宮崎智尋の今週の病理診断 (医療監修:東京逓信病院 病理診断科 田村浩一)

みなさん、こんにちは。
壮望会第一総合病院 病理診断科 の宮崎智尋です。
ドラマ「フラジャイル」 楽しんでいただけたでしょうか?

このドラマでは毎回、病理診断の組織画像が登場します。みなさんご覧になったことがないと思うので、岸先生に解説をお願いしたのですが、「やだよ、面倒くさい」と、あっさり断られてしまいました。そこで新米病理医の私が勉強したことを、みなさんにお伝えしたいと思います。

顕微鏡なんて、医学部の実習の時に見ただけなので、私もわからないことだらけなのですが、早く一人前の病理医になれるように、一生懸命勉強して頑張ります。どうか応援してください。

今週は、森井さんがいなくなっちゃうし、幼馴染のコウちゃん(松田幸司さんです)がIVb期の膵臓がんだったことが判明するし…その上、岸先生からは病理を辞めろと言われて、もうどうにかなっちゃいそうです。でもアミノ製薬の新しい治験薬のことがわかって、希望がでてきました。医師としてまだまだあきらめません!

とってもつらいのですが、松田幸司さんのリンパ節の所見をお見せします。
リンパ節というのは組織の中を流れたリンパ液が集まって、流れ込む所です。組織に入り込んだ「悪者」をリンパ液で集めて、免疫の力でやっつけるための特別な装置になっています。リンパの流れに乗って移動するがん細胞も、ここで堰き止めてやっつけようとするのですが、免疫の力よりもがんの増殖力の方が強いので、リンパ節の中で増殖を始めちゃうんです。それが「がんのリンパ節転移」というわけです。

(T細胞とB細胞については、第6話の中熊教授の解説をご覧ください)

この転移先の組織を見ただけでは、どこから転移してきた「がん」なのかは解りません。幸ちゃんの場合、画像診断で膵臓に「がん」があることが判明していて、この組織像は膵がんとして矛盾しない所見なので、膵がんの転移と結論されたのです。

膵臓はお腹の中ではなく、お腹より外の背中側にあります。だからコウちゃんは背中を痛がっていたんです。首のリンパ節にまでがん細胞が流れ込んでいるということは、全身にがん細胞が散らばっていると考えられるので、ステージ(病期)としては最も進行したIVb期にあたります。

残念ながら手術でがんを切除することは出来ず、コウちゃんの場合には通常の放射線療法や化学療法もあまり効果が期待できないので、緩和医療を勧められてしまったようです。アミノ製薬のAM105という治験薬が効いて、がんが消えることを祈らずにはいられません。

※症例は架空の患者さんですが、組織写真はすべて本物です。ただし1人の患者さんの組織写真とは限らず、複数の症例を組み合わせて構成しているものもあります。(医療監修:田村浩一)

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