SCHEDULE
イベント制作の流れ
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コロナ禍のため打ち合わせもオンラインで実施。
企画
ジャンルによってもさまざまですが、展覧会の場合は企画から実施までに3~4年程度の期間がかかります。ただしフェルメール作品を擁するような人気の展覧会やオペラ公演の場合、世界中で取り合いになるので、5~6年前から着手することも。
基本的には複数の企画を並行して担当しながら、数年後に実施するイベントの企画を考えていきます。 -
コンテンツ・会場手配
イベントは出演者や絵画のスケジュールを確保できないと何も始まりません。さらに、会場の手配も必要です。とくに展覧会の会場などは3〜4カ月単位で利用するので、数年先までスケジュールが埋まってしまってことも少なくありません。人気コンテンツほど、早いうちからスケジュールを調整していきます。
予算計画
仕事である以上、ビジネスとして成立するかというのは大前提。内容が面白いかどうかだけではなく、きちんと収益を上げられるのかという視点が重要です。
イベントの収入は「チケット」「グッズ」「協賛」の3つが大きな柱となります。全体の制作費をふまえて、どれだけの収益が見込めるのか予算計画を作成します。 -
展示するユカギルマンモスなどが保存されている、ロシア連邦サハ共和国へ。古代の馬やマンモスの皮膚などを発掘する調査にも同行したのだとか
開催までの準備
実際にイベントを開催するにあたって、さまざまな準備が発生します。田中さんが担当したマンモス展の場合、展示物はロシアの特別重要文化財がほとんどなので、特別な許可を得て現地から冷凍の状態で輸入する手続きが必要でした。やりとりや調整を重ねながら、打ち合わせやロケのために現地にも足を運びます。
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『マンモス展』展示構成監修のいとうせいこうさんとともに現地ロケも
イベント開催
実際にイベントが成功するかどうかは開催するまでわからないもの。想定よりも集客できなかったこともあれば、大ヒットが生まれる可能性もあります。やってみなければわからないことも、イベント事業の面白さのひとつです。
INTERVIEW
インタビュー
フジテレビへ入社を決めた理由は?
田中
学生時代は司法試験の勉強をしていたのですが、その一方、オーケストラで金管楽器を吹いたり、バンドでボーカルをやったりと音楽にも打ち込んでいました。そこで、やはり音楽に携わる仕事がしたい、歌番組を作りたいという思いで、フジテレビの採用試験を受けたんです。
そこからイベント事業をやろうと思ったきっかけは?
田中
恥ずかしながら、内定をもらってからイベント事業部があるのを知りまして……(笑)。私はMr.Childrenの大ファンなのですが、入社当時にフジテレビがツアーを手がけていたんです。実は自分がやりたいことはイベントなのではないかと思い、現在の事業局に志望を変えました。
イベントプロデューサーの醍醐味は?
田中
見込みが外れて赤字になってしまうかもしれないし、見込みを大幅に上回って、大黒字のスマッシュヒットになるかもしれない。それがプロデューサーの仕事であり、醍醐味なのかなと。
やりがいを感じるのは、公演を見に来てくれたお客さんが、会場から出てくるときに涙ぐんでいたり、すごく晴れやかな表情をしていたりするときでしょうか。どんなに大変なことがあっても、お客さんが感動してくれている姿を目の前で見ることで、すべて報われるような気がします。ビジネスとして成功すれば、もっと報われますけどね(笑)。
これまでに経験したスマッシュヒットは?
田中
フジテレビが代表する継続的なスマッシュヒットのコンテンツは『シルク・ドゥ・ソレイユ』ですね。1992年から継続して展開していますが、2000年の『サルティンバンコ2000』という作品は、当時人気絶頂だったモーニング娘。さんとコラボレーションして、社会現象にもなりました。フジテレビ事業の最重要コンテンツに携われたことは思い出深いですね。
ただ、それほどインパクトのある企画が自分からはまだ生まれてないので、そこを目指していけたらと思っています。
『シルク・ドゥ・ソレイユ』はどれくらいの期間、担当されていたのですか?
田中
入社2年目から丸6年間、『シルク・ドュ・ソレイユ』の制作運営チームの一員として全国ツアーについて回っていました。作品としては『キダム』、『アレグリア2』、『ドラリオン』、『コルテオ』の4作品です。日本ツアーは東京以外にも4会場あるので、出演者やスタッフと一緒に1年近くツアーに出ていました。
フジテレビのイベント事業の強みは?
田中
まずは制作能力の高さです。舞台ひとつとっても、自分たちで企画を決めるところから、演出家、脚本、出演者の選定まで、ほとんどやっていますから。もうひとつは、放送局としてのビジネスが後ろ盾になってくれること。うちの頼もしい番組の数々が紹介してくれたり、イベントの規模によっては一緒に特番を作ってくれたりすることもあります。
新型コロナウイルスの影響は大きいと思いますが、これからのイベントはどのように変化していくと思いますか?
田中
無観客ライブがメジャーになってきていますし、以前のように完全に戻るとも思っていませんが、リアルイベントって絶対になくならないと思うんですよ。目の前で自分の好きなアーティストが音を放っている、1メートル先に世界的な名画がある。その空間を共有しているライブ感はかけがえのないものだし、どんなにポストコロナの時代が変わっていこうとも、これが失われることは絶対にないと思うんです。
もちろん、ソーシャルディスタンスであるとか、細心の注意を払いながら、皆さんに届け続けていく責任がありますが。
フジテレビのイベント事業センターはどんな部署だと思いますか?
田中
企画書の面白さと、ビジネスとしての実現度合いに年次は関係ないので、イベント事業は若手にものすごくチャンスのある部署だと思います。実際に、新人で配属されてから数年で念願だったクラシックバレエのイベントを実現した後輩もいますしね。
どんな人に入社してもらいたいですか?
田中
なにかに打ち込めたり没頭できたりする人がいいですね。自分がやりたかったことでも、そうでなくても、自分なりにポジティブに楽しんで、突き詰めていける人と一緒に仕事したいです。諦めの悪い人の方が好きなので。