぇ。ただ、横顔がアンナみたいで嫌だな、あいつ。どうでもいいか? どうでもいいか、そんなことは。

小室:
どっちが怒るかちょっとわかんないっすけど、それは。

泉谷:
だから、そういうこう、下世和なところはまあ、しょうがないとして、まあ、周りっていうのはその、自分たちが盛り上がってる以外はまあ、下世和ですよね。どうしてもしょうがないですよね、これ。

小室:
はい、それはしょうがないと。

泉谷:
ただ、今いったようにその、公私混同はいいと思うんですよ。私は公私混同がなさ過ぎだと思うんだよな。フジテレビの仕事でもいったことあんだけど、オーディション受けて。で、まあ、とにかくね、そのライヴやる前にその、外人のネエちゃん達がいっぱい来んだけど、紹介しても何者だかわかんないわけでしょ? こいつは。だからものすごく冷たいわけですよ。本当に。「何? こいつ」みたいに。「東洋のコックか? こいつは」みたいなさ、なんだかそういうヤツなんだよな。すごい冷たいんだけど、まあ、ライヴでなんだかの形で受けたとしよう。すごいよね、手のひらを返したような、あの大リーグの野茂みたいな、あの、手のひら返したようなあのリアクション、ね? あの、控え室にね、女が十人ぐらいダァーッと並ぶの。私かみさんと一緒でなかったら、全部、手、出してましたよ。

小室:
あれ? それ、それどこですか? 

泉谷:
ロサンジェルスの。

小室:
ロサンジェルスの? ロサンジェルスの女の人たちですか?

泉谷:
ほうよ。

小室:
じゃあ、アメリカ人のファンてことですね? 

泉谷:
すごいですよ、受けると。当たり前なのね、十人並ぶか? 日本じゃそれだけでもうフォーカスどこの騒ぎじゃないでしょ。「お、あいつ酒池肉林」とか言われちゃうわけでしょ。で、それが当たり前なんですよね。

小室:
ちなみに何でそんなに受けたんです? 

泉谷:
ライヴ・パフォーマンス?

小室:
その瞬間ていうのは? その、手のひらが返った時っていうのは、なんか謎ですね?

泉谷:
返った時っつうのは、うーん。やっぱ一人で、しかもあの、なんていうかまあ、アメリカをちょっと頭ごなしに叩きのめしてるっていうの? そうそう、ギター持って「馬鹿野郎!! おらぁ!」って感じで、その。

小室:
いつものスタイルで?

泉谷:
いつものノリで、バリンバリンで。その、あの、思ったよりね、あの、向こうはね、あの、最初のリアクションすごい冷たいんですよ。だからね、すごいやり甲斐があるんですよね。変にこう、よくみんな脳天気にワァーッと盛り上がってるようにイメージしがちじゃないですか? んなことはないですよ。ものすごい冷たいですよ。だから、日本みたいに馬鹿みたいにワァーッとこう、立ってたりしないんですよ。あの、日本てのはなんだか、タッで出てくるとアァーッ、なんもしないのにアァーッて立ってさ、「腰が痛てぇ」とかいってるでしょ? で、そうじゃないんだな。じつに「何者? こいつ」っていうのが、すごく厳しいですよね。あの、脳天気じゃないんですよ、決して。で、タァーッところが受け始めるとその、リアクションの反応とかあの、つまり「こいつはタダもんじゃない」とか「ちょっとこいつはイカれてる」とか「こいつはスゲぇ」とか思ったらオワァーッ!! だから、日本のお客ってのは、周りを見てワッて立ち上がるとこあるじゃないですか? 今こうやって乗っていいんだろうか? みたいな。「うーん? 周りはこういうふうに乗ってるから、よし! 立っとこう」みたいなさ、そういうところがあるじゃない? そうじゃないんですよ。向こうはもう、自分が良けりゃあ周りがどうであろうとそう。それがこう、グワァーッとこうなってて、まあその「この野郎」みたいなので、ずーっとやっつけてたんですよね。で、ガリガリガリッてやった瞬間に、受けた瞬間で、ネエちゃんがギャーギャー言い出して。で、こう、ドラッグとかこんなの持ってきて、やれだのなんだの。で、すごいモテかたなんですよ。だけど性病が怖いですからね、な、何を言ってんでしょう? 何を言ってんでしょうか? 私は。やっぱりね、外人に弱いというかですね、私はどうもね。何がアハハだこの野郎!! いや、なんか苦手じゃないですか? やっぱり日本人のがいいと思いません? こう言っちゃあなんだけど。

小室:
え?

泉谷:
いやいや、セックスするんだったらとかさ。小室にこれ聞くヤツはだろうな。

小室:
えぇ、僕は日本人の女性じゃないとダメですけどね。

泉谷:
綺麗だけどね、向こうの人ね。

小室:
あ、そうですか? 僕、小柄だし、大柄でしょ? やっぱり。

泉谷:
そうだねぇ。

小室:
全体的につくりが大きいですよね。

泉谷:
よく喋るよね、ほんでね。

小室:
ああ。 

泉谷:
その、疲れちゃうよね、その、ベッドにいくまでが、なんか。なんかすごい、地球上の問題まで全部話してからだから。なんかすごい話してからじゃないと「あ、そう、そこであなたはピュアな関係」とかわけのわかんないこと言われてさ「あ、そう」みたいなさ。その頃にこっちはこんななってますからね。それにアイツらはまあ、アイツらってこんなこと言うと、日米問題にいろいろこう、あれがすっと思うけど。

小室:
大丈夫ですね、それは。

泉谷:
酒もドラッグもその、量はハンパじゃないですよね。あの、あれ日本人、ついていけねぇよ。あそこまで食わないぞ、みたいな。

小室:
向こうのロックバンドの人、逞しいですからね。すごい肉体ですからね。

泉谷:
すごい食って、ビールはのべつまくなしだし、このなんだか鼻に入れるヤツは、スッスッとかもう、やりっぱなしですもんね。で、俺、慢性鼻炎だから効かねぇんだ、あんなもの、その。だから日本人てのはさ、ダメだな。蓄膿とか慢性鼻炎だから、なんだかただのトラックの運ちゃんになったみたいで、ただ目が冴えてるだけでさ、なんでもないっていうかさ。ほんで俺は寝たいのにさ、みたいな。ただ、こんななってどうすんだ、みたいなさ。なんなんだ? あれは。

小室:
なんなんだっていわれても。

泉谷:
なんなんだ? あれは。で、あんな、のべつまくなしにやるなっちゅうの!! そんで結局あんだけ買ってりゃあ借金も多くなっちゃうだろうから、それで外タレほいほい来てるんじゃないの? なぁ?

小室:
まあでも、基本的な体力はすごいですよね、かなわないですね。

泉谷:
ちょっと、ついていけない。あんなとこ、ついていきたくねぇ。嫌だ。その、恥ずかしい。恥ずかしいっちゃあ悪いけど、なにもあそこまで。だから俺たちはやっぱりあの、なんか、ささやかですよね? そういう意味では。

小室:
そうですね。あの、あれですねまあ、お茶じゃないですけど。

泉谷:
このぐらいでいいんだもんね。

小室:
なんかこういう感じですよね、それは。

泉谷:
だから、ささやかだし、好きな人とちょっと会えばそれでいい、みたいなところがあるけど、向こうはもう、全部やってもう、寝ないでしょ? ねぇ? で、自分の時間というものと、こう、公の時間の区別たるや、あるんだかないんだかわからないですよね。大体、靴、脱がねぇもんな、あいつら。靴、脱がねぇからよ、嫌んなっちゃうよ。どこが切れ間なんだかその、でもまあ、ただやっぱりその、勝負するっていうんじゃないけど、勉強するにはいいですよね。いいっていうのか、変な言い方だけど。客としてはそう、厳しいですから。で、その、なんか、やっぱりやりたくなりますよね、こう、むこうの前で。

小室:
え? それはいつの話ですか? 今のは。

泉谷:
これはもう7年ぐらい前になっちゃうんですけどね。

小室:
7年ぐらい前ですね。え? それからぜんぜんやってないんですか? 

泉谷:
あんまりやってないですね。まあ、救済やったり余計なことやっちゃったりしたもんだからね。だから、ゆっくり日本のイベント屋って状態になっちゃったもんだから。で、それでね、向こういってて受けちゃうとね、3年間ぐらいいろとかね。

小室:
長いですよね。

泉谷:
長いっすよね。

小室:
でかい国だから、3年ぐらいかからないと回れないんですよね。

泉谷:
そう。だから、そこまであの食い物で行きたくないなって感じがするしな。まあ、俺は冒険でいいんだなって思ってるから、例えば向こうで商業的な成功とか、なんかセールス的な成功とか、なんかね、そういうつもりでいくと、なんか姑息って感じしない? なんか。なんかやりたいからやるっていうだけで、なんかつまんないじゃんね。

小室:
いや、その、さっきのテレビの話じゃないですけど、最も向こうはそれのなんか、ハリウッドとかね、ショウビズの世界はそれの究極だと思いますから、そこにハマったら終わりですよね、でもね。

泉谷:
いやぁ、もっとすごい芸能界でしょうからねぇ。嫌だな。

小室:
それのぜんぜん逆がいいんですよね。

泉谷:
嫌だな。憧れねぇもん。だからその、芸能界のなんたらのしきたりとかさ、その、くっだらねぇな、先生とか言われてる演歌の馬鹿野郎とかよ。あの、まったくしょうがねぇよなあの、なんかお辞儀ばっかり立派でよ。そんでゾロゾロ、ゾロゾロ来やがって局長が迎えに来ないとか、楽屋がいいのがねぇと帰るとかさ、くっだらねぇことばっか言ってるじゃない、なんかさ。

小室:
あ、そうですか。

泉谷:
「今日は私、鰊食いたいの」とかなんとか言ったからって、局長が鰊のあのなんか、七厘ずっと持ってたとか、くっだらねぇだろ? そういうことばっかやってんだよ、演歌なんて。だからそう、なんか「出迎えの誰々がどうだ」とか。だから歌はまあいいとしてもさ、その体質。だって十人来るだろ? なんだか知んねぇけど。何人で来る? 

小室:
今日は3人で来ました。僕、入れて3人です。

泉谷:
いや、普通ですよね。できればね、そのぐらいで。で、音楽の時は? 

小室:
最近は演奏してない、テレビ自分でやってないんで、わかんないですけどね。

泉谷:
でも、それでもスタッフ入れて、まあそりゃ多くない。ライヴの時はしょうがない、多くなる。

小室:
うん、ライヴの時はしょうがないですね。

泉谷:
だけど、日頃ゾロゾロ歩いてないでしょ? 

小室:
ぜんぜん歩いてないです。だから撮られちゃうんですかね? 

泉谷:
ああ、そうか。俺、一人で歩いてるのに、ぜんぜん撮られねぇんだ。アッタマきちゃうな。

小室:
一人だからだと。

泉谷:
ぜんぜん女とも平気で歩いてるんだけどね。なんともなくて、親と子だと思われてんだろうな。父兄だと思われてる。こんな父兄がいたら怖いわい!! んなもの。チキショー、羨ましいな。一回もないんだよ、そういうの。

小室:
一回もないんですか? 

泉谷:
うん、話題もないんだ。

小室:
あ、そうですか? なんかで見たような気もするんですけどね。

泉谷:
嘘つけ!! ないよ。ないんだよ、寂しいよ、これも。

小室:
へぇー。いや、ない方がいいと思いますよ。

泉谷:
うるさい? やっぱり。

小室:
うーん、もう平気になりましたけど、けっこう、うん。

泉谷:
だけどこのぐれぇパァンと言っちゃうと気持ちいいやな。

小室:
気持ちはいいです、はい、もう。

泉谷:
な。本当に。

小室:
すっきりしてますよ、すごく。

泉谷:
俺もできたらそうしよう、できたら。あの、えぇありさはどうしてる? ありさは。

小室:
ありさ? 観月ありささんですか? 

泉谷:
こないだだっていろいろあったんじゃないか? あっちが好みなんだ。

小室:
観月さんですか? 

泉谷:
うん。

小室:
僕はほとんどだから、そういうアイドルの人は、大体作ってる形になってるんですよね。今だと内田友紀ちゃんとかですよね。え? 泉谷さんは観月ありささんが趣味なんですか? 

泉谷:
いいですね。一緒にプロデュースしてよ。そんなこといって、そんな動機不純で、「動機不純」てタイトルで。

小室:
何を言ってるんですか。やっぱあのスタイルですかね? 

泉谷:
うーん? わかんない。いいですよね、彼女は。

小室:
ふーん。

泉谷:
その、なんかこう、つまりこう、なんかつまんない日本人的なさ、ね? なんか慣習とかさ、ない子のほうがいいよな? その、まあ俺はそういう、おそらくそういう慣習とかそういうものを、ブッこわしたくてきたんだろう、ってところあるんだな、あそらく、気に入らないんだ。要するにその上下関係だかなんだかしんないけどよ、よくあの「テレビにもう、出れないようにしてやるぞ、この野郎!!」っていうんでさ。テレビおまえのモンか? っつうんだよ、この野郎。ふざけやがってよぉ。で、あの「CD出せねぇようにしてやる」今で言うと。だからやってみろっつうのよ、そういうことを。な? 工場、止めんのか? おめぇが。な? だから、そういうつまんないさ、のじゃなくて、なんかこう、なんか、俺はその、作ってる人間ってのは、多少ちょっと変わってるでいいと思ってるわけですよ。そういうサラリーマンの言うこと聞いてるような奴じゃ、しょうがねぇじゃない。変わり者でいいわけですよ。ねぇ? で、だから、そういう奴らの面白さ側ですよね、俺はね。

小室:
だから、ちょっとあの、スタイルは違うと思いますけど、僕もだからそういうのやってると思ってますけど、自分で。だからもう今日、突っ込まれっぱなしの件に関してだって、それも一つはあるとは思いますけど。

泉谷:
いや、なんかね、単純に今日はミーハーになっちゃったかな? って感じだね。なんか、なんか小室に聞きたくて、しょうがないね。今日は私が司会したって感じかな? 

小室:
あ、でも、なかなかめずらしい話を。

泉谷:
これはなに? 流しちゃった方がいいの? 流さない方がいいの? 

小室:
いや、流した方がいいですね。流した方がいいと思います。

泉谷:
流そうか? よし、流しちゃおう。よーし。でもなぁ、テレビっつうのはさ、調子こいてよぉ、「HEY! HEY! HEY! 」もそうだったけど、ブツ切りでよぉ。後で使うんだ、これが。

小室:
まあ、これも短い番組ですからね、30分ですからね。

泉谷:
いや、わかんないよ、そんなの。年末のなんだかNG大賞だか、わけわかんねぇ時に使って。TBSなんて3回ぐらい使いやがってっからな、あいつら本当に。印税よこせ、この野郎!! 本当に。

小室:
あの、あれ、ちょっと最後の方になっちゃうんですけど、泉谷さんの音楽の今の形、今後とかどうなんですか? スタイル的には、なんかこういうものやってみてぇなぁっていうのあります?  スタイルしての。まあ基本的なメロディラインとか、そのコード進行の泉谷さんのとかっていうのは、変わんないかもしんないんですけど。

泉谷:
どうもね、こう、音楽教育をちゃんと受けてないせいかね、なんかこう、完成された、完成しちゃうのが嫌だっていうところがあって、なんかこわしたくなるっていうかね、うーん? だから街頭でやったりなんかしてるのもね、そういうことなんだろうな、あれ。なんかね、なんかこう、ドキュメンタリーじゃねぇと嫌なんだよな。そんなドキュメンタリーじゃねぇ、なんだろうな? だから、つまり音楽が世の中にもう、無関係になっちゃうのが嫌だっていうか、その、なんかね。いや、社会的に関係あるとかね、そのメッセージ的にどうだとか、プロテスト的にどうだとか、そういう古臭いこと言ってるわけじゃなくて。

小室:
空気感みたいな? 

泉谷:
そう、空気感みたいなもので、なんかまあその、流行って、ヒットしてもなにしても、流行ってもいいんだけど、あんまり無関係に存在するんではなくて、なんかこの、だから、なんつったらいいかな? 自分のその、ガキの頃育ったものが「どうしても、この曲がないと今日は眠れない」みたいなのの興奮で育っちゃったようなところがあるんで、まあ、そういうものを一個でも二個でも作れたら幸せかな、とは思いますよね。

小室:
はい。

泉谷:
例えば、このいい曲を聴いたら、例えばジミヘンの曲なんだかわかんないけど、ビートルズのなんだかわかんないけど、一週間、おなか空いてても平気だった、みたいな。つまりそれはスタイルはどうでもいいと。フォークだろうがロックだろうが、そういうなんか素晴らしい曲を、一曲でも、どんな汚ねぇ手使ってもいいから作れたらいいな、とは思いますよね。その、自分にとってもみんなにとっても。「ああ、この曲で私は幸せ」っつうの? 

小室:
なんか、そういうまあ、あの、結果は、聴こえ方は完成形に聴こえなくても、なんか究極に完成形まで詰めてね、作る音みたいなのも聴いてみたいですけどね。

泉谷:
そう、だから、何年かかっても自分でそういうものを、本当に作れてるかどうかっていうのは、いつもうーん、なんか嫌だな。なんか、なんか嫌だなっつうか、なんか姑息なレコード会社のとか、スタッフの締切に合わせてるところがあって、なんかさ。

小室:
あ、泉谷さんにも締切あるんですね。

泉谷:
いやいや、締切ないとやんないですもんね。なんだ? 今の感想は。なんだ? それは。

小室:
あの、タイミングがこう、リリースのね、間隔とかが、もう好きな時にポッと出すのかなと思ってたんですけどね。

泉谷:
いや、そうしたいですよね。ただね、器用にやっちゃうところが、自分にとっては良くないと思いますね。もっと困らしてやればいいんだよね。

小室:
あ、これ以上? 

泉谷:
いや、えぇ? えぇ? 充分困らしてるかね? 

小室:
わかんないですけど。

泉谷:
困らしてるかね? まあでも、今日はなかなかね、なにげなく話できてよかったからさ、取り止めなくてすいませんでした。

小室:
もう非常に。

泉谷:
いやいや、やはりこの番組、これだからね、まあ、音楽もそうだけど「ああ、こういう番組出てよかったな」とかね、そういうふうに思える数がいっぱいある方がいいよな。うん。そうやってこれ、めずらしく自分から「出させろ出させろ」と、うるさくこう。で「小室がビビるからやめろ」って、なんか言われたんだけど。

小室:
いや、恐がってましたけど、僕は。

泉谷:
いやいや、わかるような気がする。俺が司会者だったら断るもん、絶対。………謙遜だよ!! どうも。

小室:
どうもありがとうございました。

泉谷:
どうも。


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