2019.9.10 TUE. UPDATE インタビュー#11

和一はどのようなキャラクターだと思われますか?
役柄含めて、最終回までにどのような展開になるかわかりません。僕もどうなるかを楽しみに待っているところです。その中で、僕の思いとしては和一を通じて、日本の伝統、人間の業というか、社会の歪み、闇や底を感じていただきたいです。和一が背負った世の矛盾、不合理、許せない痛みや悩み、苦しみ、悲しみ、葛藤を過去、現在、未来へと通過して行く人間像としてどのように消化し、熟成させるのか?  その存在感、実在感の中に醸し出す魅力というか…清濁併呑する中で和一が何を見てきたのか?  そういうものをどこかにチラッとでも出せれば良いと思っています。人生を生きるという事はそういう事だと。本当の真剣さですね。もちろんコメディー色の強い作品ですので、それはあって良いんです。僕自身が昭和の男ですので、平成生まれの和馬(瀬戸康史)と令和に生きるコラボだけでも面白いじゃないですか?(笑)。
ドラマで和一が持つ刀は真剣なのでしょうか?
はい、真剣を使用させて戴きました。要望があれば、内容によりですが、真剣を使った居合を演武する事もあります。それは、日本の伝統、武士道精神、武道の大切さを若い方たちにも伝えたいからです。古より伝わる武道と武士道精神は、大事な日本の宝だと思うんです。
現場で何度も居合を撮影するのは、難しいかと思います。
居合は見世物ではなく、商いでもない。自己の心身の己を磨く修業の場であり、学びの一つ。…心の持ち方の問題ですからね。ですので、その辺の兼ね合いは深いので、撮影は簡単ではありません。物を切る時は、一太刀として同じことはありません。その時の、自分の心の置き方でも違うので、本当はカメラが回っているなどと意識をしたくはないんですが。心が乱れると剣も乱れますから。ですので、居合のシーンは一度だけの撮影でした。僕が本番に強いと言われる事がありますが、一回の出来事に、居合のように真剣に、全集中力を持って、全力を注ぐからです。これが侍魂。斬り合いにおいて、昔、戦いの場では二の太刀に頼らず、ゆえに先人は、その時に備え、真剣に修業に励む事で生き抜いたのです。その心構えで撮影に臨んでいます。
華(深田恭子)が白刃取りしたシーンも?
実際の武道では、真剣でも寸前で止めることは可能なのですが、そこはドラマですので(笑)。僕は演出についての越権行為はしないようにしています。武道家同士だったら、いろいろと合わせることもあるでしょうけど(笑)。実と虚をうまくブレンドして、なるべくリアルになれば…。ご覧になられる方々に、想像して楽しんでいただくのがエンターテインメントに携わる人間の仕事ですから。今はCGなどで何でも出来てしまう時代ではありますが、僕はそこに本物の要素を入れることで、真の緊張感と迫力が表現されればと…。今の時代、本物だけではドキュメンタリーだし、作り物だけでは本質を見失ってしまうのでは…?  双方が上手く融合するといいのでは。これも僕の考えですけど(笑)。
深田さんの印象はいかがですか?
非常に素直で爽やかな感じですね。“私は女優よ”という雰囲気はなく、自然体なので、とても好印象を持っています。こういう女優さんもいいなと、新たな発見をさせていただけて、僕はファンになってしまいましたよ(笑)。
瀬戸さんはいかがでしょう?
一緒のシーンが多くなかったので…、好青年ですね。屈託無く明るくて爽やかなイメージで、今の時代の“好青年”感がありますね。深田さんも瀬戸くんも、とても素敵な若手の俳優でいらっしゃるので、これからの日本を背負ってもらいたい。映像の世界も新たに開拓して成長していってもらいたいですね。ドラマは、国境も宗教も民族も全てを超えて多くの方たちを感動させる力を持つ、やり甲斐ある仕事、と天命として感じて欲しいネ。僕はアメリカで映画の主役を演じた時にそれを感じました。日本の伝統を背負い、出演出来たことにも感謝しています。
『ルパンの娘』では、これから和一と巌(麿赤兒)との
シーンも登場しそうです。
そうなんですよ。どういう関係として登場するのか楽しみですネ。昭和の男の世界、義理と人情じゃないですけど、男同士の友情、絆の深さですよね。地位も名誉も金も関係ない、心の交流です。お互いの立場さえ関係なく日本的な奥ゆかしさもあると思うので、そういう厚い関係が好きな方には、ホロっとするような。令和の時代なので、それが描かれたら良いですね、願い過ぎかな?(笑)まぁ、どうなるのか楽しみです。華と和馬の恋の行方も気になりますが、和一と巌の関係もぜひ、楽しみにご覧ください。

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