正名僕蔵さんインタビュー/井戸秀二役

『HERO』の連続ドラマ続編が制作されることを知られた時のご感想は?
「私の場合は続編制作とともに、演じている井戸が警備員から事務官になることも知らされました。ですから、もし同じ警備員としての出演ならば、素直に “ずごい! やったー!”となったのかもしれませんが、“井戸は猛勉強して事務官になっています”と聞かされて、喜ぶ気持ちよりも先に“果たして自分に務まるのか?”と尻込みしてしまったんです。というのも前回の連続ドラマ、そして映画でも検事、事務官役のみなさんのチームワークを間近に見ていたので、そこに私が加わるということに“本当にいいんですか?”と、どこか腰が引けている部分があったと言いますか…」
不安になられたのですね?
「はい、相当に。でも、第1話の台本を読ませていただいたら、城西支部での井戸の立ち位置を、脚本の福田靖さんがきちんと書いてくださっていました。なので不安感がスッと消えて、“この台本通りに演じれば良いんだ”という気持ちになれたんです。それに、実際の撮影に入ると、私の最初の出演は城西支部の出社シーンだったんですね。玄関から入って、エレベーターに乗り、フリースペースに繋がって行く“これぞ『HERO』”というシーンが続いた事もあって、もう不安どころか撮影が楽しくて楽嬉しくて仕方がありませんでした」
井戸は事務官になっただけではなく、結婚もしていました。
「そうなんです。新婚一年目あたり…ということですよね。念願の事務官になれたうえに、新婚でもあります。ベテラン事務官の遠藤さん(八嶋智人)、末次さん(小日向文世)に比べると、公私ともに充実していて浮かれている感じ(笑)。そんな井戸の浮かれている感じは、役者として検事、事務官チームに入れていただけた私の嬉しさともリンクしていますね」
改めて、井戸をどのように演じようと思われましたか?
「警備員の井戸は、頼りにならないところがありました。その井戸が事務官になって、頼もしくなったか? と言えば、やはり頼りにならない事務官でして(笑)。そこは、前作とつながっているんじゃないかと思います。基本的に真面目で、やる気は充分あるんだけど、どこかポロポロと抜けてしまうんですね。警備員の時も、仕事を怠っているわけではないのに、なぜか目の前を人がすり抜けてしまう(笑)。そんな、少し頼りない感じを引き続き演じようと思いました」
検事&事務官チームのメンバーとしてのお芝居は?
「木村(拓哉)さんが、城西支部フリースペースでのセリフのやり取りをサッカーに置き換えて“トラップなしのパス回し! まさに『HERO』だ!”と、おっしゃっていました。セリフの順番がバンバン回って来て、気を抜くことが一切出来ないんですけど、だからこそ役者としては楽しいですね。緊張感と心地良さが混在しています。撮影も3か月目に入ってきてますが、そのスリリングな楽しさは常に変わらずです」
井戸がコンビを組む、馬場検事役の吉田羊さんとの芝居は?
「吉田さんと共演させていただくのは今回が初めてです。世代がほぼ一緒なのと、お互いに小劇場出身ということもあるのか、最初から多くを語らなくても“こういう方向性にしましょう”というイメージが一緒だという安心感があります。さらに、その安心感が7割だとすると、残りの3割ぐらいは、吉田さんの芝居の掘り下げ方に“そう来るのか!”という驚きを感じてもいるんです。これがとても刺激的で、馬場検事室のシーンは延々とやっていたい(笑)。でも、実は吉田さんにかなわないなと思うこともありまして」
かなわないこと、ですか?
「シーンによって、監督から“もう少し、セリフを足してください”と指示されることがあるんです。そんな時、吉田さんは即座に考えたセリフを繰り出してくるんですけど、そのスピードについていけなくて上手く返せなかったりするんですね。本当に機転が利く方で、私は“これはまずいな”と、焦りました。ただ、馬場検事と井戸事務官という関係性を、私は“主と執事”と捉えていて。しかも、井戸はどちらかと言うと出来の悪い執事(笑)。ですので、ある瞬間から“吉田さん=馬場検事のスピードに、井戸は張り合わなくてもいいのかもしれない”と思うようになったんです。馬場検事が放ったスピードボールを取り損ねた井戸が、のったりのったりと取りに行って“馬場検事、行きますよー”と、ふわーっと返すぐらいが丁度良いのでは? と。スパーン! のったり…。スパーン! のったり…。という会話のリズムと言いますか。そこに気づけたことで、結果的に馬場検事と井戸の関係性がよりハッキリしたところもありますね」
収録現場の雰囲気はいかがですか?
「前作、映画と負けず劣らず、和気あいあいとして、にぎやかな雰囲気です。先生が来る前の小学校の教室の感じに近いかもしれませんね。監督が何かを伝えに来たのに、みんなおしゃべりに夢中になって、見かねた木村さんが“はい、みんな、監督の話聞いて!”と、学級委員のように制したりすることも(笑)。本当に仲が良くて、本番直前までおしゃべりで盛り上がっている、そんな現場です」
唐突ですが、正名さんにとっての『HERO』は?
「“型破り”とか“痛快”というイメージからヒーローを考えるとすると、私の場合、ちょっと変わっているかもしれませんけど『天才バカボン』のバカボンのパパです。これは、私が“バカボンのパパのようになりたい”と思っているようなヒーロー像ではないんですが…。パパの無責任にやりたい放題なことをした後に、“これでいいのだ!”の一言で解決してしまう大胆不敵さというか、スカッとさせてくれるダイナミズム。私にとっての“笑える=カッコいい”を満たしてくれる面もありますし…。子供のころから読んでいて、今でも読み返すマンガなんですけど、バカボンのパパの痛快さは大好きです」
最後に視聴者のみなさまにメッセージをお願いします。
「何より毎回持ち込まれる事件を久利生検事がどう解決に導くかという、前作から続く醍醐味を見て、感じていただきたいです。同時に、日頃はぐうたらしている城西支部のメンバーたちが、1話につき1回はキリッとするシーンも出てきます。そんな、緊張と緩和もお楽しみいただければと思います」

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