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FACTORY8 #0010 : エレファント・カシマシ From YOU-DIE!!!

「人間力の強い男だ!」
「人間力」なんて言葉があるのかどうかは知らないが、それが宮本浩司(「さん」付けもいやらしいので敬称は略させていただきます)と初めて会ったときの僕の印象だ。仕事柄、アーティストという生き物と接することはよくある。彼らは満ち溢れる才能とは裏腹に、というよりは溢れる才能があるからこそ、時に我が儘で時に甘えん坊になる。そんな特殊な人たちと接することは僕にとっては日常のことであり、その対応の仕方は既に身に付けていたつもりだった。だけど、彼とスタジオの前室で軽くその後に控えたトーク部分の軽い打ち合わせをした時、僕は正直、フリーズ状態になってしまった。そこにいる男の汚れのなさというか、美しさに凍り付いてしまった。白いシャツを着た彼は透き通るように美しかった。精神貴族と言おうか、野武士と言おうか、社会教育を受けていない者だけが持つ潔癖な美しさを強く感じた。もちろんいい意味で。「悲しみの果てに何があるかなんて誰も知らない見たこともない・・・」という彼の叫びはヒドク刹那に僕の耳に届いた。アイドルがか細い声で歌ったならそれはひょっとすると何の変哲もないワンフレーズかも知れないその一行が彼の喉を通って吐き出されれた途端、いろいろな意味を帯びてくる。一巡すると強い言葉になる。そして、一巡するために苦悩した人間から吐き出されるとそれはリアルなモノとして迫ってくる。その時のトークで確か「エネルギー」の話をしたと思う。まさに宮本はエネルギーの固まりのような男だった。その時彼は戸惑いながらもポップスターになるべく前進していた。
そして、今夜、野音でジュリーの「サムライ」を歌う姿はまさにポップスターそのものだった。2度目のアンコールに応え「いつまでたっても終わんねじゃねえか?」と客に食いつく姿はポップスターそのものだった。思慮深そうな顔をして時にナイフのような眼で髪の毛の奥から人の顔をチラッと見るあの不器用そうな宮本はそこにはいないような気がした。もうエレカシは違うステージにあがってしまったのだ。「サムライ」で男の色気とハードボイルドを教えられた世代にとってジュリーという存在はポップスターそのもので、最も憧れるテレビの中の人だった。今、宮本自身がそこに立ってる気がした。昔からのファンと同じように野音の森の中で僕はそう感じてしまったのだった。帰り道でヤキソバを食べながら空を見上げてるとなんとなくセンチメンタルな気分になった。頭の中では「星の砂」が流れていた。それにしても「星の砂」でオーディエンスが両手をあげて振り付けをするのだけは解せねぇなぁ。
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