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NON EDIT TALK : 小室哲哉★渡辺美里


小室:
こんばんは、小室哲哉です。えぇとですね、ロンドンにはよく行くんですが、今年はまだ一回も行ってないので、来月ぐらいにはね、そろそろちょっと行かなきゃいけないなと思って予定しているんですが、ええ、この番組もですね、10月になって僕がロンドン行っちゃったら、ロンドンでやるんでしょうか? ちょっとわからないですけど。えぇと、今日はですね、女性のゲストで、ええ、女性のゲストですが。

渡辺:
はい。

小室:
もう、あまりにも古くから知っている方なんで、なんかこうやって紹介するの、もしかしたら初めてかもしれないですね、テレビでなんてね。

渡辺:
そうですね。

小室:
当たり前ですね、僕がこんなことやってんのも初めてなんでね。

渡辺:
それもびっくりしましたけど、お邪魔します。

小室:
渡辺美里さんです。

渡辺:
こんばんは。

小室:
どうも。

渡辺:
どうも。

小室:
一体、いつからお会いしてないんでしょうか? っていうぐらいですね。

渡辺:
かなりですね。すっごい久し振り。まあ、小室さんの………、小室さんのっていうのは、すごい照れくさい感じで。

小室:
まあ、哲ちゃんでいいですけどもね。

渡辺:
哲ちゃんでいいですか? 

小室:
はい、いいですよ。

渡辺:
いやぁ、あの、でもね、あの、最近の小室さんファン、哲ちゃんファンの人たちは、「美里さんと小室さんてのは、どういうつながりなんですか?」とか「どういう関係なんですか?」っていうふうに、けっこうね、くるんですよ。

小室:
え? 美里のファンで? 

渡辺:
私の直接、私のファンの人たちは、哲ちゃんとの仕事の内容っていうのは、知ってる人が多いけれども、そうじゃないところの人で「なぜ小室さんを哲ちゃんと呼ぶのですか?」って。「あ、そういうふうに言っちゃあ、いけないのかしら」なんて思いながらも、やっぱり哲ちゃんは哲ちゃんだなっていう。

小室:
そうですよね、そんなのは。そう、あのまあ、もう世代がね、けっこうこの十年でね、もう十年、十年てもう、今年はよく言われてると思うけど。

渡辺:
そうですね。すごく言われる。

小室:
でも、とは言っても十年の中で世代が、いろいろな世代の人が入り混ざってるでしょ? ねぇ。だから「My Revolution」リアルタイム派っていうか、オンタイム派とさ、結局、後からなんか再放送でドラマで見て聴いたとかさ、も、あるし、美里の最近のコンサートだったりとか、こういうベストアルバムとかね、そういうので聴いたりとかいう人で「あ、そうなんだ」とか思う人もいるだろうしね。

渡辺:
そうですね。

小室:
一曲とっても、かなりそういうふうに世代、別れちゃうんじゃないの? 

渡辺:
うん、そう。で、「My Revolution」が私のデビュー曲だと思ってる人が、かなりいて。

小室:
ああ、そうだね。

渡辺:
けっこう後ですよね? 

小室:
うん、そうなんですよ。あそこに行き着くまで、けっこういろいろ試行錯誤して。

渡辺:
うん。いっぱい曲も書いてもらったし。

小室:
「こういうのが合ってるのかね?」とかね、みんなで話し合いしながらやってましたからね。あのね、僕、最近こう、思いだすことは、けっこうやっぱあって、いろいろ。最近また、思いだしててね。あの「Teenage Walk」は、どうやって作ったんだっけかな? とかね。

渡辺:
うん、そういうオファーが多いんじゃないですか? 「My Revolution」とか「Teenage walk」とかっていう曲、ああいう。

小室:
うーんとね、オファーはねあの、逆に最近はなくなる。あの「My Revolution」のヒット、美里がヒットして、あの後は多かったけど。「My Revolutionみたいな」っていうのは多かったけど、あの、最近、自分で、自分自身であの頃どういう思いで、ああいう曲は出て来たんだろう? とか振り返ることが多い。

渡辺:
ああ、本当に。なにせあの、T.Kさんになる前、T.M.Nになる前。

小室:
TMネットワークの時ですか? 

渡辺:
の時からの、まあ、お知り合いというか、付き合いですね。

小室:
そう、結局ですね、あの、今年もう、ずーっと渡辺美里さんデビューして10年ていうのがあるけれど、僕が美里を知った時は、まだデビューしてなかったわけだから。

渡辺:
そうですよね。

小室:
要はもう、11年くらいになるわけでしょ? ね?

渡辺:
だって17歳の終わりぐらいから、18歳になったばっかりぐらいの時ですよ、だから。

小室:
そうですよ。

渡辺:
なんかすごい、昔話で、お爺さんお婆さんみたいなってきちゃった。

小室:
このままいくと、昔話で終わっちゃうんですけどね。

渡辺:
し出したらすごいですよね。あの、T.M.N誕生の秘密から、渡辺美里デビューの秘話まで、いっぱいあるでしょうけど。でもね、哲ちゃんの曲はね、やっぱわかる。

小室:
あ、そうですか。

渡辺:
あの、ぜんぜんフルで聴いたことがない曲でも、パッてテレビから流れてくるでしょ? こう、鼻唄まじりに歌ってたら、歌えるんだよね。

小室:
ああ、それ、同じだっていう?

渡辺:
そういう、また。そういうんじゃなくて、ああ、やっぱりなんかこう、体に入ってくる。

小室:
いや、もう、読めちゃうんですね、わりとね。

渡辺:
いや、読めちゃうっていうよりも、だから、染みついてるメロディのなんか感じみたいのがなんかあるんだろうなと思って。で、パッて聴いてても「ああ、これきっと哲ちゃんだな」と思うと、そういうふうに、クレジットされたりとかすることがあって。

小室:
あの、本当にね、でも、美里の仕事をさせてもらった時、最初のあの頃っていうのが、僕のやっぱり今のね、こう、プロとして仕事してるでしょ? 今、っていうののなんか、基盤なんですよ。だから、TMネットワークっていうのはさ、やっぱり、やりたいことをやるために作ったものじゃない? 別に、美里はやりたくなくてやってたわけじゃないんだけど、ただ、あれは初めて僕がこう…。

渡辺:
他の人に曲を書く? 

小室:
仕事としてしっかりと、あの「こういうアーティストがいるから、この人を作って、一緒に協力して作っていきましょう」というとこでやった初めての人だから。あの、プロデュース、TMネットワークもプロデュースというクレジットされててもね、なんかそういう、責任をしっかり持って楽曲を提供するっていうのは、やっぱり美里が初めてだったから。

渡辺:
ああ、そうか。

小室:
あの頃のなんかこう、使命感みたいなのがね、多分、今も仕事しててもね、そういう同じなんか、そういう気分もってるのね。あの、だから、けっこう初めて任されたこと多かったわけ、あの頃。オープニングでコーラスを。

渡辺:
だって今年、十回目の西武球場やらせてもらったんですけど、すごいですよね、今もまだ。一回目のメンバーってのが、キーボード小室哲哉。で、ほかのメンバーたちも、もう今やいろんなところでね、大活躍の人たちばっかりで、もう一人シミズノブユキさんとかね、サハシヨシユキ君とか。そうそうたるメンバーと、最初からお仕事できたっていうのは、すごく私は人に恵まれてたな、っていうふうに思うし。あと、アルバムもね、コーラス、ア・カペラ・コーラスを。

小室:
うん、そうだね。あれ、デビューアルバムの一番最初の部分を任せてもらって、こう、一緒にね、作ってったりとかしたし。

渡辺:
いまだに憶えてます私、スタジオで。

小室:
そう、祐天寺のスタジオですよね? 

渡辺:
そうそうそう。いいのかな? Somewhere Studioっていうところで録ったから、「Somewhere」っていうタイトルにしたんですよ。

小室:
あ、そうなんだ? そうなんだよね。

渡辺:
で、一個、一個こう、音を積み重ねていって、なんかやりましたね。

小室:
いや、今から思うとね、ちょっと「いや、もっとよく出来たのにな」とは思ってるんだけど。

渡辺:
あ、そうですか?

小室:
あの時は精一杯だったからね、あれがね。

渡辺:
うん、でも、すごく、あの時しか出来ないなんかこう、ものをカッととらえたっていう感じが、自分でもしてますね。

小室:
まあね。もう本当にですね、そこらへんは基盤になってるんですよ。だから、やっぱり、まあ、あのコサカさんがやらせてくれた、っていうのもあるんですけど、すごく大きかったね。デモテープね、あの、一曲、美里に聞かせるためのデモテープに、三日ぐらいかけて作ったからね、本当に。

渡辺:
ありがとう。今、他のレコード会社の人とかが聞いたらもう「なに?」って、興奮ですよね? スケジュール三日もデモテープのために割いてるっていうふうに。   

小室:
もう、ずーっとひたすら、そういう感じで作ってたから。

渡辺:
そうですよね。

小室:
楽しかったっていうのもあるけれどね。

渡辺:
うん、だから、音楽の世界自体もう、80年代後半で、なんかロックだとか、ニューミュージックだとか、ポップだとかっていうことが、なんかこう全部、ゴチャ混ぜになって、なんか面白くなりそうだぞっていうのの、すごい蠢いてた時代で、で、そのあたりでなんか、歌を歌うっていうことと、いい楽曲を提供してくれる人っていう、なんかすごい、面白い関係ができ始めた時期で。

小室:
多分、あの、そう。ちょうどね、いろんなね、規制がはずれたっていうか、ジャンル的なものがはずれた時期だったと思いますね。

渡辺:
そうですね。

小室:
だから、あの、美里っていうのでビジュアルがあって、だから、こうだからっつってこういう音楽じゃなきゃいけないっていうのはまったくね、なくて。

渡辺:
なんでもやれましたよね。

小室:
すごい自由だったのね。

渡辺:
だから、哲ちゃんの中でも、あの、前にお話ししてくれたことがあったんだけど、わりと自分の中ではプロになるよりももっと前に、本当にメロディっていうの作り始めてた頃『君に会えて』とか。で、「君に会えて」っていうのはデビューアルバムの「Eyes」中のに入ってるんだけど、わりと最近のアルバムの中に入ってる「I wish」っていう曲、あの曲と「君に会えて」っていうのは、どこか匂いが似てるところがあって、メロディがすごくこう、朴訥としてるっていうか、哲ちゃんの中で、すごく初期の頃に作ったメロディだから。

小室:
そうですね、中学3年だから。

渡辺:
ね、すごい、それを聞いて。

小室:
「I wish」っていうのは中学3年の時ですよね。

渡辺:
すごいでしょ? 中学校の時作ってくれた曲があって。

小室:
そうですね。

渡辺:
今でもみんな大好きな曲で、「君に会えて」なんかね、あの、西武球場の時にね、あの、私が衣装チェンジをしてる時に、曲のインストを流したんですよね。そしたら、4万人がね、みんなこう、歌ってくれたの。もう、そういう、ちゃんと作ってるものっていうのは、年代とか、その時代とか関係なしに、ああ、沁みてくるもんなんだなと思ってなんかね、えらく感激しちゃった。

小室:
だから「君に会えて」とかは、いまだに好きですね、僕、個人的にも。すっごい好きな曲ですね。

渡辺:
「I wish」っていうのがまた、ちょっと今までの詞の世界とは変えて。

小室:
うん、そうだよね。

渡辺:
極端な話こう、フォークソング的な詞の世界を繰り広げたっていうか、それはまた曲にすごいマッチして。また新しい世代の人たちが、すごい好きだって言ってくれてて、うん。

小室:
だから、そうだね。ずいぶんそういう意味では、なんかえぇとこう、なんていの? 商業ベースに乗ったもんじゃなくて、自分の中で「これはどう? これはどう?」っていう感じでね、その、昔からひっぱり出したりとか、ちょっと聴いた好きな曲を自分で考えて、こういう感じでやってみたいとか、いろいろね、本当、やらせてもらった時期だったと思うんだよね、すごく。

渡辺:
そうですね。まあそれが、ものすごくいい形でなんか、フワッと気流に乗った感じがありますよね。

小室:
でもね、なんか、あの頃はっきりいってもう、歴然とした差でTMのほうが、ぜんぜん売れてなかったわけですよ。もう本当に、それはそうなのね。で「美里さん、次のシングル、シングル」って出さなきゃいけなかったりしてて、で、憶えてんだけどね「My Revolution」がドラマの主題歌で、で、「Teenage walk」がですね、あの、全日空のね。

渡辺:
ああ、そうでしたね。

小室:
あの、沖縄のCMソングじゃなかったっけ? 

渡辺:
ううん、北海道。

小室:
北海道? ぜんぜん憶えてないね。

渡辺:
うん、でも、もうとにかくね、あの頃はね、なにがなんだかわかんないぐらいに仕事、今の小室さんほどじゃないでしょうけど、メチャクチャ。

小室:
忙しかったでしょ?

渡辺:
もう、なんか、忙しいっていうの通り越した感じだったから。

小室:
いや、僕たちがのんびりね、こう、見送ってたのよ。レコーディングしてるスジオいて「美里さん、出なきゃいけません」とか言われて「あ、いってらっしゃーい」って感じで「作ってるから」っていう感じでいて。で「今度、いつ帰ってくんの?」みたいな感じで、で、それまでに作って。

渡辺:
なんか、浮気な亭主みたいに「いつ帰ってくんの?」って。

小室:
そういう感じで、で、また、そうやってしばらくするとコンサートがあって、で、ドラマのまた、主題歌がやらなきゃいけないとかっていう感じだったし。で「ああ、こういうの、売れてるっていうんだな」とか思ってたのね。で、体感しましたね、あの時にね。

渡辺:
私、ぜんぜんわかんなかった、逆に。

小室:
うん、多分、俯瞰で見てるから、っていうとこもあったかもしんないけど。

渡辺:
そうかもしれないですね。

小室:
すごいめまぐるしかったね。

渡辺:
うん。でも、なんかそういう、滑走路ガーッと行くスピードがあったからこそ、なんか自分のやりたいことが、いっぱい。その頃からでも、恵まれてたのは、いやなことっていうの、やらずに済んだっていうか、もちろん出会う中で好い人ばっかりじゃなくて、なんか、腹の立つ人とも出会ってきたかもしけないけれど、でも、自分の仕事としてやりたいことをいっぱい、思う存分やってきて今があるっていうことは、とても恵まれてたなぁってふうに思いますね。

小室:
なんか、僕だとやっぱ、どうしてもね、印象がその、最初のデビューしてから何年、まあ、半分ぐらいかな? 4年、5年ぐらいの、強烈な印象が強い、まあ、そっちのが強烈でね、どうしても、すぐそこに戻っちゃうんだよね、自分の中ではね。

渡辺:
でも、変わってないと思う、私。「この十年で、どう変わりましたか?」とかね「なにが変わりましたか?」とか、いろいろ聞かれるんだけど、辿っていけば、そこになんか、うん、「eyes」の時の私があったし「君に会えて」っていう時の私がいて、そっからもうなにも大きくね、いろんな人と出会って、いろんなこう、勉強したりとか、影響されたりしてるんだけど、でも、基本的にはね、なんかこう、自分を形成させてるもの、なんか、なんにも変わってないって思ったら、この十年、何をしてたんだろう? って逆に思うし、逆にだから、やっぱりデビューした時から自分であった、あれたんだろうなっていうふうにも思うし。

小室:
まあ、そうだろうね。

渡辺:
小室さんもね、でもね、あの、最初から今の哲ちゃんがいましたよ。だから、楽曲を書いてくださるっていうことだけじゃなくて、いつもその、俯瞰で見てて、で、すごく面白がって曲を作ってくれてるのと同時に「こういうのはどう? ああいうのはどう?」っていう、プロデュースの目線ていうのが、今でこそプロデュースっていう言葉が、すごくお茶の間に浸透してるのも、哲ちゃんの影響だとも、すごく思うし。で、初めて私がニューヨークに行った時、レコーディングした時に、ちょうど「Come on Let's dance」とかの時に、同時期に行ってて、で、私は初めての海外で、知恵熱出ちゃって、もうスタジオだけで精一杯で、どこも行かずにいたんだけど、哲ちゃんはね、もう、さっそくディスコに。今の偵察に行ってるわけじゃないですけども。

小室:
行ってましたね。

渡辺:
その状況を把握しにディスコ毎晩行ってたもん。

小室:
エピックの人とね、行ってて。

渡辺:
そう、行ってて。

小室:
その日、全部、ゲイ・ナイトばっかりでね、もう、ゲイ・ディスコしか行けなかったんですよ。「ニューヨークは男しか行かないんだ、ディスコ」と思ったぐらいでね、あれ、初めてなの、ニューヨーク、僕も初めてだったのね。

渡辺:
あ、そうだった?

小室:
あん時ね。

渡辺:
「ものすごいカッコいいのができた」っていって「Come on Let's dance」をね、聞かせてくれて、コーラスも、もう入って、サックスとかももう、バリバリに入ってるの聴いて「ああ、いいね」ってなんか、熱にうなされながらスタジオで聴かせてもらって、で「どこいくのかな?」と思ったら、なんか「ディスコに、ちょっと行ってくる」とかいって。

小室:
ゲイ・ナイト行ってたと。

渡辺:
そう、ゲイ・ナイトに行ってたっていうね。

小室:
あ、そうでしたね。

渡辺:
その頃からだから、市場調査みたいなものを、ちゃんとリサーチして、で、また自分のところに戻して。で「ファンクス」とかって言いだした時も「ふーん」とかって思いながらあれしてて。

小室:
なんかTMマニアですね、けっこうね。

渡辺:
まあ、悪いけど86年、87年、88年で、ラジオでTMの曲を一番かけたアーティストは私だと。

小室:
そうですね。

渡辺:
自負しております。

小室:
そう、もうラジオ・パーソナリティーと言えばあの頃はね、一番、美里がね、よくやってたからね。

渡辺:
なんか、ぜんぜんやったことなかったのに、やらしてもらってて。で、すごい時は、週に5回、5本ラジオをやってて。「なんでかしら? こんなに喋るのが苦手な私が、なんでラジオやってるんだろう?」と思ってたけど、どっかでそこでまたなんか、いろんなものを勉強させてもらってたと思うのね。だから、ものすごいハードで倒れちゃった時に、哲ちゃんにピンチヒッターやってもらったことありましたよね?

小室:
ああ、ありましたね。そのへんもありますね、いろいろね。

渡辺:
いまだにそれ、すごい憶えてますね。

小室:
そうなんですよ。まあ、あの時期、まあ、あれはね、大袈裟に言えば日本のロックみたいなもので、多分もう、確実にね、形になった時期だと思うから、すごく。あの頃活躍しといてよかったなっいう感じしますよ、本当。

渡辺:
そう。

小室:
あの中に名前入ってますからね、僕たちはね。

渡辺:
そうですね。

小室:
いろんな人いますけどね。

渡辺:
でも、止まれないね、きっとね。この仕事って思うけど。

小室:
でもほら、美里なんかアルバム出して、ツアーやって、充電期間っていうか、なんていうかわかんないけどこう、お休みやっぱりするでしょ? やっぱりこう、ローテーションみたいのが、自分の中であるのかな?

渡辺:
うーん、あるようで。

小室:
あ、でも、ないか? すぐやっぱり、もう次のこと考えなきゃ。

渡辺:
もう、次のものを作りたくなってくるし、自然とそういうふうに瞬間に「次はどうしょう?」とか、外に向かって発しながら吸収するっていう術を、知らないあいだに身に付けてたっていうところがある。だからもう、ドーンと一年半とかね、充電しまーすとかっていうことは、いまだかつてやったことないですね。でもなんか、止まれないような気がして、ずーっと。

小室:
充電といってもまた、やっぱもう次へ。

渡辺:
どっかで神経、働いてません? 

小室:
まあ、そうですね。

渡辺:
遊んでるっていいながらも、なんか。ある時期ね、哲ちゃんがね、カラオケにハマってたことがあって、で、聞いたことないですよ、小室さんが歌ってるのをね。でも、カラオケが流行ってるんだっていう話をしてて、で、その後に、それが直接的に結び付いてるかどうかわからないけれども、たくさんの人たちが「自分たちも歌いたい」と思うような楽曲を、それイコールまあ、踊れて歌えてっていうものを、多分、哲ちゃんが提示したんじゃないかなぁって気がする。

小室:
そうですかね? 

渡辺:
だから、遊びがそのままね、発展形で生かされてるところ、すごくあるような気がするけどな。

小室:
なんかもう、まあ、ほとんどお母さんのように、いろいろ。そんなことない?

渡辺:
やーだ、なにそれ? やめてよ。

小室:
もう、本当に。

渡辺:
なんでも聞いてください。あの、どの視点から小室哲哉さんを語ればいいのか言ってくだされば。

小室:
なんかもう、はっきり、そろそろ委ねだしてますね、もう今。

渡辺:
哲ちゃんに?

小室:
話ね。話、美里さんにもう、委ねて。

渡辺:
だから、一時期ね、哲ちゃんが「美里、ダンスチューンを、もうバリバリのダンスチューンはやらないの?」っていって。

小室:
ああ、いってたね、ずっとね。

渡辺:
それは「やれば?」って言ってるんだろうな? と思いながら。

小室:
うん、まあ、言ってた時代あったかもしれないね、そういうふうに。

渡辺:
ただ、踊ってすべてを解決してしまうよりかは、やっぱり私「歌の方が好きだしなぁ」とかって言いながら、ああ、じゃあ、それをまた、別の形で、ちがった形でやってるんだなぁって思うことがあって、根っからだからこう、プロデュースするっていうのは、きっと哲ちゃんの中にあるものなんだなぁって。最近はどうですか? 歌詞までもう、御自分で。

小室:
いや、もう、歌詞は本当は、渡辺美里さんの影響、大ですよ、本当に。見ててわかるでしょ? でも。

渡辺:
うん。

小室:
本当に。あっさりわかるでしょ? 

渡辺:
あっさりわかる。

小室:
ねぇ? 本当ね、それはありますよ、うん。

渡辺:
でも、ていうかキーボード叩いてるんじゃなくて、鉛筆を持ってる姿を見たのはね「Love Train」か、あのあたりですよね? T.M.Nの頃。

小室:
まあ、本当はデビューシングルから書いてるんですけどね。「金曜日のライオン」は、僕が詞、書いてるんですけど。

渡辺:
ああ、そうか、そうか。

小室:
まあ、書いてることは、書いたんだけどね。まあ、でも、趣味の域だったな、なんか。

渡辺:
それまではね、そんなに「Love Train」を書いてる時に、ちょうどスタジオが隣同士で、私、どっか出掛けながらね「じゃあ哲ちゃん、お先に」っていって覗いた時に「哲ちゃんが鉛筆を持っている」って、すごくインパクトあったのね。で、その後に出てきたのが「Love Train」っていう歌で、なんかあの、ギリギリな感じがね、うん「なかなかいいなぁ」って思って、それまでTMの歌で「詞がいい」とかその、詞の方を重視して見たことがなかったから「ああ、なんか面白いな」とかって思ってて、で、もう今や。

小室:
いやいや。

渡辺:
いっぱいもう、なんか。うーんと思って。

小室:
いや、必ず、今でもちゃんとあの「詞はどうすんですか?」って聞くんだよ、あの、そう依頼される人に。だから一応、自分はこう、開けてあるつもりでね。

渡辺:
あ、そうなんだ?

小室:
うん。「じゃあ、詞も曲もやりますよ」っていってるわけじゃなくて。

渡辺:
あ、そうなんですか。いや、もう、てっきりそういう、アレになってるのかと思った。

小室:
だからもう「あ、詞はこれでお願いします」ってきたら「ああ、じゃあこれに付ける」っていうスタンスはあるんだけどね。なんとなくちょっとこう、イメージでそうなっちゃってるだけで。でも、もちろん曲の方がぜんぜん楽しいし。

渡辺:
あ、本当。

小室:
うん、もう、苦しいよ、詞は。厳しいっすよ、もう本当にね。

渡辺:
そうですね。

小室:
でも、あの頃のそういったなんか、なんていうのかな? 美里が女の子側だったり、男の側から、いろんな角度から見る一つのテーマがあったとしたら、あの時、こっちから見てたら、僕、こっちから見て見れるかな? っていう、なんかその場にいたから。違うところの場所から見るようなね、術は今、使ってるのかな? って思ってるわけ。なんのテーマでもわかんないんだけどさ、うん、なに言っても、出会いだとしたらね「出会いのことを、あの時、美里はこっちから見て書いてたろう」って時に違う方からね、っていうのを、今やってるだけだと思うんだよね。

渡辺:
こんなことを言ったらそう、おこがましいんですけどあの、えぇと、浜ちゃんの歌ってる。

小室:
「WOW WAR TONIGHT」ですか?

渡辺:
うん。歌詞なんかは「ああ、哲ちゃん、やるじゃん」とか思って。「っぽいじゃん」と思いながら。

小室:
おこがましかない、もう、うれしいや。

渡辺:
すごいなんかね、あの詞は「ええ感じやな」ってすごい思って、うん。また、歌ってる人のキャラクターと、そのなんかこう、アッケラカンとした歌ってる方のキャラクターの、だから、表に出てる部分の逆のベクトルの部分が、すごく出てるような気がしたりなんて、分析家ではないんですけど、すごいなんか「いいなぁ」って、うん、思いました。

小室:
ああ、どうもありがとうございます、本当に。

渡辺:
それはだから、たくさんの人が口ずさんでるのって、哲ちゃんが十年前から先を見てたことが、形になってんだなって思って、なんかすごいなって。

小室:
なんか、照れますね、メチャクチャ。

渡辺:
なんか、友達面してすいません、て感じなんですけど。

小室:
いや、そんな。いやもう、キャリアはまったく一緒なんで、もう。

渡辺:
いやいや、ねぇ。

小室:
そうですか。今、僕、ずーっと頭の中にちょっとなんか「東京」って曲が今、頭に鳴ってるんですけど。

渡辺:
あれも、すごい変化の時期でしたよね? 

小室:
あれはもう、メチャクチャ。

渡辺:
TMというか、哲ちゃんがプログレッシヴな部分を、自分の中で最もこう、流行ってたっていうか「こういうのも自分の中にはあるよ」っていうのをバァーンと出して。

小室:
そう、強気な、うん、なんか提案だったからね。でもあれの、あの詞も僕はすごい影響受けてるし、あそこらへんの詞、あのアルバム。ああいったなんか、男の人と女の人の話だけじゃなくて、基本は男と女の話でも、それを取り巻くなんかそういうものをね、もう、書くっていうことにね、すごくインパクトあったしね。まあいろいろ、思い出せば思い出すほど「ああ、ああ、あれが今、ここになってんだな」とかいうのは、たくさんあるよ、それは。

渡辺:
「JUMP」っていう。

小室:
なんかうん。混み合ってますね。

渡辺:
混み合ってますね、もう。たまに会ったもんだから。

小室:
誉め殺し。

渡辺:
最近もう、なんか頑張ってるのが当たり前になっちゃって、あまり誉めてもらえなくなったでしょ? デビューの頃とかは、哲ちゃんはそうでもないかな?

小室:
いや、うーん。いやまあ、あのね、言ってもらって、素直にはやっぱり喜べないよね。

渡辺:
うん、そうそうそう。そうなんですよ。

小室:
なんか、ありがとうって言っていいのか、いや、そんなことないよって、どう言っていいのかわかんない。反応どうしたらいいのか、すごい難しい、今。今みたいな話っていうのは、本当に事実、その時があったから、まあ「そうだね」ってなんかね、うれしいけどね。

渡辺:
そう、あの、「JUMP」っていう曲も、もう、聴いてもらったらわかると思うんだけど「これぞ哲ちゃん」っていうようなイントロ♪タタ、タ、タ、タ〜って始まるので、もう明らかに曲が先にあって、ああ、でもね、もうオーディエンスも見えたし、詞の世界も見えたし、まあ、シングルヒットっていうことで「My Revolution」とか「Believe」とかっていうのが、バァーッといろんな人が知ってくれてるけど、そういう形じゃない、もう私のことを代表する曲になるっていうふうにね、パッて聴いた瞬間に思って、メロディも聴いてもね、思ってね。で、なんか、そういう普遍性みたいなものを歌える詞にしようってしたんですよね。で、今でもコンサートで歌ってるし、すごく、私を好きだと思ってくれてる人たちは「あの曲が大好き」って思ってくれてる人、すごく多いです。

小室:
そうですね。あの、なんていうのかな? あんまりシングル、アルバムの曲、とかっていう分け方はしてないで作ってるね、美里に対してはね、そのへんはね、ぜんぜん。

渡辺:
そうですね。一曲、一曲それぞれができ上がっていく過程とかね、それを初めて聴いた場所とかね、すごいよく覚えてて。よく最近、話すことが、どうしても多くなっちゃうんだけど「My Revolution」とかって、あの、最初にテープをもらってたんだけども、哲ちゃんも多分、時間があった頃で、スタジオにまで来てくれて、それでグランドピアノで弾いてくれたのね。それでその時、それに会わせながら、♪ラララ〜って歌ってみて「うわぁ、すごい、いいなぁ」って、ラララで歌いながら、ピアノでやりながら、すごいゾクゾクって来たんですよ。歌い手の勘ていうのがあって、どんな曲でもすごく「ああ、これ好きだ」とか「この部分を歌いごたえのあるとこにしよう」っていうのの、ポイントを見付けていくんだけど、その中でもこう、特にうわぁ!! て思うとこあるんですよ。で「My Revolution」もすごくそう思って、今でも憶えてるんだけど、スタジオの中でね、ピアノの前でそれをやってて、ただ、卓の向こっかわでなんかね、ダビングかなんかやってたのね、キーボードのね、で、エンジニアのイトウトシロウさんが、こうやってトークバックをして「哲ちゃん、いいじゃん、この曲」っていうふうに言ってて「ね? いいよね」って思いながら♪ララララララ〜ってやってたの、すごい覚えてるんですよ。

小室:
無我夢中で、ぜんぜん覚えてません。

渡辺:
憶えてない? それは、わたしはね、すごくよく覚えてる。

小室:
そこらへんはもう、僕にとってはオーディションだから、あれは、すごく、もう。まあ、けっこうギリギリのところで、うん。やっぱり採用される、採用されないっていう、そういうね、部分てあったから、自分の中で。頑張って「あ、ダメかな?」「いいかな?」っていうね、とこもあったからね。かなり一生懸命でしたよ、本当に。

渡辺:
そうですよね。でも、そうやってやってたからこそ、今があるし。

小室:
そうですか。あの、あのなんだ? なんですか? ずーっと、このあいだ西武球場終わったわけでしょ? 

渡辺:
ええ。

小室:
で、十回やったわけでしょ? ライヴで。

渡辺:
うん。

小室:
でも、それ以外にツアーもやってるわけでしょ? やっぱりちゃんと定期的にね。

渡辺:
はい。

小室:
また今年もあるわけ?

渡辺:
今年はね、初めてベストアルバム出して、で、もうすでに、次のことを作り始めてはいるんですけど、ツアーは、全国ツアーは今年は夏の3回だけで。

小室:
あ、じゃあレコーディングをする感じなんだね?

渡辺:
もう、創作活動に専念しようと思って。

小室:
もう、ベストアルバムも出したし、とりあえず、けっこう十年まとめたよね? そのリリース物としてはね。

渡辺:
そうですね。

小室:
あ、でも、ライヴが出る、ライヴアルバム出るとか聞いたような?

渡辺:
そう。すごくね、今年のメンバーがまたなんか、とってもいい感じで、グルーヴってよく、ウチらまあ、使う言葉だけど、この、生の人間が演奏してるグルーヴってのがね、ガーッとなんかこう、目に見えたんですよね。こうウネッてる感じが、こう、ウニョウョンてなってんのが。これはね「3回だけのライヴじゃ、もったいないな」っていう気がしてきちゃって、で、ライヴアルバム、初めてね。

小室:
あ、そういうことでか、ふーん。

渡辺:
そうなの、うん。なんか、もしかしたらさ、すごくこう、時代と逆行してるような気もしたんですよ、ライヴアルバムってね。だけど「あ、これは、一つちょっと、残してみるのもいいなぁ」って思って。

小室:
ふーん、そういうんだ。

渡辺:
そうなんですよ。

小室:
僕あの、こんなテレビの番組やってんじゃない? 今さ、一応これがね、これだけですけどね。テレビとかっていうのは、相変わらずやだ? あんまり好きじゃないよね? 

渡辺:
いや、好きじゃないっていうよりもね、苦手なんですよ、うん。だって、あの『笑っていいとも』っての、十年目にして初めて出さして。

小室:
おまえ、出たこと?

渡辺:
ゴメンね! ゴメンね! ゴメンね!! 哲ちゃんとかからもお誘いを受けて、もう。

小室:
あ、そうかもしれないね。

渡辺:
うん。「ゴメンなさい! ちょっと」って言いながら十年経っちゃって。で、哲ちゃんの次に千里君にいって、千里君のとこからもまたきて「ごめんなさい」っていってまたきて。

小室:
よく僕から千里にはいったりしててね。

渡辺:
そうそう、そうそう。で、次、また逆を辿ったりして「友達いないのか?」っていうぐらいだったでしょ? だから、我慢してね「十年だしな、なんか、そういうのもなんか、出といた方がいいのかな?」と思って、やらせてもらって。で、今回、哲ちゃんの番組もお話がきて「まあ、喋るのはちょっとアレだけど、哲ちゃんだから話のネタは尽きないだろう」と思って。

小室:
そうだよね。

渡辺:
「じゃあ、やらせてもらいまーす」っていう感じだったんですけど。一回目から見ましたよ。

小室:
あ、そうですか。

渡辺:
うん。「哲ちゃんがなんか、トーク番組をやるらしい」とかいって「えぇーっ?」なんて思って見たら、木根さんと宇都が出てて。

小室:
「なんでもないじゃん」て?

渡辺:
「あ、これなら安心だ」と思って。なんかでも、そうそうたるメンバーが、次々。

小室:
でもやっぱり、ミュージシャンなんだね。もう、テレビが苦手っていうのが、この番組でね、もうなんか、ミュージシャンかミュージシャンじゃないかみたいな、その線引きぐらい、もう、みんながみんな、そういう話をして帰ってくれるんですよ。だから僕、すごいそれで助けられてるっていうか、心強いんだけども。「ああ、じゃあ、苦手ってことは、やっぱミュージシャンじゃん」みたいな。「得意になっちゃいけないんだな」みたいなぐらいね、みんなね、あの、好きじゃないのね、苦手。あ、嫌いじゃないの。見るのは好きだったりして、楽しんでるんだけど、自分が出るのは苦手なのね。っていうのは、あの、みんな、いろんな人と話してわかって、結局、自分が一番カッコよく見えるのが、音楽をやってる時だと思ってやってる人だから、話してる時がね、カッコいいと思ってる人はいないんだよね。みんな歌ったり、なんかこう、演奏したりとかね。

渡辺:
そうですね。

小室:
だから、すごくわかりやすいわけ、苦手っていうのはさ。でもなんか、改めてこの番組やって、そんなミュージシャンの人の本質的な部分はね、なんかわかったような気がしてね。それで、美里なんかも苦手って、今、言ってくれたのでね。

渡辺:
「ああ、やっぱり仲間だった」って? 

小室:
そうそう、そうそう。「やっぱミュージシャンだよね」っていう感じ、すごいするよね。まあ、そうじゃないと、っていう部分もあるし。

渡辺:
そうですね。でも、もうずいぶん慣れたでしょ? 

小室:
よく言われるんですけどね、あんま慣れてないと思いますよ。まあ、あの、唯一うれしいのはだから、そういうミュージシャンの人たちが「まあ、小室ならまあ、ちょっと話してもいいかな?」というふうで、受けてくれてるっていう、そういう場を提供できるだけでもね。

渡辺:
ねぇ。すごいことですよね。また続いていくというお話を、先ほど。

小室:
ああ、そうみたいですね。なんか、どうしたんでしょう? 

渡辺:
なんか、ロンドンでもやるんでしょうか? って話でしたね。

小室:
ちょっとね、思いのほか、まだ続きそうですけどね。

渡辺:
この先どうなっていくんでしょう? 小室さんも、自分もそうですけど。

小室:
ねぇ? どうなってくだろ。まあ、やっぱりあの、この番組のせいだと言わせていただきたいんですが、いろんなレコード会社の方とかですね、いろんなメディアの方に、やっぱ音楽の心をですね、また思い出さされたというかね、うん、けっこうあの、ミュージシャンていうとこ。「ああ、いいな、やっぱり」とか「やりたいな」って気持ちになってきてることは確かなのね。唯一この番組で話してると、それが一番思うの。

渡辺:
ふーん。

小室:
だから、間違いなくすごいスピードはゆっくりかもしれないけど、あの、ステージだったりとか、あと楽器持ったりとか、そういうことに向かってると思うのね、自分が。で、きっとそういうの、やってくんだろうなと思ってるね。だからあの、スタジオ好きだよ、もちろん。もうメチャクチャ、スタジオは好きだけどね。でもまあ、あくまでもミュージシャンていうのに、ちょっと戻るのかな? とは思ってるね。僕はそんな感じしてるね、今ね。どうですか? 美里さんは。

渡辺:
私もそうですね。

小室:
一応、さっきの話だと、本質的なその、スタート。まあ、本質的にスタートじゃないのかもしれない、立ち上がってるっていうか、まあ、一緒なのかもしれないから、十一年目でも、別に十五年目でも、やっぱり変わらないかね? それはね。

渡辺:
あの、そうですね。すごく難しいのは、あの、こんな言い方するのかどうかわからないけど、シンガー、ソング・ライターというのかな? というコンポーザーという立場と、それをまた、自分で自分のことをやって表現していく人と、私のように、歌を歌うっていうことが前面で、まあ、発言だったり、ビジュアルだったりってのも伴って渡辺美里になってると思うんだけども、でも、そういう形でやってきたのって、けっこう、そんなに、海外のアーティストだったらシンガーのそのポジションていうのって、すごくはっきりしてるじゃないですか? でも、日本て、はっきりしてるようで、でもすごく曖昧なところがまだ、いまだにあって。で、哲ちゃんとかは「明らかにこれは小室哲哉の世界」っていうのを、もう確立してるでしょ? で、私自身もあの、詞の世界であったり、歌の世界で、これから先あの、美里の世界っていうのを、ちゃんと確立していきたいなっていうふうに、すごく思いますね。なんか、ぼんやりとしてて、はっきりと目に見える物、まあ、レコードにはなるけれども、そうじゃないところでなんかこう、ボワンとしてるところがあると思うんですよ、シンガーっていうもの自体がね。だから、それがもっとこう、しっかりやっていければいいなと思うし、それには、やっとなんか、それが出来るような時期にきたかなんか、これからやれるのかな? っていうのを、すごく感じてるんですよね。

小室:
なんかあれですよね、すごい、声が立ちますよね? 

渡辺:
え?

小室:
抜けるよね。

渡辺:
ああ。

小室:
ここに来たゲストの中で、一番なんか、こえが響いてる気がするんだよね。スタジオにね。

渡辺:
ああ、そうかな? 

小室:
抜けるね、やっぱりね、なんかね。

渡辺:
声ってなんか、イメージの中にあって曲は作るんですか? 

小室:
うん、もちろんそうですよ。

渡辺:
響きがね。

小室:
もう、それがすべてでもあるかもしんないね。

渡辺:
ああ、なるほどね。そう、だから、自分の一番いい楽器を、ちゃんと自由に使って、なんか、渡辺美里の世界っていうのを、キチッとやっていければいいなっていうふうに思って。

小室:
ああ、でもなんか、またなんか、そういうので、まあ、シングルっていう形になるかわかんないけどね、なんか、ポコッと出てきそうな気もするね、そういう感じでね。

渡辺:
そうかねぇ? 

小室:
うん、そういう気しますよ、本当に。なんかね、これ、テレビなんでね、どっかで終わらなきゃいけないんですけど、一応。なんかもう、一時間ぐらい話してますね、きっとね。

渡辺:
これって、どれぐらいの部分、使われるんですか? 

小室:
あ、けっこう使われんですよね。使われるけど、これ、全部じゃない。全部じゃないけど。そうですね、まあ、じゃあ、まとめますか? 一応。

渡辺:
あ、まとめますか、じゃあ。まとめてください。

小室:
まとめられないのがね、やっぱこれはプロじゃないとこでね、いつもは非常に突然、終わるんですよ。

渡辺:
バサッと? 

小室:
「あ、こんなもんかね?」なんていう感じでね、終わるんだけどね、うん。じゃあっていう感じなんですけど。いつも「と、いうわけで」か「じゃあ」になっちゃいますけどね。まあ、次の十一年目でこれから一応、スタートするけれど、今、最後に話してくれたよね? なんかまあ、美里らしさというか、美里、まあ、ちょっと、なんていうのかな? 「美里サウンドだね」みたいな、歌も含めてね、っていうまた一曲ポーンとね、なんか、出てくれるといいよね。

渡辺:
そうですね。

小室:
うん、そういう感じ、すごいしますね。まあそれは、まあ別に、僕の曲じゃなきゃいけないといってないんで。

渡辺:
今、なんかすごく「オファーをしろよ」と。いや、あの、それは、ものすごい嬉しいものですよね。

小室:
たまにはね、あの、曲だけ作ってみたいよ、本当。あの、別に僕、パックで、パッケージで作ってないですから、本当に。なにもかもやらなきゃいけないわけじゃないんで、たまにはアレンジャーっていう人も来て欲しいですよ。

渡辺:
ああ、そうですよね。

小室:
作詞家の人がいて、ちゃんと歌手の人っていうか、まあ、一緒で美里でいいんだけどさ、それは。で、編曲家がいて、僕、曲だけこう、なんかカセットで作ってね。

渡辺:
なんか、それってなんか、逆に今、本当プロの仕事って感じしますよね、すごくね。

小室:
うん、すごいしますよね。

渡辺:
ね。

小室:
だから、そういうのもいいな、と思いますけどね。

渡辺:
うん、すごくいいと思う。

小室:
まあ、そんな話もあったらいいですよ。

渡辺:
ね。そう、すごく。以前はね、お互いにその、王道ではないところで、なんか好きなことをやっていた時期に、あの、お互いのことを、詞を私が書いて、哲ちゃんが曲を書いてくれたっていう、ゴールデンコンビとかって、なんか勝手に名前を付けて、ラジオで言いまくってたら、ファンの子もそういうふうに書いてきてくれるようになって、だから、そういうのは、またいいですよね。

小室:
そうですね、まあ、確かに自分はTMってバンドやってて、それとは違うとこでね、曲をこう、作らせてもらってたところだからね、うん。今、それ、逆になっちゃいましたからね。曲、作んなきゃいけないのがもう、今、仕事になってるからね。

渡辺:
でも、そんなこともできるって。

小室:
ちょっと、楽な気分で。

渡辺:
楽な気分で?

小室:
やりたいですよね。

渡辺:
ああ、じゃあ、ぜひ。

小室:
なかなか楽な気分でね、できないですから、今。

渡辺:
まあ、でもそれは、使命ですから。選ばれた人しかできない仕事だから。

小室:
まあ、頑張ります。

渡辺:
頑張ってもう、ちゃんと。

小室:
はい。

渡辺:
からだに気を付けてね。

小室:
ありがとうございます。

渡辺:
お母さんみたい。たまには御飯もちゃんと食べて。

小室:
ね。

渡辺:
ね。

小室:
もう、それ、なんか、それって、しなきゃいけないですよね。

渡辺:
ね。

小室:
まあ、食事と睡眠ですよね、やっぱね。

渡辺:
哲ちゃん。多分、気付くと御飯も食べてなくて、気付くとぜんぜん寝てないとかっていう仕事のやり方が平気でしょ? 

小室:
そうですね、はい。

渡辺:
私は赤ちゃんと同じで、寝ないと機嫌が悪い。

小室:
そうなるだろうね。

渡辺:
ね。

小室:
確かにあります。声がだんだん小っちゃくなって。頑張ります。

渡辺:
御活躍ください。

小室:
ありがとうございました。

渡辺:
ありがとうございました。

小室:
うん。また。

渡辺:
久し振りに会えて嬉しかったです。

小室:
はい、どうもありがとう。


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