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- 小西:
- お疲れ様でした.
- 田島:
- おつかれっす.ご無沙汰してます.
- 小西:
- 久しぶり.いや,ぼく,田島くんのライブすごい久しぶりに見たよ.
- 田島:
- ああ,そうですよね.ひょっとしてオリジナル・ラブのライブっていうのは,僕がピチカート在籍中に一緒にやったことがあるじゃないですか.僕はオリジナル・ラブとピチカートと両方.あれ以来じゃないですか?ひょっとして.
- 小西:
- う〜ん,そうかもしれない.僕ね,あの頃から誰のライブにも行かなくなっちゃって.
- 田島:
- ああー,そうですよね.あの頃からあまりライブって…
- 小西:
- そうそう.でさ,田島くんとも前はいつも逢っていたけど,いつの間にかレコード屋さんでも逢わなくなって.
- 田島:
- そうですよ.最後に会ったのは3年ぐらい前でしたっけね.渋谷でばったり会ったじゃないですか.
- 小西:
- 3年なんかじゃないよ.もっと前だよ.
- 田島:
- 5,6年前ですか.あれ以来ですよね.
- 小西:
- そうですよ.
- 田島:
- でも,僕,なんか小西さんの話っていうのは,もうしょっちゅう聞こえてくるんですよ.ピチカート今度はどういうの出したとか.僕が気にしているっていうのもあるんですけども.だから,なんとなくこう近い存在…近くには感じてたんですけどもね.
- 小西:
- 僕はね,僕,本当にライブ見に行かないから,たまに誰かに会ったりすると「この間,あのライブに田島君が来てた」とか,「昨日,ここでラーメン食ってた」とか,そういうのを聞くんだけど.
- 田島:
- ああ,そうですか.(笑)
- 小西:
- いや,本当に久しぶりだなぁって思って.
- 田島:
- そうですよねぇ.
- 小西:
- でも今日,もっとショック受けたことはさ,田島くんって全然変わんないね.
- 田島:
- ああ,そうですか?(笑)
- 小西:
- だから,むかし感激した気持ちが甦った.
- 田島:
- ありがとうございます.
- 小西:
- なんかさぁ,ピチカートに田島くんがいたときって,すごい僕たちもライブいっぱいやってたでしょ?それでさぁ,今,ピチカートに真貴ちゃんが入ってさぁ,もう完全にコンピュータでやってるから,ああいう(注 この日のライブでサンプラーのデータ設定ミスでトラブったことを指す),もう一回!っていうのが無いのね.
- 田島:
- 無いでしょう.
- 小西:
- 田島くんだっていつもはないのは知っているよ(笑)でも,田島くんとやっていたときはさ,僕がとちったり,敬太郎くんがとちったり,止まってたじゃない.すごい思いだしちゃってさぁ.
- 田島:
- はっはっはっは.なるほどね.
- 小西:
- なんか動きとかさやっぱり.ま,オレも変わんないだろうけど.
- 田島:
- でも小西さんのは…な,近いからあまりいうのも変ですけど,すごいなぁって思っていたところはね,小西さんてコンポーザとしての才能っていうのがあると思うんですけど.でも,ライブになるとやっぱアーティストっていうか,主役っていうかさ,切れてどんどん行ってしまうじゃないですか.(笑)
- 小西:
- 田島君に言われたくないよ.
- 田島:
- えへへへ.ていうか,あれがねやっぱりすごいなと思ってたんですよ.で,それが他のねピチカート・ファイブみたいなことしてても絶対出せないはずだっていうか.小西さんの個性って言ったらいいのかな.独自性っていうか.そういうふうに思っていましたけどね.
- 小西:
- 田島くん,喋り方も全然変わってないね.
- 田島:
- あっはっはっは.すみません,全然うまくなっていないんです.
- 小西:
- なんか懐かしくて泣きそうになっちゃうよ.
- 田島:
- そうですね.さっき会ったじゃないですか.なんかぐっと来ちゃって.
- 小西:
- アクションとかさ,曲が変なところも変わらないしさぁ.でもなんか,変だけど昔とは比べ物にならない,なんか円熟してるしさ.
- 田島:
- いやいや.でもあのね,つくづく自分のやっていること変わってないなって思いますね.なんかあの,小西さんと会った当時の..なんていうかな,変な曲作ってしまう部分っていうか,そこはね,どうしてもなんかあるっていうか,そこから外れられないっていうか.
- 小西:
- いや僕さ,田島くんと一緒にやってた時さ,自分なりに考えたもん.「何でこんなこと思い付くんだろう」って.いろいろ考えた末に「こいつは天然なんだ」って.
- 田島:
- (手を打って大笑い)
- 小西:
- だってもう,そうとしかさ,解釈できないっていうかさ.そうじゃなけりゃ,例えば,スティービー・ワンダーにしてもさ,なんかさ,天然さんじゃん.
- 田島:
- そうですね.なんか褒めてんだかなんだか.
- 小西:
- いや,褒めてる,褒めてる.天才って言ってるんだ,今.
でも,今日なんかさ.僕,音楽聴いて「懐かしい」って気持ちを持たない人なんだけど,エルビスだって今聴いて新しいじゃん.
- 田島:
- そうだね.
- 小西:
- 今日の田島くん見るとそういうのが込み上げちゃって,なんかね,ぐっと来た.
- 田島:
- いや,僕もね,この前のピチカートのアルバム結構,ぐっと来てたんですよ.
- 小西:
- 本当?
- 田島:
- ホント,ホント.あの何だっけ「地球は45回転で回ってる」.あれはスゴイよかったですよ.ピチカート・ファイブって僕が抜けてからね,すごい良くなったと思うんですけど(笑)僕ね,なんだっけ「女性上位時代」ですか,あれすごいショックだったんですよ.小西さんやっとやったじゃないですかって内心思ってたんですよ.で,アレの次に好きですね.もしくはアレと同じぐらい.なんか知らないけどいい.
- 小西:
- オレも大人になったからさ.
- 田島:
- 最後の“地球は45回転でまわってるー”っておまけのトラックで付いているじゃないですか.あれで結構,ぶっ飛んじゃったですね.変わってないなぁって.
- 小西:
- 全然,変わってないよね.
- 田島:
- そうそう(笑)あの最後のアレでね,全然この人はもう.小西さんこそもう,いい意味だか悪い意味だか分からないけど天才だなぁと思いましたよ.最後の“地球は45回転で…”ってこう言ってしまうところ.あそこがね,ああいうところがね,ピチカート・ファイブってロックバンドなんだなって思いますよ.
- 小西:
- というかさ,僕ほら,ずっとライブ見なかったしさ,そういう不勉強なところが会ったんだけど,田島くんてピチカート止めて,オリジナル・ラブ始めて,いろいろね,CMの曲とかでブレークしたじゃないですか.ドラマのタイアップとかさ.その時さ,雑誌とかで見ると田島くん表紙に載ってて.バチっとスーツ着ててさ.なんか,すごい格好良くてさ.今日見たら全然変わんないじゃん昔とさ.昔,渋谷であったときとほとんど同じ髪形とかしてるしさ.
- 田島:
- あっはっは,最初に会ったとき!そうですね,あの最初に会ったとき,すごかったですよね,あの髪形.よくピチカート・ファイヴに入ってくれって.
- 小西:
- それは本当に田島くんがすごいと思ったから.服装だってさ,全然変わっていないって思った.
- 田島:
- そうですね,よく考えたら.なるほどね.
- 小西:
- 一曲目とかさ今日の(ティラノザウルス),音出しながらさ,皆にこういう(指差すしぐさ)感じとかさ,もう全部,昔と全然変わってなくてさ.田島くんて昔からすごいなと思った.
- 田島:
- えー,いやいや.
- 小西:
- でさ,ごめんなさいね,「でさ」なんてこんなタメ口になっちゃって.
- 田島:
- いやいや全然.
- 小西:
- 最近はずっと一人でレコード作ってるでしょ.どうですか?
- 田島:
- そうですね.
- 小西:
- プレッシャー無いですか?
- 田島:
- いや,ありますよ.やっぱり.一人なりの良さ,悪さありますよね.自由さと不自由さって言うか.それがまあ今のところはやりがいだと思っているっていうか,思い込もうとしているっていうか分からないですけども.
- 小西:
- 僕,94年からなんだけど,田島くん辞めて,敬太郎くん辞めて,で,アルバムの曲全部一人で作らなきゃならなくなって,そのプレッシャーはもう大変なの.
- 田島:
- あ,そうですか,へぇー.
- 小西:
- だからいつも2,3曲誰かにやってもらったりしてるし.僕ね,7曲ぐらいはいっつも書けるのね.でも7曲じゃミニアルバムプラス1曲ぐらいじゃない.
- 田島:
- ああ,でもね,それはありますよ.僕もやっぱり一時期までメンバーが2曲ぐらい書いてて,そのペースってやっぱり一人になっても変わらないところがありますよね.だから,メンバーいなくなった分,余計エネルギー使うところあるし.楽しいところもきついところもあるんですけれど.そういう労働量増えたなっていうところは実感してますけどね.
- 小西:
- 田島くんは今の形が一番いいなって思うけど.
- 田島:
- そうですね.いまはもうとりあえずこれでやってきたいなって気はしてますけどね.でも,小西さんも今の形が良かったんじゃないですか.
- 小西:
- そうかな.でも僕,ほら,田島君解散できないでしょ,一人だから.
- 田島:
- そうですね.
- 小西:
- オレ,まだ出来るんだよね.
- 田島:
- ああー!いいなぁ.(笑)
- 小西:
- いいでしょう.それだけはちょっとね.いいかなって思ってる.
- 田島:
- でもね,名前変えちゃえばいいんだし.なんてね.(笑)
でもなんか不思議ですよね.10年,こう音楽やっててさ,やっぱ最初の頃って,今でこそピチカート・ファイブみたいなああいう音っていうのかな,ああいうのやってる人結構いるなっていうかさ,感じるようになりましたけど.あの時ってやっぱりいなかったじゃないですか.
- 小西:
- なんかさ覚えているのはさ,表参道のドーナツ屋さんでさ,「どうしたら売れるんだろう」って….
- 田島:
- そうそうそう(笑)でも本当に売りたかったですよね,あの頃は.
- 小西:
- でも結果的は田島君の方が先に売れたじゃん.すごいなぁとか思ってさ.
- 田島:
- なまじやっぱ小西さんとか音楽をたくさん知りすぎているんで,なんていうかさ,そういう人がさ売れる音楽を作るっていうのはさ,かえって相当難しいっていうかさ.ピチカート・ファイブってそういうグループだったように思うんですよね.普通だったら,そこそこの自分の知識っていうのかな,甘んじてしまうっていうところがあるんだけど.なんか小西さんは売れたいっていうかさ…
- 小西:
- どうでもいいけど,オレがさ,オリジナル・ラブの話に持っていこうとしているのになんでピチカート・ファイブの話に…
- 田島:
- いや,なんかね,やっぱ会うと思いだしちゃうんですよ,いろいろと.
- 小西:
- 思いだしちゃうね.田島くんがさ,ピチカート辞めることになって最後のライブかなんかでさ,大阪やって東京帰ってくるときにさ,二人で新幹線乗り遅れて,なんか指定券とれなくて.それでずっと食堂車で話してて.
- 田島:
- そうそう,ビュッフェでね(笑)
- 小西:
- なんかそういう感じなんだよね.なんかそういうことばっか思いだしちゃうね.
- 田島:
- うん.
- 小西:
- 真貴ちゃんもすっごい田島くんに会いたがってた.
- 田島:
- あ,そうですか.いや会いたいですよ.真貴ちゃんも.
- 小西:
- 今度,なんかやろうよ.
- 田島:
- やりましょうよ.今度,本当に.今だからなんかいろいろと出来ますよ.ここに来るまでいろいろありましたけどね.なんかやりたいですね.
- 小西:
- やりたいですね.
- 田島:
- 最初に会ったとき僕は22ですよ,小西さんと.
- 小西:
- オレ今39ですよ.
- 田島:
- ネェー!
- 小西:
- ワァー!?って感じだよね.
- 田島:
- いやー,でもね,長くやれたんだなぁっていうか.
- 小西:
- でも,今日見て,田島くん,本当に10年前と変わっていない.10年後もきっとおんなじだよ.
- 田島:
- そうですかね.
- 小西:
- すごいと思った.今日はちょっと,あまりにもギャルのファンがいっぱいいるんで,また悔しくなったけど.
なんか,新しいレコードの宣伝しなよ.
- 田島:
- あ.シングルが9月の2日に発売に「クレイジー・ラブ」って曲が発売になります.「クレイジー・ラブ」,同タイトルの曲がいまあったりするんですよね.あれは偶然です.9月の18日にニューアルバム『L』っていうのが出ますんで.それはね,でも,変わってないですよね基本的に.そう思った,今!うん.
- 小西:
- 10月1日にピチカート・ファイブのニューアルバムが出ます.タイトルは『プレイボーイ・プレイガール』っていいます.オレも変わってないと思いました.
っていうことで,田島くんでした.どうも.
- 田島:
- どうも.
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